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「メンズっぽさとトレンド感をモダナイズさせた時代性を大事にしたい」 ラシュモン ディレクター兼デザイナー 織田奈穂子さん【私のおしゃれフィロソフィVol.8】

多くの人たちに支持されるブランドには理由がある。それはデザインだけにとどまらず、作り手の思いがしっかりと息づいているかどうか。ブランドを牽引するデザイナーやディレクターにその思いをインタビュー。連載8回目は、「ラシュモン」のディレクター兼デザイナーの 織田奈穂子さんに話を伺った。
「メンズっぽさとトレンド感をモダナイズさせた時代性を大事にしたい」 ラシュモン  ディレクター兼デザイナー  織田奈穂子さん【私のおしゃれフィロソフィVol.8】_1_1
自分のスキルを好きなことに生かしたいと、商社勤務から人気セレクトショップのバイヤー&MDに転職。その後、セレクトショップのディレクターを経て5年前に自身のブランド「ラシュモン」を立ち上げた織田さん。
______ユニークな経歴。思い切った理由とそこで得たものは?
貿易商社でのOL時代に業種を変えるなら最後と思い、27歳のときにベイクルーズに転職。ディストリビューターとして「ドゥズィエム クラス」に配属されました。当時のベイクルーズは海外の商品を直輸入していたため、為替のことがわかっていた私はラッキーだったのかもしれません。私自身、もともとメンズっぽい着こなしが好きで中学時代は古着を探しに上野に通い、リーバイスの501やラルフローレン、パタゴニアなどの並行輸入品に夢中になったことからファッションにのめり込んで行きましたね。

仕事でもファッションに関われることがうれしくて、入社当時の記憶がほとんどないくらい無我夢中でした。ディストリビューターとは入荷の振り分けや在庫管理などが主な業務で、店舗の売れ筋などが理解できる仕事です。ちょうど代官山にショップができたタイミングでしたので、お客さまからの質問にきちんと答えられるよう事前に準備を整えて週に1度はお店に行き、どういう方が何を買ってくださるのかを興味深く観察することを続けました。3年後、バイヤーになりましたが全くの素人だった私が今あるのは、このときの経験があったからだと感謝の気持ちを持ち続けています。
______その後、自身のブランドを?
「ドゥズィエム クラス」には15年在籍して40歳のときに独立しました。同時にセレクトショップ「ラスティーク」を立ち上げることになり、MDとバイヤーをトータルで担当することに。当時ビームスのクリエイティブディレクターで、異業種コラボの元祖的な存在だった梶原由景さんと一緒に仕事をさせていただいたことが今でも私の財産です。残念ながらこのショップはクローズしてしまいましたが、この時の経験はすごく勉強になりましたね。その後はいくつかのブランドのコンサルタント的な仕事をしながら、2016年「ラシュモン」を立ち上げました。
______「ラシュモン」に込めた想いは?
おしゃれに目覚めたきっかけがアメリカの古着だったこともあってアメリカへの思いは強かったのですが、一方で20代後半に初めて訪れたパリの印象が忘れられなくて、パリジェンヌへの憧れを形にしたいという想いを「ラシュモン」に込めました。街の空気感、行きかう人たちなど若かった私には何もかもが素敵に写り、大人の文化がしっかり根付いている街にただただ憧れるばかり。当時も今も日本は若くてかわいいことやものを良しとするところがありますが、年齢を重ねていくことは楽しいことだと思わせてくれたのがパリでした。

ブランドのコンセプトを「Play to Elegance」(優雅に遊ぶ)としたのは、ベーシックなアイテムを着こなすことができるようになった大人の女性をイメージしてのこと。好きなベーシックを軸にトレンド要素も加えながら、自分らしさが感じられるパリで出会った女性たちのように肩の力を抜いて着ることができる、毎日袖を通したくなる服を目ざしています。
フランス語で”ゆるさ”を意味するラシュモンという単語をブランド名に決めたのも、そんな理由からでした。
織田さんの手元。ターコイズブルーのマニキュアに存在感のあるバングルをつけて
______服作りへのこだわりは?
そのときどきで興味があったもの、好きだったものが今の私を作っていると思うと、私のベースになっているのはメンズっぽさ。例えば、女性らしいデザインのドレスであっても素材にはブラックウォッチチェックを選び、合わせるのはローファーやスニーカーというように。この私らしさにトレンド感を程よく足して、それをモダナイズさせることで今年らしさが表現していけたら。そして何より「ラシュモン」の服を楽しんで着ていただけたら嬉しいですね。

若い頃はカットソーだけでもサマになった着こなしが、それだけでは難しいと感じる大人世代。私自身も体型が変わってきていることを感じるので、どう見えるのかを常に意識しながらシルエットにこだわった服作りを心がけています。
______デザインやアイデアはどのように?
ふらっと立ち寄ったお菓子屋さんのケースに並んでいたマカロンの色合いや、生地の素材感や色、柄からイメージが膨らむことも。次の春夏の場合は、京都で観たアフリカをテーマにした写真展からでした。自分の中にサンドベージュというキーワードはあったのですが、もう少し別の表現をと思っていたときに乾いた砂漠や夕日に照らされたカフタンシャツなどの写真が目に飛び込んできてイメージが一気に広がりました。そういう意味では、視覚的なものがヒントになることが多いのかもしれません。
______これからの「ラシュモン」に思うことは?
今も時間が許す限り、私の服を置いてくださっているショップに顔を出すようにしています。先日、あるショップスタッフの方から「織田さんの服を試着したお客様の多くは、高い確率でお買い上げになりますね。着ることで自分がきれいに見えることが分かっていただけるからだと思います」と言ってもらえたことが嬉しかったですね。
「ラシュモン」は今年で5年目を迎えましたが、自分自身にもっともっと力をつけていきたいと思っています。
〈今日のスタイル〉
「メンズっぽさとトレンド感をモダナイズさせた時代性を大事にしたい」 ラシュモン  ディレクター兼デザイナー  織田奈穂子さん【私のおしゃれフィロソフィVol.8】_1_3
トラッドを代表するオックスフォードのB.Dシャツにモダナイズさせたロングシャツは秋冬の新作。「トラッドベースのシャツには今どき感を感じるものを合わせます。今日はエコレザーのパンツで抜け感を意識しました」。オックスフォード フロントロングシャツ¥40,700/ラシュモン
〈推しアイテムをCHECK〉
  • オックスフォードシャツ

  • プリーツスカート

(左)織田さんが着用したフロントロング型と同素材のスタンドカラータイプ。スカートにもパンツにも合わせやすい。オックスフォード ハイネックシャツ¥38,500/ラシュモン
(右)まじめなトラッドとは一線を画す、イレギュラーなプリーツと切りっぱなしの裾がポイント。大人に似合うひざ下丈。ハウンドトゥース チェックスカート¥59,400/ラシュモン
  • アラン編みカーディガン

  • チェックのマキシ丈ドレス

(左)伝統的なアラン編みをモダンにアレンジしたゆったりサイズのカーディガン。ネイビーのラインが全体を引き締めて。アランブレード ニットカーディガン¥86,900/ラシュモン
(右)エレガントなマキシ丈のドレスにブラックウォッチチェックのツイードを採用することで、織田さんのアレンジが光る。ツイード ブラックウォッチドレス¥96,800/ラシュモン
■ラシュモン取り扱い店舗

※取り扱い店舗情報は、2022年12月14日公開時のものになります

 

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