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【Marisol世代が支持するプロに聞く! 私のおしゃれフィロソフィ Vol.1】Chaos ディレクター・櫛部美佐子さん

多くの人たちに愛され、支持されるブランドには理由がある。それはデザインだけにとどまらず、作り手の思いが息づいているかどうか。今月から始まる新企画では、ブランドを牽引するデザイナーやディレクターにその思いをインタビュー。記念すべき連載第1回目は、自他ともに認めるスーパーポジティブ マインドの持ち主、Chaosの櫛部美佐子さんに話を伺った。
カオス櫛部美佐子さん
「大人のための上質な日常着」を提案するChaos。素材やディテールにこだわったオリジナルと、国内外で買い付けたアイテムをバランスよく発信するすべてのディレクションを務める櫛部美佐子さんに聞いた。
______洋服やおしゃれについて思い出に残る記憶は?
幼少期から中学時代は、洋裁が趣味の母が作ってくれた服を着て育ちました。両親の里帰りには母が縫ってくれた”ハレの日の服”を着るのが恒例で、一番思い出に残っているのが、ふりふりをたっぷりあしらった緑色のベルベットワンピースです。三姉妹の末っ子だった私は、姉は胸もと、私は裾という具合に切り替えの場所を少しずつ違えたデザインが嬉しくて。袖を通したときのルンルンした気持ちは今も忘れられません。小さい頃から仮縫いのちょっとした緊張感や洋服で気持ちが高揚することを知ったのは、母の影響が大きかったですね。中学の家庭科の授業でタイトスカートを作ることになったときは「普通のタイトなんて作りたくない」と、母に手伝ってもらいながら切り替えをたくさん入れた、良くいえば個性的なタイトスカートを縫い上げました(笑)。先生はビックリしていましたが、母はおもしろがって協力してくれたことがいい思い出ですね。
______その経験からデザイナーに?
小学校3年のときの将来の夢はすでにデザイナーでしたが、自分で服が作れることのおもしろさを知ったのは中学生になってから。その頃には、絶対に文化服装学院に行くと決め、高校卒業と同時に憧れの文化のファッション工学科へ進学しました。
______有言実行、初心貫徹! どんな学生時代を?
1年生で習得する基礎科が終了すると、デザイナー志望はデザイン科へ進むのが一般的。当時はデザイナーズブランド全盛期で、ほとんどの学生が迷わずデザイン科へ進む中、私はMD(マーチャンダイジング)科を選択しました。”デザインは自分の中の感性を磨くもので習うものではない”と思っていたのですから、いま思えば生意気にも程があります(笑)。MDの必要性を何となく感じて選んだ結果でしたが、講師から「服を売ること」の大切さを教わったことはとても有意義でした。
______卒業後、念願のデザイナーに。憧れの世界はどうでした?
卒業後、あるブランドに就職しました。小学生の頃からの夢だったデザイナーとしてのスタートを切ったわけですが、ここからがデザイナー修行の始まり。月~土曜は毎日終電に飛び乗り、日曜日は市場リサーチに駆けずり回りました。貴重なお休みなのに、と思われるかもしれませんが、月曜の朝一から行なわれるミーティングで女ボスから「櫛部、あそこのブランドのあれ、知ってる?」などと試されるような質問を次々投げられるので、知らないなどといえるはずもありません。また、一緒に外出すれば「前を歩いている女の子のワンピース丈は何センチだと思う?」と、突然試されるので気が休まりませんでした。「眼尺を養いなさい」、「いいものはすべて、目で情報を得ること」…ボスから学んだ教訓は、デザイナー人生に欠かせない大事な指針。でもそれに気づけたのは、私が当時の彼女の年齢に近づいたからかもしれませんね(笑)。
カオス櫛部美佐子さん
______訪れる転機。櫛部さんならではの決断とは?
その後、いくつかのブランドに転職。「売れるものを作らなくてどうする!」という思いでデザインと対峙する日々が続きました。すべてが経験、無駄なことなどひとつもないと思って走り続けてきましたし、その経験は宝ものです。でもあるとき、ファッションに矛盾を感じるように。それは苦労して作った服が短い旬を追えてセールに回ってしまうことや、服のサイクルといったデザイナーにはどうすることもできないことばかり。そのうち「ファッション、何か違う!」との思いが積もりに積もって弾けてしまい、業界から距離を置くことを決めました。憧れのデザイナーになって約18年が経っていましたね。

