高校から付属の女子高に入り、大学では博物館学芸員の資格が取れるコースのある被服科に進学。もともと絵を描くことや工作が好きだったので、美術に関わる仕事に就けたらと思っていました。人生の大きな転機が訪れたのは、大学卒業の間際。高校時代からの友人に誘われて始めたアルバイト先で、スタイリストアシスタントを探していると誘ってもらったことで、自分の夢が見つかったと感じました。某メゾンブランドに就職をと思っていた矢先でしたが、母を説得して卒業と同時に当時、雑誌「CanCam」で活躍するスタイリスト大嶋みか氏のアシスタントに。この高校に入ってここでバイトをしていなければ、スタイリストになることはなかったと思うとすごく感慨深いです。
私はものすごく人見知りで、社交的なことがとにかく苦手。この歳になってそんなこといっている場合じゃないのですが(笑)。だから作品を持って自分から売り込みに行くことをしてこなかったのです。そんな私が今日まで仕事を続けてこられたのは、多くの人がつないでくださったから。私の仕事を雑誌で知った編集部の方やフリーのライター、カメラマンの方々が「一緒にやりませんか?」と声をかけてくださり、なんとか今までやってこられたんです。ありがたいですし、感謝しかありません。そんな皆さんとご一緒できている今、とっても楽しくお仕事をさせてもらっています。
今もリアル主義に変わりはありませんが、年齢を重ねた分、服と価格のバランスについてはよりシビアに。“これはない”と思う服は提案しません。例えば、冬のボリュームコートの足もとに華奢なサンダルを合わせるとそれは素敵ですが、実際、普段にははきませんよね。そういうことがますます譲れなくなってきました(笑)。
最近では、「マリソル」や「エクラプレミアム」で服作りのディレクションの機会をいただき、仕事の幅が広がりました。生地を選び、欲しかったものを作らせていただけることがこんなに楽しいとは。既存の服でスタイリングをするのとは違って、異なるリアルに踏み込む感覚でした。
私自身が心がけているのは、立ち止まらないこと。アウトプットとインプットを常に行っていくことで、自分の中のリアルが更新されていくのだと感じています。
独り立ちしたときの不安感を今も持ち続けているという徳原さん。トップキャリアに甘んじることなく謙虚な気持ちを忘れずにいる姿勢が、多くのスタッフから愛され信頼される理由。徳原さんに忘れられない着こなしがあるように、彼女が提案したマキシスカート×スニーカーのスタイリングが、忘れられない着こなしとして多くの女性の心に刻まれていくはずだ。
徳原さんがレディース部門のディレクターを務めるオーダースーツブランド「DIFFERENCE」。そこで仕立てたというダブルのジャケットとマキシ丈のタイトスカートという組み合わせが新鮮。「カジュアルに着られるスーツが欲しくてディレクションしたものをオーダーしました。ボックスシルエットでメンズライクなジャケットと、私のトレードマークともいえるマキシ丈のスカートにはやっぱりスニーカーを合わせます」。ショップでのオーダーはもとより、スマホアプリだけで採寸からオーダーまでが完了する画期的なシステムにも注目が集まっている。セットアップ¥41,800~、ジャケット¥29,260~・スカート¥14,630~/DIFFERENCE青山 ≫
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