「おでこに乳がんと書きたい」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.16】

第16回目 「おでこに乳がんと書きたい」体調が悪いのって目に見えない!

がん封じ神社のお守りを見て泣いた義母に叱られた夫は世話焼きが加速。部屋もきれいに模様替えされて快適になった我が家での退院後の生活が始まったケビ子

乳がん・ニューライフ (第15回はこちらから)

第16回は電車での出来事と遺伝子検査の話。

【生活そのものがリハビリ】
退院する際に先生に言われたこと。


「生活そのものがリハビリになるからどんどん動いてとくださいね。1週間もすれば仕事も全然いける、ぜ~んぜんだいじょうぶ」と。


しかし世の中コロナが大盛況。電車に乗るのがとても怖い。免疫力が落ちているところに密は避けたい。
そういう気持ちがあるからだろうか、体は都合よく発熱した。
退院してしばらく発熱が続き、37℃~37.5℃あたりをうろうろしていた。
9月いっぱいそんな体温で、結局ほぼテレワーク、たまに出社しても時短で15時には電車に乗って帰宅した。


世話焼きで過保護な夫は私のしたいようにさせてくれた一方で、退院後も20時過ぎには寝る私をよそに肉のちぎれる音や銃声、抜刀の音が頻繁に出てくるドラマ「ゲームオブスローンズ」を遠慮なしの大音量で楽しんで観ており、トイレに起きると「助けて助けて」と叫ぶ女の声が部屋中にこだまして、気落ちした。


【おでこに乳がんと書きたい】
そんな状況下でも一度だけ定時まで働き、通勤ラッシュの時間帯に電車に乗ることがあった。
席は埋まり、数名が立っている状況。通勤ラッシュと言えどコロナ禍のためか混んではいない。


術後間もない私はつり革を掴むには腕が上がらず、背中のリュックを前にするには傷が痛み、網棚にリュックを乗せることもできず、要するにやむを得ずリュックをしょったまま立っていた。
それほど混んでもいない車内だが、わざとなのか何なのか私の後ろにわざわざ立って何度もぶつかってくる女性がいた。リュックが迷惑なのだろう。申し訳ないね、と体をずらしてもまたぶつかってくる。望んでもいないぶつかり稽古に参ってしまい、ああ、病名をおでこに書けたらどんなに良いだろうかと半泣きになった。


恨めしく優先席の前に立ってみても当然誰も席など譲ってくれず、少々丸みを帯びた健康優良熟女に見える自分を恨めしく思った。帰宅してどっと疲れが出てしまい、落ち込みも激しく豆腐メンタルの上に都合よく発熱もあってしばらく出社は見送った。
タイミングよく私の上司の奥様が私の体を大変気遣ってくださった。私が出社していることを知って驚き、上司に声をかけてくれた。
「術後間もないから免疫力も落ちているだろうし、急いで出社することはないからゆっくり養生してください」と。
女の病気は女が味方してくれるのだなあと思わぬ援護に心から感謝し、ちょっと苦手イメージを持っていたオーナー社長夫人を見直した。(メロンとマンゴーもくれたし)



【おちちの誓い】
コロナ禍となって割とすぐのニュースを思い出した。
曰く、人によってはマスクができないだの、咳はぜんそくで仕方がないだのと見える形でアピールするバッジのようなものが出回ったというニュース。


おでこに「乳がん・術後で腕上がらず」と書いたらラクだろうなあと思いながらしばらくは定時まで働くもんかとおちちに誓ったのである。加えて自分の経験から少し不便そうにしている人がいたら優しいまなざしを向けることができそうだと思った出来事であった。


裏を返せば、これまでの私は目に見える形で優先席を欲しているだろう人にのみ優しさを向けてきたのだなあと実感するのである。反省しきりである。


「おでこに乳がんと書きたい」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.16】_1_1
【遺伝子検査】
術後2週間後の検診で先生から遺伝子検査を勧められた。
父母、姉、祖母など寄せ集めたら五臓六腑にがんができている我が家系。
がんと診断された人のみ遺伝子検査が保険適用になるからとのことであった。


数年前に母が乳がんを罹患したため、今回の件について母は「自分のせいかもしれない」と思うタイプの人間である。
実際謝られた。「そんな風に産んじゃってごめんね」と。どんな風なのだろうかと思ったがそれには触れず、私には子どもがいないが、姪っ子甥っ子はいるので遺伝性のものかどうかは調べて損はなさそうだなと思ったことと、先生と看護師、スタッフ、病院への感謝が大きくおそらく遺伝子検査受診回数というのは成果の一つになるだろう(ケビ子の勝手な想像)から貢献しましょうか、という謎のスポンサー精神が働き受診を決めた。


1か月後の検診時に遺伝子検査をする予定となった。


つづく


※次回【Vol.17】は8/12公開予定です。

※この記事はケビ子さんの体験に基づいて書かれており、2021年12月当時の情報をもとにしています。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
カモチ ケビ子
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている
Instagram(@kbandkbandkb)ピンクリボンアドバイザー(初級)資格保有

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