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口ぐせは「芸人たるもの」。何かと空回りしております。

職業:美術館職員
My favorites:アート鑑賞、宝塚鑑賞、建築鑑賞、K-POP鑑賞、とにかく鑑賞。

昨今はおしゃれ迷子ですがなんとか生きています。
猫、夫、自分の3つの生命体で一つ屋根の下に生息。酒は飲めないが四文屋にいがち。

身長:168cm

ゲルハルト・リヒター展 私たちは見たいように物事を見ている

東京国立近代美術館で開催中の展覧会「ゲルハルト・リヒター展」にドロップイン。最寄駅・竹橋から美術館へ向かう道中さっそく「竹橋」を渡りつつ、橋の下の水面を埋め尽くす一面の藻に、並々ならぬ生命力を感じちょっぴり癒される。駅名の表記は「たけばし」だけれど橋の表記は「たけはし」だった(どうでもいい)。
<<花>> 1992年 ゲルハルト・リヒター
<<花>> 1992年 ゲルハルト・リヒター
※ブログ中に使用している画像はすべて、展覧会にて撮影可能、尚且つ自身が撮影したものを使用しています。

暑い。皆さんはお元気でしょうか……。
諸事情ありブログ内容がまったく気持ち悪かろう方向にいっておりますがファッションの片手間に、もう手持ち無沙汰でやることがなく辛い時分にこのブログを思い出してくださったら本望です思い出してお願い。
会期 2022年6月7日(火)~10月2日(日)
会場 東京国立近代美術館
さて「ゲルハルト・リヒター展」である。
初耳のお名前、リヒターってことはドイツの方かしらん?くらいの知識で情報を求めて様々なWEBサイトを熟読。美術館勤務という肩書は所詮「単に勤務している人」である(あくまで私に限っての場合)。

“ドイツ・ドレスデン出身の現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター(1932~)"とのことで、御年90歳の現役アーティストである。しかも最新作を引っさげて、東京では初個展(日本では16年ぶり)というではないか。現役のアーティストによる美術館個展とはいうのはなかなか貴重な気がして、いそいそと竹橋くんだりまで推参。

彼の経歴などは検索すれば豊富に素晴らしいサイトが存在するので割愛するとして、公式サイトの作家近影にしばし恐縮。眼光鋭い御仁である。
リヒターの60年にもおよぶ画業が見られるとあって、点数も多く、歴史ある近代美術館において圧巻のプレゼンテーションが繰り広げられていた。

リヒターの作品において印象的なのは独特の技法だ。実際の写真を精密に模写したのちにイメージをぼかしていく「フォト・ペインティング」というそれは、今見ているものを確実に認識しようとする人間の性を浮き彫りにされた気になる。ピンぼけ写真を見せられているような絵画にしばし直立。 いや立っててもピントは合わないのだけども。この「じっと見る」というのがキモだ。元来私は絵画を見ているようで見ていないのかもしれないと気づかされる。
&lt;&lt;ユースト(スケッチ)&gt;&gt; 2005年 ゲルハルト・リヒター
<<ユースト(スケッチ)>> 2005年 ゲルハルト・リヒター
「ある絵を見たときに衝撃を受けて動けなくなった」という話を聞く。自己の鑑賞を振り返ってみると動けないときは他のことを考えていることが多い(白い絵を見て「冷蔵庫に牛乳あったな」等)。その点、リヒターの描く作品には見る・見つめるという行動が自然と促される。「なんだろうな・・・・・・」と見ているうちに「私は何を見たいんだろう?」という問いが生まれてくる。結局、個人の見たいようにしか物事は見られないのかしらん、なんてことを考える。
&lt;&lt;グレイ(樹皮)&gt;&gt; 1973年 ゲルハルト・リヒター
<<グレイ(樹皮)>> 1973年 ゲルハルト・リヒター
新作の「ビルケナウ」はホロコーストを主題に置いているという。日本人にはその歴史の深層をわかるよしもないという点で、この巨大な4作品に私たちは何を見るのか。写真の模写などもはや見る影もないくらいに埋め尽くされた色。あらゆる感情が去来する中、表現を続けることの、痛み。想像を絶するからと言って、理解することを諦めたくはない。アートはいつも問いの繰り返しだ。作家の表現に自分だけの解釈を重ねて、そして心を重ねる。どの国にいようとどの文化で育とうと、自分と交差する瞬間が必ずあることを、アートは教えてくれている。
《ビルケナウ》(2014年)(937-4) ゲルハルト・リヒター
《ビルケナウ》(2014年)(937-4) ゲルハルト・リヒター
会期 2022年6月7日(火)~10月2日(日)
会場 東京国立近代美術館
白線から出ないようにね!
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