坪田あさみ エディター・ライター
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ファッションセンスを「感覚」だけでとらえず、頭で理解する【「大人のおしゃれはこなれがすべて」特別編 vol.01】
センスのいい人だけが持つ「感覚」に頼るのではなく、「こなれて見える」コツを頭で理解し実践することをコンセプトにした、エディター坪田の著書『大人のおしゃれはこなれがすべて』(PARCO出版)。全3回のスペシャル短期連載では34あるメソッドから、ファッション・ビューティ・雑誌の3つのジャンルから、より深掘りしたい3つのメソッドにフォーカスしご紹介します!
程度の差はあれ「若見え」は
必ず下降線をたどります
みなさんこんにちは、エディター坪田です。私の著書「大人のおしゃれはこなれがすべて」(PARCO出版)から3つのテーマを取り上げ、さらに深掘りするスペシャル短期連載。第2回では、大人世代のビューティについてご紹介します。
書籍の後半にあたる12のメソッドでは、美容に関するいろいろなことを書いているのですが、私のビューティの大きな課題は「上手に年を取るのは難しい」ということ。これは後半部分の総扉のキャッチコピーでもあり、私が常々感じていることでもあります。どういうことかを説明していきましょう。
▲ビューティ編の目次はこちら。見出しを読んでいただくと、一般的なビューティ本とはちょっと様子が違うことに気づかれるかと思います。細かなHOW TOテクニックなどの記載はほとんどありません。
40歳を過ぎると「美しさを保つために何かしなくちゃ!」と焦燥感に駆られる人も多いのではないでしょうか? ちまたには手軽にできる美容医療やサロン情報が氾濫していますし、お金さえ出せば選択肢は山ほどある時代です。
だからこそ思うのは「方向性を間違うとイタいことになりそうだ」ということ。日本では今も「若く見えることが正義」のように語られていますが、本当にそうでしょうか?
「おしゃれな人」や「素敵な人」と感じる理由は、「若見え」とは同義ではありません。むしろお金をかけて何かをする前に必要なのは、自分を第三者的視点で冷静に分析すること。それをする前に「若見え」だけを追いかけると、人から見た時にとてもバランスの悪いことになってしまうと思うのです。
「老けた」自分を見慣れれば、
「自分らしい美しさ」を追求できる
そもそも「若見え」に必死になる理由の1つは、若い頃の自分と比較して「老けた自分」を受け入れられないことにあります。私は「老ける」ことを受け入れるには、一種の「慣れ」も必要だと思うのです。見慣れないからこそ「わっ!どうしよう」「何かしなくちゃ」と焦ってしまう。後の人生から振り返れば、今の自分は人生で一番若いわけですから、将来、今の自分を見た時に「あの頃はまだまだ若くてきれいだったな、羨ましい」ときっと思うはずです。つまり未来の自分はすでに老けた自分を十分に「見慣れている」からそう思えるのです。
▲メソッド25で書いている「なりたい顔の方向性を明確にする」ことも大人世代にとってとても大事なことです。
では、今すぐに「見慣れる」にはどうしたらいいか。それがこの本のビューティ編で一番大切にしている「1か月自撮りチャレンジ」です(実は本の企画段階では、このテーマだけで一冊書くつもりだったくらいです)。
詳しいやり方は本書を読んでいただくとして、これをやることで本当に多くの気づきを得ることができます。先ほどの(若い頃に比べて)「老けた自分」に見慣れるということもその1つですが、日々刻々と変わる自分の顔を冷静に分析することができるので、「私の今の顔ってこういう顔なんだ」と肯定できるようになります。つまり自分の顔を自分が一番よく知っている状態になれます(意外と自分の顔を正しく把握してない人は多いのです)。
1か月間毎日自撮りをしてみるとわかりますが、顔は毎日同じではありません。むくんでいる日、肌がどんよりして土色のように見える日、クマがひどい日、二重のかかり方がおかしい日、唇がカサカサしている日、髪型が決まっていない日・・・・。はっきりいって、こうした写真と対峙するのは精神的になかなかハードです。朝から確実に凹みます。でもこれは1か月間だけの修行と思って続けてください。そして写真を撮るだけでなく、必ず撮った顔写真を分析するようにします。
▲「1か月自撮りチャレンジ」では、正面と左右横顔の全3枚の写真を毎日、できるだけ同じ時間・同じ場所で撮影するようにします。カメラはスマホのインカメラのみ。美肌アプリなどは使用NGです。現状を把握するために厳しい現実を直視しましょう(私のこの記事のように世間に向けて晒すわけではないのでご安心を!)。さらに詳しい撮り方は書籍をご参照ください。
例えば
・顔がイケてない日の原因は何か?
