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「クローゼットのスタメンとして極上の素材をデイリーに身につけて」アソースメレ ディレクター大谷繭子さん・事業部長 長谷川拓朗さん<前編>【私のおしゃれフィロソフィVol.9】

多くの人たちに支持されるブランドには理由がある。それはデザインだけにとどまらず、作り手の思いがしっかりと息づいているかどうか。ブランドを牽引するデザイナーやディレクターにその思いをインタビュー。今回は「アソースメレ」のディレクター大谷繭子さんと事業部長の長谷川拓朗さんに話を伺った。
ストールを巻く大谷繭子さん
雑誌のエディター&ライターとして、ファッションや旅、食などの分野で活躍する大谷さん。その出会いで2017年に「アソースメレ」のディレクターに就任。「自分がいいと思うものを多くの人に知ってほしくて!」という想いが実り、アソースメレのストールが雑誌に紹介されない月はないくらい、多くの女性たちに支持されている。その理由は“今までにない”を形にしたディレクションにある。
______大谷さんは「アソースメレ」のリブランディングを担当されたそうですが…
大谷さん(以下、大谷) はい。「アソースメレ」は、クラシックなテイストが特徴のストールブランドでした。私自身、メンズ誌のファッション、特にドレススタイルやこだわりの素材について掘り下げる記事を担当するなかで、母体であるアイネックスと知り合い「アソースメレ」のリブランディングを担当させていただくことになりました。
______ブランドを見直し、その魅力を新しい手法で伝えるうえで意識したことは?
大谷 もともとストール好きでしたが、手に入れるのは海外に行ったときくらい。日本で目にするストールは、どこか真面目な印象だったり素材が硬すぎたり、そして何より巻いたときのボリューム感が圧倒的に足りなくて、何となく物寂しいというか華がないという理由で残念に思っていました。ですので社内での初ミーティングでは、身につけたいと思うストールがないこと、素材から見直して大胆なくらい大判サイズを作りたいことなどを伝えました。そこから“今までにないものとはどういうものなのか”の模索が始まりました(笑)。
______ “今までにない”を形にするのはなかなか大変では?
長谷川さん(以下、長谷川) 大谷さんの想いを素材として具現化していくのが私の仕事。ストール好きの女性としての目線に加えて、エディターとして活躍されている彼女は多くのものを広く見ているインプットが多く、その考え方をとても新鮮に感じました。最初はお眼鏡にかなう素材の提案がなかなかうまくいかず、男性が多い社内での試作チェックでは「この肌触りで大丈夫なの?」という声が上がったのも事実で、最初から順風満帆ではありませんでした。それでも諦めずに模索するなかで誕生したのが、ベルギーリネンフリンジストールでした。
事業部長の長谷川拓朗さん(左)と大谷繭子さん(右)
______巻くだけでサマになるベルギーリネンフリンジストール。こだわりは?
大谷 ストールというとどうしても防寒のイメージが強いと思うのですが、春夏のおしゃれを楽しむ一つのアイテムとして提案したいストールを作りたかったんです。柔らかなハリとしっかりしたボリューム感があって、サマードレスにカーディガン替わりに羽織ってもベタつかず、汗ばむ季節でもカラッとしたドライタッチで…。

長谷川 この素材は、もともとはベッドカバーやキッチンウエアなどに使うインテリア用の糸が原料。それをストール用に糸の太さや密度などをモディファイすることでたどりついた素材です。まだ糸になっていない状態で日本に運び、繊維を取り出して糸にするところから作業が始まります。その後、山梨県の富士吉田の工場にある旧式のシャトル織機で熟練の職人さんが付きっきりで織りあげていきます。手間と時間がかかる織り方なのですが、大量生産のための最新式の織機だと生地にテンションがかかってしまい、目が詰まってどうしても硬い風合いに。ゆっくりと織ることで糸と糸の間にすき間ができ、空気をはらんだような特別な風合いになるんです。

大谷 色についても、ひと言で何色と表現できないようなものにしたくて。例えば、ベージュといってもキャメルからグレージュまで、色の幅は無限ですから。丁寧に織っていただいた生地は、群馬県の桐生市にある染色工場へ運ばれて絶妙なニュアンスと表面感を出す方法で染色します。その後、1枚1枚手作業でフリンジのカットを行い、やっと1枚のストールが完成するんですよ。
ざっくりとした風合いのベルギーリネンフリンジストール
(後編へ続く)
 
【後編】では、巻き方のコツや新作も加わった「推しアイテム」も登場!▼

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