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「意識が変わった健康診断」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.33】

第33回目 「意識が変わった健康診断」隅から隅まで検査して!

乳がんになってから足が遠のいていたエステ。この方のお薦めなら良さそうだと行ってみたサロンで心無いことを言われて落ち込んだケビ子。乳がん・ニューライフ (第32回はこちらから)

第33回は乳がん後の健康診断で、健康意識が大きく変わったことを実感した話。

【身体のデータはひとまとめにしたい。変わった意識】
毎年受けている健康診断(ドック)も乳がん前と乳がん後では意識が全く変わった。
宿泊ドックの場合は豪華ホテルに宿泊できるエリアを選ぶなどおよそ健康意識というよりは贅沢気分を優先してきた。


乳がんをしてからというもの、我が体のデータはもうこの病院にひとまとめにしておきたいと強く思い、乳がんで通院している病院を選択した。
いざ何かあったときに健康診断のデータが見られるだろうと見越してのこと。


夫も同じ病院で健康診断を受けると言い、強引に仲間入りしてこようとしたので二人分の予約をした。
身体の管理の一環でやはり年に一度受ける健康診断は同じ時期に受けようと決めて、毎年4月に受診することとした。今回は1年前の健康診断受診模様を記録する。


【今まで逃げてきた胃の検査】
恥ずかしながらこれまで胃の検査を受けておらず、長年結果を記載した紙には胃のところに「-」または「検査不可」と書かれていた。
有り体に言えば避けてきたのだ。


避けてきた、と書くと何か根拠があって強い意思のもと避ける判断をしたのだ、と思われるが実際は怖くて逃げた。ただそれだけのことだ。


当然何度かチャレンジはしてきた。ある時はバリウムの前に飲む発泡剤をバリウムだと勘違いし、全部飲めたと喜んだところこれが実は食前酒(酒ではない)だと知り、バリウムを一口飲んだところでうっかり80デシベル(推定)ほど大音量のげっぷをしてしまい検査技師に叱られて検査を辞退した。


またある時はバリウムの前に発泡剤ね、と心の準備が出来ており、発泡剤は問題なく飲み終えげっぷも我慢でき、いざバリウムとなるとどうにも飲み込めず立ちすくむこと10分以上。

最初は優しかった技師も一人にこんな時間を取られていたのでは予定数をこなせないからか、だんだんといら立ちを隠さずにしまいには「どうするんですか!やめるんですか!今の量じゃ検査できません!日を改めますか!日を改めてまた最初から飲めるんですか!」と叱咤激励された。
「・・・やります」迷惑をかけてしまっていることは重々承知なのだがどうしても飲み込めない。しかしやりますと言ったからには飲まねばならぬともう一口とがんばるもすでに飲み込もうとするとえずく。


なんとか半分飲んだので検査技師が「ひとまずやってみましょうか」と声を掛けてくれ、両手で検査台の取手を持った。想像以上に速いスピードで回転するマシンに身をゆだねて、ケビ子はやっとの思いで飲んだ半分のバリウムを思いっきり吐いて顔中真っ白になり検査辞退を申し出た。部屋を汚してしまい、掃除を申し出たが断られた。


医療関係者の友人に胃の検査はバリウム派か胃カメラ派か聞いてみた。するとバリウムはやらず胃カメラ一択だと言う。「バリウムでむむむ?となったら胃カメラになるから最初から胃カメラの方がいいでしょ」とのこと。なるほどそうか。
その答えを得て、さらに乳がんになってしまった。


これまでは人間ドックでも胃の検査はやりませんと最初から拒否または上記のようなバリウム物語であったために胃の検査をしたことがない。乳がんの検査の一環でCTやらMRI検査も受けたが術後から半年以上経ち、不安もある。父が胃がんだったことも私の背中を押してくれた。
すんなりと胃カメラを受けよう。そう決心がついた。



「意識が変わった健康診断」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.33】_1_1
【健康診断の意識ががらりと変わった】
健康診断当日のハイライトこそ胃カメラであった。


パンフレットを渡され「鼻からコース」「口からコース」があることを知った。鼻からコースのほうが楽のような書き方をされており迷わず鼻から。
麻酔をして鼻から胃カメラが入る。


「モニターを見ている方が気がまぎれますよ」看護師の優しい導きに従う。
鼻がツーンとしながら喉を通過する吐き気が同時にやってくるこの新しい世界をモニターで見ながら涙とヨダレが滂沱とあふれた。


すると涙でかすんだモニターに一面のピンク色が広がった。
「きれいですよー」
「グエグエグエ(本当にきれい!)」乳首は黒いのに胃はこんなにピンクなのかと初めて見るマイストマックのあまりのきれいさに驚いた。


胃カメラが抜かれ、あまりのきれいさと初めての胃の検査が出来たことに安堵して48歳(当時)の女が声を上げて大泣きした。慟哭、である。


先生と看護師が驚いて「何もなかったのにどうして?」と不思議がられ、看護師もあまりに大泣きの危険人物を外野に触れさせぬようにか「少し休んで行ってください」と配慮してくれた。


しかしきれいなピンクであったことが勇気をくれて、今すぐ夫に報告したい。涙を拭いて検査室に別れを告げて廊下で夫が来るのを待っていたら真っ青な顔でこちらに気付かず通り過ぎて行った。
心配になり追いかけると「胃カメラは二度としない。辛過ぎた。最悪だ」と言う。
あまりの不機嫌さに私のピンクは言わないことにした。


主治医から健康診断では乳がん検査は受けないように言われており、スキップした。
ホルモン剤を服用していると子宮たい癌のリスクがあがると主治医から説明があったので、検査があれば受けたいと思っていたが子宮頸がんの検査はあるが子宮たい癌の検査はないのだそうだ。近いうちになんとか自分で受けないと。


病気をしてからの健康診断は「早く終わらないかな、体重減ってますように」とぼんやり思って受けていたこれまでとは違い、「徹底的にあらいざらい確認頼む!何かあっても早期発見!治療すりゃいいぜ!」という気持ちになる。健康意識というやつががらっと変わったことを実感した出来事となった。

今年も4月末に受診予定。


つづく


※次回【Vol.34】は2023/4/28公開予定です。




※この記事はケビ子さんの体験に基づいて書かれており、2021年12月当時の情報をもとにしています。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
カモチ ケビ子
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている
Instagram(@kbandkbandkb)ピンクリボンアドバイザー(初級)資格保有

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