2022年3月4日

ザ・ホテル青龍京都清水、唯一無二のヘリテージホテルで過ごす幸せ

山紫水明の京の都。世界文化遺産の清水寺が目と鼻の先という絶好のロケーションに、昭和初期に建てられたモダンな小学校をコンバージョンし新しいランドマークとして蘇ったのが「ザ・ホテル青龍京都清水」です。絶景の待つ、そして美しく滞在するだけで身も心も満たされる価値あるヘリテージホテルで、ここでしか経験できない癒しの時間に浸る旅をぜひ。

一昨年3月に開業した「ザ・ホテル青龍京都清水」は、唯一無二のロケーションと、地域住民の寄付で建てられ愛されてきたモダンで画期的な美しい校舎に新たな息を吹き込んだ特別な宿です。1869年（明治2年）に下京第二十七番組小学校として開校し、昭和8年に今ある場所に移転新築された清水小学校は、2011年に閉校。その地域のシンボル的な建築を生かし、背には東山の連なる稜線、眼下に京の都を見渡すホテルとして再生。高台の傾斜を生かし、かつて校庭だった場所を三つの棟がコの字型に囲みます。予約制の天井の高いプライベートバスが３室あり、格子窓から緑が見えるフィットネスジムなど、京都の中心にいるのに、リゾートにきたような、異国情緒に駆られる不思議な空間です。

京都に住む友人の話では、この番組小学校はいくつか残っているそうで、学び舎として、また地域自治や伝統的なコミュニティの拠点としても機能しているといいます。宿泊した翌日寄った祇園のお店でも、「夏祭りによく行った」と、地域に密接した愛着のある場所だったのが伝わります。卒業生たちも泊まりに来ては、ひとしおかつての学び舎を誇らしく思うようです。80年を超える学び舎としての記憶を刻んだ場所での滞在は、特別な体験に。外壁、アーチ状の連窓、屋根を支える木製の腕木など建築当時の洋風のデザインを保存、活用していて、文化遺産のような建築やインテリアは、その面影、記憶を残しながらさらに進化していて心地いい！また、”青龍”は、この地域の守護神。廊下のカーペットも青龍の鱗をイメージした柄を配し、廊下やホールには、新進気鋭の京都にゆかりのある作家の芸術作品が展示されています。

今回宿泊したのは、大きな格子窓が特徴のスーペリアキング。既存校舎の構造を生かしているので天井がとても高く、格子窓も素敵で外国のホテルのよう。グレージュが基調の落ち着くインテリアで、部屋でくつろぐ時間がつい長くなります。客室の調度品もティーセットは佃眞吾さん、内田智裕さんの手によるものなど非の打ち所がありません。また、アメニティはナチュラビセのローズマリー＆ホワイトティ。うっとりいい香りで癒されます。

お部屋もいいのですが、朝7時30分から22時まで利用可能な、ゆったりとしたゲストラウンジも絶景で落ち着きます。軽食やワインやビールのほか、一保堂の抹茶を点てて粟田焼や清水焼の器で楽しめたり、本格的に小川珈琲の豆を挽いてドリップコーヒーを淹れる体験もでき、伏見の酒粕を使ったチーズタルト、生八ツ橋などとともに一息つけます。

また、宿泊客以外も楽しめる「K36 The Bar & Rooftop」は、夕陽や夜景、法観寺「八坂の塔」の眺望をつまみに時を忘れる場所で、話題の人気スポット。京都を代表するバーテンダー西田稔さんがプロデュースしていて、ステーキやピザ、パスタなどのメニューも充実しています。敷地内別棟には渡り廊下で繋がる、デュカス・パリ監修の「ブノワ京都」もあります。壁一面の窓から見えるのは八坂の塔ですが、京都からふわりと世界のどこにもない外国にやってきた気分。青山のお店とは雰囲気が異なり、NYのブノワに近いのだそう。お着物でビストロを楽しむ姿も絵になる空間です。ずいぶんまえになりますが、バスクの「オーベルジュOstape」に滞在してそのセンスの良さ、そしてもちろん彼の描く美食の世界に打ちのめされたことがあるので、この空間のすべてのスタイリッシュさはさすが。ベージュなどで経験を重ねてきた田中耕太シェフの芸術作品のようなお料理は、りんごやビーツ、根セロリのピュレを添えたフランス産鴨のロティやコンフィなどどれも丁寧な伝統的なお料理なのにどこか驚きもあって美味！デザートに、デュカスの定番、サヴァラン・アルマニャック・シャンティを一口頬張れば、パリ気分に浸れます。アフタヌーンティーやテラス席も人気だそうです。

朝食は、体育館を兼ねた講堂だった空間「restaurant library the hotel seiryu」でいただきます。メニューは栄養療法、点滴療法の第一人者で柳澤厚生医学博士が監修。赤米や黒米を使った、しば漬け入りリゾット卵かけご飯風京の銘柄鶏のそぼろ味噌風味を選んでみました。野菜もたっぷりで、京味噌フレンチドレッシング、ガスパチョ、宇治の平飼いの玉子など食材にこだわった「学べる朝食」を堪能。季節に合わせて異なるブレンドのこちらのコーヒーもまた美味しい。ホテルは清水寺の参道、清水坂にあり、清水寺まで徒歩8分。朝食後に野鳥のさえずりに囲まれながら凛とした空気を胸いっぱいに満たしながら散策もオススメです。四季折々の景色が楽しめるので、やはりいいもの。散歩の後にはまたゲストラウンジで、コーヒーを淹れてほっこり。記憶に残る旅になるはずです。