2023年3月24日

「ワードローブの中の名脇役を目ざしたい」ロエフ　後編【私のおしゃれフィロソフィVol.10】

鈴木さんの熱い思いから誕生した「ロエフ」。新しいものと継続の両輪で物づくりを進めるこの先の目標は?

______継続アイテムも「ロエフ」の魅力。ほかには?

シャツや袖が丸いTシャツなどもそうですね。「ロエフ」にとって、どれだけリピート生産できるか、継続してものが作れるかも大事なコンセプト。そのためにも、シーズン性のある新しいものとバランスを取りながら役割を分けています。言葉でいうのは簡単ですが、新しいものを作り出すことと継続・継承することは同じくらい大変。世界はついて行けないくらいのスピードで変わって行きますが、その両方ができるように心がけていきたいですね。

______鈴木さんのインスピレーションソースは何から?

私はいつも素材集めから始めます。「ロエフ」のスタートは、コロナの感染拡大に日本が大きく揺れた年。どこかへ行ってヒントを見つけるということがままならない時期だったのもあって、1年後に洋服を買いたい人はどんな気持ちなのか、それを着てどこへ行きたいかなどをぼんやりと妄想しながら日々を過ごしました。それはちょうど、家に友達が遊びに来る日に何の料理でもてなそうかと考える工程に似ています。これなら喜んでくれるかな、みたいな（笑）。妄想の中に登場するのは、若き日の女優ローレン・ハットン。若い頃はもちろん今も凛としたカッコよさがあって、メンズっぽいものやカジュアルを素敵に着こなしているところに惹かれています。

______今後の「ロエフ」に思うことは?

自分が小学生の頃、母から譲り受けたリーバイスのジーンズを穿いて登校した時に、下級生から「里香ちゃんって脚が長いんだね」と言われたひと言がすごく嬉しかったんです。そこからファッションに目覚めたという思いがあるので、「ロエフ」の服を選んでくれた方が袖を通すことで少しでも気持ちが上がることを落とし込んでいきたいですね。
これからは人生の中でどれだけの服が必要かが問われる時代。だからこそ心地よくいられて、骨格がきれいに見える服を作っていきたい。そして皆さんのワードローブに仲間入りさせてもらっていい脇役になれれば。主役ではなく、名脇役を目指しています。

〈今日のスタイル〉

曲線の美しい、噂のボンタンパンツをショート丈ジャケットとセットアップで着こなす鈴木さん。「今日はいつもよりきちんと見えることを意識しました。ふわっとしたスリーブとやや深めのVネックが女性らしいジャケットはシャツ感覚で着られて便利。サンプルチェックのため服の脱ぎ着の回数が多いので、アクセサリーはほとんどつけません」。着飾らない分、服のシルエットがきわ立つ潔い着こなしが素敵です。

〈推しアイテムをCHECK〉

(左)「今日のスタイル」で鈴木さんが着用したセットアップの色違い。サラッと肌離れのよいトロピカルウールは、湿度の高い日本の夏にぴったりの素材。6分袖のショートジャケットは、1枚でもはおりとしても重宝。すっきりとしたウエストから独特のカーブを描くボンタンパンツは、穿くだけで新鮮な着こなしがかなう。
Wトロピカルクロップドジャケット￥41,800・ボンタンパンツ￥29,700／エイチビューティ&ユース(ロエフ)
　
(右)繊細な透け感が軽やかな布帛のブラウスは、イレギュラーな袖口とドレープの美しさが魅力。カラーインナーで遊んだり、ジャケットやベストのインナーとしてもおすすめ。写真のオフホワイトのほか、ブラックもある。
シアーブラウス￥17,600／エイチビューティ&ユース(ロエフ)
　

(左)ワークウェアの代表、つなぎをタフタ素材で仕立てたきれいめなオールインワン。着脱を考えたフロントファスナー仕様に鈴木さんの優しさを感じる1着。シンプルに着るもよし、前を開けてTシャツやタンクトップを着ると印象が変わってワンピース以上の着回し力を発揮する。
タフタオールインワン￥49,500／エイチビューティ&ユース(ロエフ)
　
(右)デコルテの開きが絶妙なスクエアネックにカップを入れたブラトップとしても便利なカットソー。1枚でも着映え、シャツやジャケットのインナーとしても活躍する。
カップ付き5分袖カットソー各￥11,550／エイチビューティ&ユース(ロエフ)
　

エイチビューティ&ユース
東京都港区南青山3-14-17
☎03-6438-5230

▼前編はこちら

「着る人本来の美しさがきわ立つ服作りを続けたい」ロエフ　前編【私のおしゃれフィロソフィVol.10】

多くの人たちに支持されるブランドには理由がある。それはデザインだけにとどまらず、作り手の思いがしっかりと息づいているかどうか。ブランドを牽引するデザイナーやディレクターにその思いをインタビュー。今回は「ロエフ」のデザイナー鈴木里香さんに話を伺った。