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「ホルモン剤というやつは」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.18】

第18回目 「ホルモン剤というやつは」薬一粒でアンニュイな私。

遺伝子検査を受けた。遺伝性だと思い込んでいたがまさかの陰性。いったい何がどうして乳がんになったのか犯人捜しをしたくなってしまう。

乳がん・ニューライフ (第17回はこちらから)

第18回は術後の治療、ホルモン剤の話。

【みんな苦しいからこその病状マウント】
遺伝子検査を打診された日は手術の病理検査も出そろい、判決を言い渡された。
進行度を示すステージと乳がんの性質を示すサブタイプもここではっきりした。


あけすけにこうした情報を開示することに何ら抵抗がない反面、なるほどこういう世界があるのかと思ったのがいわゆるステージやサブタイプが自分よりも軽度と思われる方への当てこすりのような表現。


「乳がんって言ったって私のようにもう効く薬もないのとはわけが違うんだから」だとか「早期発見した人がうらやましい」などの書き込みを多く見かけて自分は乳がんになってあれほど苦しみ、悩み、落ち込んだのだが、もしかしたらそうした苦悩は表に出してはいけないほどの程度だったのかと乳がん患者間のレベル判定のようなものを感じて多少のショックを受けた。


勝手に病状マウントと呼んでいるのだが、自分の方が大変なのだ、辛いのだ、と病気についても比較で物事を見たがる人がいるのだなと知った。「辛いです」と言えば「私の方がステージ上だし辛いです」と。


ついては、確定した「ケビ子の乳がん」のグレードは明記を避けたいと思っている。
程度の差こそあれ、乳がんとなったそれだけで十分に苦しいのである。


これは後日詳しく書いていきたいと思っているのだが、そうしたわけで、乳がんでない人からの悪気のない「早期発見で良かったジャン!」と言った励ましも大変なダメージを食らうこともわかり、自らの過去の発言を反芻しては消え去りたい気持ちになったことを告白する。


【果てしないホルモン剤物語】
部分切除の場合、ホルモン剤と放射線治療がほぼワンセットとなるようだ。
乳がんを告知された際にあらかじめこういう治療になるだろうと先生からは言われていたので、そういうつもりで調べてはいたのだが、個人的に放射線治療が名前のイメージからもとても怖くてできればしたくない、先延ばししたい、そういう思いを引きずっていた。


乳がん先輩の母ちゃんにホルモン剤の話を聞いてみたところ、母ちゃんは抗がん剤よりもホルモン剤がきつくて途中でギブアップしたほど体に合わなかったと言っていた。
今回の乳がんは遺伝性ではないことが検査でわかったものの母親とは見るからに体質が似ていると思っている。
となるとホルモン剤への恐怖も増して「ホルモン剤 副作用」とそれはそれは何度も検索しては落ち込んだ。とにかく吐き気と太りやすい、という言葉が書いてあった。


乳がんとなってから毎朝体温を測るようにして、おおよその体調を管理していこうと決めた。薬を7時45分に飲むと決めて飲み忘れ防止のアプリをダウンロードしてなんとか毎日飲んでいる。


飲み始めはおっかなびっくり副作用というものはどういうものだろうかと自分の体調を見ながらの服用だったこともあり、体調をメモして先生に報告できるようにしていた。
術後はなぜか体温が高く37℃から37.5℃あたりをうろうろしており、これがホルモン剤の影響なのか出社したくない病なのかは不明なまま時は過ぎた。


私の乳がんは女性ホルモンのエストロゲンを栄養として大きくなる性質があるタイプだそうで、そのエストロゲンを抑える薬を飲むということだそうだ。
エストロゲンを抑えることにより、がん細胞の縮小や再発を予防するそうで、白いバファリンほどの大きさの錠剤を毎日1錠、5年間毎日服用することになった。ちょうど更年期にもあたるため5年という設定だが、人によっては10年服用にもなる果てしないホルモン剤物語である。



「ホルモン剤というやつは」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.18】_1_1
【果てしないホルモン剤物語】
このホルモン剤はタモキシフェンという名前なのだが、面白いことがあった。


3か月に一度の検診時に薬も3か月分まとめて調剤してもらうのだが、1クールだけいつもの製薬メーカーとは違う会社の薬となった。薬剤師曰く「全国的にいつもの会社のタモキシフェンが不足しています」とのことで、「そんなことあるのかよ!」とようやく慣れてきたと思った薬が変わることへの抵抗は思いのほか大きかった。


同じタモキシフェンでも製薬会社が違うと多少の添加剤が異なるようで、体調に変化があるかもしれないとは聞いていたが、私の場合はそれが顕著で薬が変わって1か月ほどは使い物にならないほど寝込む回数が増え、発熱も続き、体の倦怠感と体重の上昇が著しかった。辛い一か月であった。


幸い、その期間を超えると体がスンと慣れていくのを感じ、体調が驚くほど軽くなった。ちょうど今年のゴールデンウイーク頃の話なので、それほど前ではないのだが、まだまだ不慣れなことが多い上に今後も3か月に一度の調剤では同じようなことが起こるかもしれない恐怖があるのだ。


見た目にはわからない不調は理解を得にくいし、なんとなく甘えのような気もしてつい頑張ってしまう昭和の女。峠を越えて初めて夫に「調子悪かった」と言えるというまだまだ甘えられない意固地な女である。



つづく


※次回【Vol.19】は9/9公開予定です。




※この記事はケビ子さんの体験に基づいて書かれており、2021年12月当時の情報をもとにしています。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
カモチ ケビ子
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている
Instagram(@kbandkbandkb)ピンクリボンアドバイザー(初級)資格保有

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