■アラフォーがネット通販と上手に付き合うヒント(前編)
★お答えいただいたのは……
PROFILE
(右)発田美穂さん(エディター)
女性ファッション誌やウェブマガジンなどで幅広く活躍する人気エディター。マリソルのオリジナルブランド「M7days」の特集記事も数多く担当し、ネット通販にも精通。@mihohotta_editor
(中)東原妙子さん(エディター)
抜群のセンスでブランドからの信頼も厚く、EC限定ブランド「アンクレイヴ」ではクリエイティブディレクターも務める。今季より手がける「アンクレイヴ ホワイト」も大好評。@
(左)渡部かおりさん(エディター)
編集プロダクション「フォワード」主宰。広告のビジュアル制作や企業のブランディングなども行うほか、一昨年にはEC限定のセレクトショップ「ザシー」を立ち上げ、話題に。@theshe_____
――座談会に際して、ネット通販に関するお悩みや皆さんへのご質問がたくさん寄せられています。中でも多かったのが、「ついつい深夜に余計なものを買ってしまう」というお悩み。皆さんはそういった経験はありますか?
発田 私も買うのはほとんどが深夜、原稿を書いているとき。だんだん飽きてきて、見始めちゃって……。
東原 そうそう、そういえばこれ!ってね。
渡部 私も“ついつい買い”しかしていないかも(笑)。いま「ザシー」というECのセレクトショップを運営しているんですが、実際に21時くらいがいちばんインスタが見られていて、それまでに発信すると夜中に売れるパターンが多いです。最近は家事などが終わってちょっとホッとするときに、テレビよりも携帯やパソコンに接している人のほうが多いみたいですし。
東原 インスタライブも夜のほうが視聴者が多いもんね。
発田 うん、インスタの広告からサイトに飛ぶこともあります。知らないブランドでもとりあえずのぞいてみようとか、深夜にありがちな現実逃避(笑)。でもカートに入れるだけで決済まではしない“エアー買い物”も多いです。
――いったんカートで踏みとどまることで、衝動買いが抑えられることもありますか?
東原 それはあるかも。一回大量にカートに入れるけど、10分の1くらいまで絞って“本当にいる?”って、次の日もまた考えたりして。
発田 私も前に言われたことがあります。夜中はちょっとテンションが高くなっていたりするから、翌朝“健全な心とカラダでカートを見直せ”って(笑)。
東原 ストレス買いだよね、完全に。
発田 うん、お菓子と一緒。
――実際に届いたものが思っていたものと違った、という失敗談も多いです。とくにマリソル世代は、生地感やシルエットの違いにがっかりすることも多いようで。
渡部 それはありますね。写真はよかったのに、届いてみたら「こんなに安っぽいの?」って。
東原 わかる! 私も一度、購入したものが、本当に着られないくらい生地がピラピラだったの。それ以来、あまりにも知らないブランドのものは絶対買わないです。
――いまは写真もおしゃれなものが多いですし、ある意味ダマされがち。そこを見極める方法はありますか?
東原 これは難しいですよね。でも正直言うと、やっぱりすごく安いものは“それなり”な気が。ECブランドは実店舗にかかるような場所代や人件費がないぶん、通常より価格が抑えられることはあると思いますが、ものすごく安いのにクオリティは驚くほど高い、というのはさすがにないと思うんです。
渡部 「ザシー」ではオリジナルも買いつけをした商品もありますが、届いたときにがっかり……ということだけはやめようと、必ず写真よりもクオリティがいいと感じてもらえるようなモノ選びを大切にしています。やっぱり“上質さ”というのは不可欠ですから。
東原 私も「アンクレイヴ」というECブランドのディレクションをしているのですが、たとえば生地にたるみがあったり、体のラインを拾ってしまうのは、どんなにデザインが可愛くてもダメ。せっかく一着買ってくださった方がもう二度と買わない!と思うことが絶対にないように、こだわって作っているのはあります。結局ECブランドって、信頼がないと続いていかないですし。
▲「体に合わせて結び目が変えられて、誰にでも似合うという『KkCo』のワンピースは『ザシー』の中でも売れ筋のひとつ。オールインワンなども人気です」(渡部さん)
発田 素材と縫製に大逆転はないじゃないですか。それを踏まえて、同じ値段なら立体感のある布帛のシャツより、縫製が比較的簡単できちんと見える平らなカットソーを選ぶとか、選び分けをすることも必要かもしれません。
東原 たしかに、ジャケットやコートなども、作りの善し悪しが出やすいかも。
発田 若いお嬢さんなら全然いいし、ワンシーズン可愛く着るくらいならいいですけど……。
渡部 マリソル世代はやっぱり、ちゃんとしたものを着たいですもんね。
東原 あと、通販って基本的には試着をせずに買うから、重いとか蒸れるとか、ポケットがないとか、そういった着心地の悪さも“失敗したな”と思いがち。
渡部 そうそう、だからワンピースがいちばん売れるんです。「ザシー」は下は10代から、上は65歳くらいまでと購買層も広いので、年齢も体型も選ばないEC向けの売り方を研究しているのですが、ワンピースだったら1サイズでもだいたいの背丈の人が着られたり、ニットも、シャツほどはこだわりなく、その人なりに着られるところもあったりするので、やっぱりこの2つは強いですね。
東原 そうだね。でもそういう意味でいうと「アンクレイヴ」はちょっと特殊で、きっとほかでは見つからなかったような、ジャケットとパンツがトップ2なの。
渡部 それって素晴らしいことだね。
東原 ジャケットは縫製にすごく差が出るし、パンツもシルエットが大事で、ウエストのサイズなどもあるから、私もほかの通販なら買わないって思っちゃうけど。きっとたくさんの方が着てくださって、信頼してもらえたのかな。
発田 マリソルの「M7days」ではボウタイブラウスとパンツが人気のようです。撮影した後にサンプルを細かく修正することもあるし、それが功を奏してか、リピート買いしました!なんて声もよく聞きます。
渡部 一度気に入るとリピートしちゃうよね。ECブランドって買い続けるか、二度と着なくなるか、両極端かも。
東原 だから、とにかく信頼! ちゃんとお値段以上で、がっかりさせないことが大事です。
▲「一昨年くらいに発売した『アンクレイヴ』のはっ水コートは、変わらず愛用中。イージーケアや洗えるといった機能性も、通販で買うときのあと押しに」(東原さん)
▼後編はこちら
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「どこを見る?何を買う? 達人のお買い物ルールとは」 【ネット通販で失敗しないための買い物術」(後編)】
いまやマリソル世代のおしゃれにも欠かすことのできないネット通販。家にいながら、あらゆる時間に、ほしかったあのアイテムを世界中から手に入れることができるという手軽さや便利さが魅力の反面、つい衝動買いしてしまったり、イメージと違うものが届いたりと、失敗や悩みもつきもの。そんなネット通販とより上手に付き合うためのヒントを、おしゃれのプロであり、通販の賢者でもある3人に聞きました。