とにかく違う道に行きたい! その一心でしたが、回りから見たら破天荒な人に見えたでしょうね(笑)。ヨガのインストラクターを目ざしてインドの山奥まで修行にいったり、アロマセラピストの資格を取ったり、ハワイでのんびりしたり…。いま思い返すと、自分探しの旅をしていたのかもしれませんね。
Chaos櫛部美佐子さんの手元
______多くを手放し「ゼロ」になったことで見えたものは?
ここまで読んでくださった方は「なぜ、またデザイナーに?」と思われるかもしれませんね。でも自分が戻れる場所、自分の価値が見出せる場所はデザイナーしかなかったのです。そして何より、服が好きだということが一番の理由かもしれません。それでもトレンドを求められる服作りに携わることにはまだまだ抵抗があり、ヨガウェアやアウトドア系のブランドに籍を置いていました。フリーランスという働き方に転換したのもこの頃です。

その後、ご縁をいただきChaosの立ち上げからディレクターに就任。ゼロから腰を据えて
新しいブランドに向き合うのは人生初でしたので、引き受けするにあたり強く意識したのが、”きちんとした物づくりをしてクローゼットに残るものを作りたい”ということでした。ワードローブを見直すとき、捨てる服と残す服に仕分けをしますよね。そのとき、残す服に選んでもらえる服を作り続けたい。そのためにはデザインはもちろん、素材選びから縫製までのすべてに納得し、自信を持って世に送り出すことが大事なのだと。一度離れた世界に戻るわけですから、そこは譲れません。
______自ら再び選んだ道。インスピレーションの源は?
ボスから叩き込まれた「いいものはすべて、目で情報を得ること」を、ずっと無意識に続けています。旅先で出会った民族衣装の配色や刺しゅうの模様、陶器市で見かけた焼き物の質感、ホテルの部屋に敷かれた絨毯の柄などなど。直観的にいいなと感じて吸収したもののすべてが私の中にストックされていて、何かのはずみにポ~ンと飛び出してくるのかもしれませんね。
______メンズのデザイナーを兼任。今後は?
今秋、デビューするメンズブランド「HUMVENT(ヒューベント)」のデザインとディレクションに新たに挑戦しています。メンズのおしゃれには昔から敬意を払っていると同時に、いつか手がけてみたかったことのひとつでしたので、男性にはこういう服を着て欲しいとの思いを込めたオーセンティックなラインナップに。私の手がけたメンズをお披露目会でオーダーして下さる方がいらっしゃったことはデザイナー冥利に尽きるできごとでした。

今年で5年目を迎えるChaos。シーズンや季節を越えて作り続ける定番アイテムが少しずつ増えてきました。一歩ずつでも理想の形に近づいていることが実感できるうれしいニュースです。子どもだった私が母の作ってくれたワンピースを着たときに感じた高揚感や、服の力を借ることで自分に自信が持てたときの気持ちの高ぶりを皆さんにお届けできたら! 
おしゃれは人生を豊かにするツールのひとつ。これからも楽しんで行きたいです。
<今日のスタイル>
Chaos櫛部美佐子さんの着こなし
上質リネンのワンピースにニットパンツを合わせて。「これからは涼しくて着ていて気持ちのいいワンピースが一番。シンプルな着こなしなので、シルバーやゴールドのジュエリーをミックスしてツヤをプラスします」
<推しアイテムをCHECK!>
  • 麻のブルゾン

  • タンクトップとタイトスカート

(左)麻本来のネップと程よい光沢感を生かしたライトな着心地。しゃれたムードが漂うモカは、別注のオリジナルカラー。 フロマージュリネンブルゾン¥50,600 ≫

 

(右)定評のあるシルク混ストレッチ素材を使ったブランドの新定番。 シルク混ニットタンク¥19,800・シルク混ミラノリブタイトスカート¥27,500

 

  • シルバーバングル

  • お香

(左)形から文様の全てを櫛部さんがデザイン。アフリカ・サハラ砂漠で暮らすトゥアレグ族にオーダーした価値ある逸品。アダワットトゥアレグ 別注バングル¥66,000
 
(右)櫛部さんが京都の老舗<山田松香木店>とタッグを組んで自ら調合したオリジナルのお香。吸収と浄化の意味を込め、岩塩やクリスタルを添えても。お香C22¥13,200
 
カオスショップ
Chaos OMOTESANDO
東京都渋谷区神宮前4-10-5 C&Cビル1F
☎03・6432・9277

 

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