このキービジュアルを見てもお分かりの通り、夏のヨーロッパ、とくに少し田舎町での夏は光が本当に美しいですね。
気候もカラッとしていて、日も長い(夜9時くらいまで明るい)から、格別な季節です。
また、ちょっと探検して分け入れる森や流れの穏やかで浅い川がいくつもあって・・。「自然の中、川で泳ぐ」なんて東京に住んでいると夢のまた夢ですが、割と身近なことだったりして。
懐かしいなぁ。
実は私自身、10年ほど前の数年間、育児休暇を夫の実家のあったベルギーで過ごしたことがあり、そのときの夏の風景がありありと蘇ってきます。
この映画のストーリーは、若者が恋する相手を追いかけて、その旅先であるヴァカンス先に訪れて・・と言うところから始まるもの。
そのきっかけの行く末も気になるところですが、顛末はとても驚いたり、ドラマチックということではなく、「あぁそういうこともあるよね」「こんな人もいるよね」と思わせられる、いわば”見守り”モードで済む!?感じなのですが(注:あくまでも私の感じ方です)、なぜか一秒も退屈をしない映画でした。
愛しい夏の風景が、随所に盛り込まれているからでしょうか。
車の移動、サイクリング、川遊び、旅行者たち、現地の若者と飲むお酒、ちょっとだけハメを外した夜のカラオケ・・。
この映画は、ギヨーム・ブラック監督がフランス国立高等演劇学校の学生たちと制作したそう。(だからこんなにみずみずしいのか。)
俳優は長篇映画に出演するのがはじめての学生たち、スタッフもできるだけ若い人。
ロケ地はパリからおよそ600km南に離れたドローム県の小さな町ディー、というところ。
あぁ、こんな心も体もリフレッシュできそうな、素朴なヴァカンス先が日本にもなかったっけ?! などと考えてしまいます。すぐに行けなくても、こういうのもいいよね、と思いながら疑似体験したような気分になります。
旅行に行くのは、大人になるとどうしても“リフレッシュ”が目的として先にたつところはありますが、そういえば若いころは、リフレッシュは二の次に、何かの出会いや冒険、ちょっとした出来事に心をむしろ“忙しく”して帰ってくることもあったなぁ、なんて思い出します(笑)。
ストーリーに強さがあり過ぎない分、自分の思い出もふっと思い起こさせてくれる、そんな余白のある素敵な映画です。
まだまだ上映続行のようなので、ぜひシルバーウィークのお出かけ先にも!
Marisol編集長ウド