●韓国映画史上最も強烈なバイオレンス・サバイバル・アクションと言われる『オオカミ狩り』で、ジョンドゥ役を演じてみたいと思わせた作品の最大の魅力は?
ーまずは、今回僕が演じたジョンドゥというキャラクターが強烈でした。キャラクターだけでなくストーリーも強烈で、ジョンドゥは非常に強いカリスマ性があったのでその点に惹かれました。そして、韓国では本当に稀に見るストーリーテリングの映画だったので、ぜひ挑戦してみたいと思ったんです。
●「美男堂の事件手帳」のチャーミングな詐欺師から一転の極悪人ジョンドゥ役です。ギャップに驚くファンも少なくないはず。どんなところに注目して欲しいですか?
ーまず、作品ごとに世界観というのがあるじゃないですか、ですので今回も『オオカミ狩り』の世界観をそのまま、そしてジョンドゥというキャラクターのありのままを見ていただけたらと思います。「美男堂」を愛してくださったみなさんには本当に感謝しています。「美男堂」にもその世界観がありますよね。演じているのは同じ人物、僕一人ですが、「美男堂」とはまったく違うキャラクターで、それぞれ違う点があり、僕自身も変身するというそんな気持ちもあったので、そこもひとつ楽しめる要素だと思います。
●役作りで16キロ増量したそうですね。「ラブレイン」の時もですが、役のための体づくりにどんな気持ちで取り組んでいるのですか?
ーやはり体重を増やすというのも役作りの一環だと思っています。そのキャラクターに似合う体型やイメージがあるじゃないですか。実は最初は監督に、このキャラクターは痩せていた方がいいのではと言われたんです。それもありかと思ったんですが、格闘するためにもジョンドゥの体格から威圧感やオーラが感じられた方がいいのではと思い、僕が監督に提案したんです。僕の選択は正しかったと思っていて、体重を増やし、体を作ったことでより威圧的に見えますし、危険な人物が作れたと思うので今は胸がいっぱいです。
●狭い空間でのアクションはとても難しいと聞いていますが、大変だったのはどんなところですか?
ー狭い空間だと銃声などもかなり大きく響き、耳がぼんやりしたりすることもありました。しかも船の中という設定なので鉄でできている空間だったので、少し体がぶつかるだけでも間違えると大怪我をしかねないので、事前に幾度もリハーサルをして準備したんです。そのおかげで、より集中して撮影にのぞめました。監督は小さな妥協も許さない方なので、とにかく何度も何度もテイクを重ねたんです。それもよりリアルな映像を完成させる助けになったと思いますし、観ている人も非常に衝撃を受けたり、残忍性というものをじゅうぶんに感じられたのではないかと思います。
●この映画は最後までハラハラして怖かったのですが、イングクさんご自身はバイオレンスやゾンビなど怖い映画は得意ですか?
ー実はよく観る方です。ただし幽霊が出るのはちょっと苦手なんですが(笑)。クリーチャーもの、怪物系統、ゾンビ、バンパイアなどはよく観ています。びっくり驚かせるようなものや、幽霊、お化け物は怖いんですが、『呪怨』『リング』はシリーズ全部観ました。でも観るたびに怖いですね(笑)。初めて観た時は本当に衝撃でした。
●「還魂」のヒットで日本でも注目されているチョン・ソミンさんとは「空から降る一億の星」でも共演してますが、再共演はいかがでしたか?
ー僕たちが一緒に出るシーンがほとんどなかったので、その部分は「空から降る一億の星」を見てくださった方々には残念かもですね。僕もその点が残念なんですが。ソミンさんとは楽屋でたくさん話しましたが、体力的にきつい撮影だったので座って居眠りばかりしてました(笑)。ソミンさんは、ちょうど「還魂」撮影中だったので、かなり忙しく慌ただしい中での撮影だったんです。
●イングクさんには、2013年に東京で歌手デビューの際のマスコミ向け記念イベント、2016年「王の顔」、そして2019年にMarisolのこのコラムで「空から降る一億の星」で、と、オリンピックのような間隔でお話を聞かせていただいています。デビューしてから10年を経て、成長したなと感じるのはどんなところですか?
ー作品ごとに僕のインタビューをしてくださった方にまたこうしてお会いすると、僕はたくさんの作品に出て成長してきたんだなと実感できますね。そして僕自身が、様々な幅広いジャンルの作品に出演して色々なキャラクターを演じるのが好きなので、撮影後にたくさんの方にインタビューしていただくと、その撮影の時のことを回想することになって、ああ、こういうことを僕は叶えたんだな、と改めて実感できますね。
●Marisolは40代前後の女性がターゲットのファッション誌です。今年36歳になるイングクさんは、どんな40代でありたいですか?
ー僕はほとんど変わらないと思います。作品に出演して、アルバムを出して歌って、また個人的な時間を過ごす。その点は変わらないと思います。変わることがあるとしたら、新たなノウハウも身についていくだろうし、これからも成長していくと思うのでその点は変わるところですかね。でも今と同じように楽しく一生懸命生きていきたいなと思います。
●次回作ドラマ「もうすぐ死にます(原題)」も期待でいっぱいですが、撮影中ですか?どんな作品になりそうですか?
ーはい、まさに今撮影中です。おそらく多くの方々に強烈なメッセージを伝えることのできる作品になりそうです。また、僕の演技の変身も見ていただけると思います!
『オオカミ狩り』<STORY>フィリピンに逃亡した極悪犯罪者たちと護送官の刑事を乗せた貨物船“フロンティア・タイタン号”。 太平洋のど真ん中に浮かぶ監獄は、犯罪者たちの反乱により血で海を染める。そして、〝怪人”が目覚めたとき船上は地獄と化す。果たして、生き残るのは……。