2014年から19年まで5年半の長きに渡り、宝塚歌劇団花組トップスターを務め、人気を牽引してきたレジェンド、明日海りおさん。宝塚退団後、映像から舞台まで活動の幅を広げているが、新たな試みとして挑んだのが、自身の冠番組であるHuluオリジナル「明日海りおのアトリエ」。明日海さんが日常を豊かに盛り立てるテクニックを学び、大人の女性の楽しみ方を垣間見れるドキュメント・バラエティーだ。「宝塚以外で、しかもこういった番組を一人でやるのは初めてだったので、楽しんでいただけているのか最初は不安でした。私一人だと割とのんびりしてしまうというか、まったりしてしまう感じなので(笑)、果たして成立しているのかなって思ったんですけど、スタッフのみなさんのおかげで、ゆったりしながらも、いいツッコミを入れてくださったりして、ただ流して見るだけでもリラックスしていただける番組になったんじゃないかなと思います。Twitterなどでも土鍋でご飯を炊くのを見ながらやってみましたとか、この道具を取り寄せて私もやってみましたって書き込みをたくさんいただいて、たくさんの方が楽しんでくださったのが嬉しかったです」
そのSeason2が、Huluにて独占配信中だ。「半分冗談で次は大好きなハワイで、と言っていたのですが、本当にSeason2をやらせていただけるなんて。Season1を見ていただいたみなさんのおかげなので、素直に嬉しかったです。Season2ではアトリエを飛び出し、また新しい出会いや学びをたくさん得たので、さらに良い番組にできたらいいなと思いました」
宝塚時代、舞台上で役に入り込むことから「カリスマ」と評されていたが、この番組で
「私の自然体なところや素顔がいいかは謎ですが(笑)。役があると自分のやるべきことがはっきりしているんですよね。でも、舞台で役が終わって挨拶をしないといけない時、力が抜けてしまって、『みんな助けて〜』ってなります(笑)。この番組はSeason1を経験したこともあって、自然体でいればいいということが安心感としてあるので、出会うものに対して自然にリアクションしていくスタイルになっています。監督が『明日海さんは本当にご飯をおいしそうに食べますね』っておっしゃってくださるので(笑)、素でいられてるんだなって感じています」
Season2ではアトリエを飛び出し、沖縄と生まれ故郷の静岡へ。「海が好きなんです。ビーチサンダルなど動きやすい格好が好きなのと(笑)、暖かく海が綺麗でご飯がおいしいというのを叶えてくれたのが沖縄です。あと、自分のルーツをたどる、振り返るという意味で、スタッフさんからも私からも静岡という場所が候補として出ました。静岡から離れてだいぶ年月が経っていますし、意外と子どもの頃のことは、こういう機会がないとなかなか思い出せなくなっていました。通っていた小学校やバレエ教室や発表会で立った舞台など行ってみたんですけど、すっかり忘れていたことが、景色を見たり、懐かしい人に会ったりすると蘇ってきて、自然に涙が出てきました。大人になってしまったんだなあって(笑)」
本作のようなドキュメンタリーでの素の部分も魅力的だが、女優としても今後の活躍から目が離せない。「宝塚を卒業した女優さんだよねっていうだけではなく、舞台でも映像でもこの人のお芝居や表情が素敵だなとか、役に見えていたり、好きだなって思ってもらえるような惹きつける力のある人になりたいです。でも、何より自分自身が一つ一つ納得してやる人間でいたいです。消化不良ではなく、自分がやりたい方向で力を発揮できる力をつけていきたいですね」
Profile
あすみ・りお
1985年6月26日生まれ。静岡県出身。2003年、宝塚歌劇団入団。14年に花組トップスターに就任後、5年半にわたって活躍。タカラジェンヌとしては初となる横浜アリーナでコンサートを開催するなど活躍し、’19年に退団。退団後は女優として舞台、映像を問わず活動の場を広げている。退団後の活動として、映画「ムーラン」の日本版声優ほか、NHK連続テレビ小説「おちょやん」、カンテレ・フジテレビ系「青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-」、舞台「ポーの一族」「マドモアゼル・モーツァルト」「ガイズ&ドールズ」などに出演。