なかなか足を運べなかったのですが、会期終了間近にやっと行くことができました!
絵画に全く詳しくない素人の感想ですが、私が感じた本展覧会の見どころを3つご紹介しますね。
①最後の「糸杉」が16年ぶりに来日!
色調も構図もとにかく完成度が高く、ロマンチックさ、素朴さ、そこはかとない非日常感など、本来であれば相反するであろう様々な要素を一度に感じる不思議な迫力のある絵でした。この一枚のためだけに足を運んでも良いと思います。
②52点の作品から、作家人生そのものを辿ることができます
初期の暗い色調から、画風が大きく変化し、完成に至った晩年まで、幅広い作品を目にすることができ、短時間でゴッホについて理解が深まった気がしました。
素人的な感想でお恥ずかしいですが、初期と晩年の作品とでは、同じ人が描いたとは思えないほど乖離を感じました。それが、日本の浮世絵など様々な文化を吸収した結果なのか、精神の病の影響なのか、ゴッホの短い人生そのものについても考えさせられます。
③女性収集家の生涯にも思いをはせると、違った感想が生まれてきます
富豪の妻であり4人の子の母として、何不自由ない生活を送っていたヘレーネは、40歳を前にして、自分の人生に何か欠落していると感じて、美術の勉強を始めたそうです。
マリソル世代にして人生の転機を迎えた女性、と思うと、ヘレーネにどこか親近感を感じますよね。
美術界では女性の発言権などなかった時代に、個人収集家として名をはせ、ゴッホの名声を高めた立役者とまで言える存在になったへレーネ。彼女はゴッホの絵のどこに魅力を感じ、何にとりつかれていたのか?
ヘレーネの感じていた欠落は、美術収集によって補われたのでしょうか?
最近いろいろと欠落を感じがち……、な私にとって、ヘレーネの人生に思いをはせながら鑑賞することで、より興味深く作品を見ることができました。