2016年7月1日

「将来に不安を感じるシングルマザーです」【40代お悩み相談】

みうらじゅんさんと辛酸なめ子さんが、40代のお悩みに独自の視点で回答！今回のお悩みは、子供が反抗期により将来にも不安を感じている方からのお悩みです。

【今月のお悩み】将来に不安を感じるシングルマザーです。

中学生の子供の反抗期がひどく、悩んでいます。離婚して母子家庭にしてしまったという負い目もあり、子供に強いことを言えません。ただ、こんな子でも成長して巣立ってしまったら、私はひとりぼっちで生活していけるのか。そのころ、歳をとった自分は老後をともに過ごせるパートナーと出会えるのか……。将来が見えず、不安です。（宮城県・あや・43歳・会社員）

辛酸なめ子さんの回答

反抗期がないと自己主張がうまくできない大人になってしまうという説があります。反抗しまくって大人になった時、あの時の親への申しわけなさがこみ上げ、優しくしてくれる可能性が大です。未来はきっと明るいです。

みうらじゅんさんの回答

過去は「すんだこと」で将来は「わからないこと」。今を楽しむ努力、してみません？　

女手ひとつで子供を育てておられるんですね。頑張ってくださいね。子育てって酔っ払いを相手に生活してるみたいなもんじゃないですか。わけわからないこと言ってこられたり、やられたり、全然こちらの思いどおりになりませんよね。あやさんの大変さは僕も、少しだけかもしれませんが理解できます。

そこで、なのですが。不安のテーマをしぼりませんか。「将来が不安」では漠然としすぎです。漠然としていると、何をどうしたらいいかわからないからよけいに不安がふくらんじゃいますよね。だから、まずは目の前にあるものから片づけていきましょうよ。
となると、子供のことでしょうか。思春期に子供が親に反抗するのって、成長の過程においては正常なこと。そうやって徐々に自立していくわけですから。僕なんてずっと家が居心地よくて、30歳すぎてようやく反抗期がきたくらいです。その歳になると屈託がありすぎて、両親との間が相当ぎくしゃくしちゃって。それを考えると、中学生で反抗期をすませとくことはきわめて正常なんじゃないでしょうか。

　なのでここはひとつ、「ああ、うちの子も成長しているのね」と考えてどーんと構えてみるというのは、どうでしょうか。あやさんが不安でおろおろしていると、それを見ている子供も不安になって、よけいに荒れてしまうかもしれません。
それに、離婚をして母子家庭になったことと反抗期とは、直接関係ないと思うんです。母子家庭でなくても、反抗する子は反抗しますからね。だから、別に負い目を感じなくてもいいと思うんです。過去はすんだことで、未来はわからないこと。昔のことを引きずってもしょうがないし、起きてもないことに悩んでも結局、今の生活は変わらないと思うんです。
だったら、今を楽しんだほうが絶対にいいですよ。だいたい、この世に不安のない人なんていないでしょ。安定して幸せになったらなったで「この幸せはいつかきっと壊れる」とまた不安になるもの。あやさんから見て明るく楽しそうな人だって、明るく楽しく過ごそうと努力しているんだと思います。

あやさん、何か好きなことひとつしてみません？　あるいは服装とかヘアメイクをこれまでと少し変えるだけで気分も変わって、心が軽くなるような気がします。それでも不安が襲ってきそうになったら「不安タスティック！」って明るく言ってみましょうよ。不安を笑いに変え楽しみましょう。あやさんが明るく楽しそうだと、子供もうれしいと思うんです。反抗期も案外、早く終わるかもしれないですよ。そして男の人にもモテるようになりますって。「将来が不安で」って暗い顔していたら男は寄ってきませんからね。あやさんが、シングルマザーで明るくがんばって生きていると、その姿にホロッときて老後どころか、今すぐ一緒に過ごしたい！っていう男の人も現れるんじゃないでしょうか。

JUN MIURA：イラストレーターなどなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生み出す。近著に『「ない仕事」の作り方』『されど人生エロエロ』（ともに文藝春秋）などがある。
NAMEKO SHINSAN：漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『辛酸なめ子の世界恋愛文學全集』（祥伝社）などがある。