(前日の夜にラーメンを食べた、お酒をたくさん飲んだ、生理前だ、仕事でストレスが溜まっている?・・・などなど)
・イケてる顔の日はどんなメイク方法をしていた?
(何色のアイシャドーを使ってメイクした?何色のアイライナーを使った? どのファンデーションを塗った?)
・首がすっきり長くきれいに見える日はどんなトップスを着ていた?
(白だと肌がきれいに見えた! 黒いタートルはもう似合わないとか、デコルテを出すとイケて見えるなど自分なりに分析します)
とにかく毎朝メイクが終わった後に自撮りをすることで、たくさんの情報を得ることができるのです。
これについては本書を読んだ方々からも多くのメッセージをいただきました。「少しずつ自分の顔がよくなっていくことにびっくりした」「こんなに自分のメイクが濃い(薄い)とは思わなかった」「アイシャドーの色がなんだか古かったのですぐに買いに行った」などなど。実は鏡を見ているだけでは気づかない情報が写真には詰まっているのです。それを毎日続けてやることで自分のヘアメイク方法や顔の状態を分析でき、変化を起こせるようになります。
▲大変お恥ずかしいですが、無作為に取り出した私の過去の自撮り写真を公開します(せめてフィルターだけかけさせていただきました)(笑)。インカメラで撮った写真は、やり始めた頃はもっとひどく毎日めちゃくちゃ凹んでいました。いろんな顔の日がありますが、全て現実。問題はこの後どうしていくかなのです。
私が自分の顔を分析して得た大きな収穫は「顔の歪み」でした。これは動いている鏡の中の顔では気づきにくいのですが、自撮りした静止画で見ると一目瞭然でした。そして歪み方がわかると、メイクで修正しやすくなります。顔はできれば左右対称の方が美しいので、眉の形、目の高さ、唇の厚みなどを意識してメイクするようになりました(それまではルーティーンで適当にやっていたので歪み放題でした!)。そしてそれは一朝一夕でできるようになるわけではなく、毎日修正することで、少しずつ自分の体に覚えこませる必要があります。
なぜなら長く生きている私たちには「習慣」というものが染み付いており、習慣を変えるのは容易ではありません。ある日はできていても、一週間後にはまた元のやり方に戻っていることはよくあることです。だからこその「1か月自撮りチャレンジ」は意味があるのです。毎日休まず行うことで、元に戻ってしまいそうになる自分を、写真を撮って監視するのです。
本書を読んだ方の何割がこの方法にトライしてくださっているかはわかりません。でも、これは文章で読んでいるだけでは全く意味がないメソッドです。ちょっと気恥ずかしいと思いますが、騙されたと思って自撮りしてみてください。若さは確実に下降線をたどっていくアラフォー以降の人生において「自分らしく」上昇するヒントをきっと見つけられると思います。
そしてもし美容医療をやるのであれば、自分の「今の顔」を冷静に分析した後に、トライしてみてください。自分の顔の欠点や直すべきところについて、自分自身が冷静に把握していれば「誰かがやっている施術を自分もやる」という受動的なものではなく、今の自分に本当に必要な施術について、はっきりと要求できるようになっているからです。美容医療に手を出すのはそれからでも遅くないと思います。ちなみに私は自撮りチャレンジを始めて、前髪を切り(最初はうっすらと、その後厚みを出しました)、右の頬にあったホクロを取り、眉を整えるため眉毛サロンに行きました(しばらくお休みしていたのでやばかった)! 他にも新たに始めたメイク方法、買い込んだコスメもたくさんあります。
さらに書籍では髪の毛やファンデーションの色のことなど、「大人がこなれて見える」ビューティメソッドについて詳しく書いています。よかったら併せて読んでいただけるとうれしいです。
次回最終回は12/23(金)の更新となります。お楽しみに!