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「医療費控除体験記」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.34】

第34回目 「医療費控除体験記」もっと優遇して!

乳がん術後、初めての健康診断はこれまでの意識とがらっと変わり体の隅々まで調べてほしい!と積極的になったケビ子。乳がん・ニューライフ (第33回はこちらから)

第34回は乳がん手術した年にはできなかった確定申告の医療費控除を申請してみた体験記。

【高額療養費制度と医療費控除。何がどう違うの?】
先日確定申告をして医療費控除を経験したので今回はその話をしよう。


乳がんと告知されてすぐに思うのは「お金はどのくらいかかるのだろうか」ということ。入院もあるし、手術もする。その後の通院もあるだろうしまったく費用の見当がつかない。


高額療養費制度と医療費控除があることを知ってはいたがどのようなものなのか、何がどう違うのかを正しく理解をしていない。本人が申請しないとどうにもならない、ということだけは理解していた。


乳がんの手術で入院した際に病院から「高額療養費申請はしてますか」と聞かれた。「事前に申請してもよいし事後でも大丈夫だ」と教えてもらい、精神的に滅入っていたことを理由に後で良いなら今はやりたくないと放置して入院した。


高額療養費制度とは医療費の自己負担限度額を超えたらその分払い戻しがあるという健康保険制度における給付のひとつ。
入院手術など事前に高額になることがわかっている場合には「限度額適用認定」をもらうことで支払い時に提示すると自己負担限度額を超えないようになる。


ケビ子の場合は入院・手術時は自分で支払いをし、後日高額療養費申請を行い払い戻しされた。
放射線治療の際は病院側から事前に限度額適用認定をもらってきてくださいと言われ、通院最終日には自己負担限度額を超えない額の支払いをした。


限度額を超えない支払いと書くと負担が少なくも取れるが実際はけっこうな額を支払い、「なんだ結局こんなに払うのか」とがっかりしたものだ。
少し複雑なのは高額療養費申請の適用範囲が同一月(同じ月の1日~末日まで)となっており、月をまたぐ治療や入院はなるべくしない方がよいのだなということなのだが患者側でコントロールできることでもないので病院側と調整できるようならしてみたいところではある。


【レッツ確定申告】
医療費控除とはなんだろうか。
一年間に支払った医療費が基準を超えた場合に税務署に確定申告して超過支払い分の医療費が課税対象の所得から控除されて一部還付されますよ、という制度のこと。
払いすぎないように最初からうまいこと調整はできないのだろうか。

乳がんで入院手術、放射線治療をした年は医療費控除も受けられるのでは? と年明けに確定申告の広告やSNSでのつぶやき等を見てそわそわしたのだが、税理士に相談してみたところ「保険入ってますか?保険金が入ってくると控除は難しいかもね」と言われた。


そこでおおよそのもらった保険給付金の総額とかかった医療費の総額を税理士に伝えてシミュレーションしてもらったところ「これでは控除は受けられないですね。もらった額が多すぎる」と言われた。
「保険給付金が多すぎる!え!そうなの!」と嬉しくなったことは否定しないが、こちらも毎月支払ってきた保険代を思うとこのくらいはもらってよいだろう額である。


保険金をたくさんもらったんだから控除はできないよ、というのが腑に落ちないのは主体的に保険の契約をして保険給付金支払い条件を満たしたにすぎないのだが、これと税金の控除を関連させるのは何か違う気もしている。
と、この時は医療費控除がどういうものなのか知らないがために、ものすごい還付金になるのでは? と夢を見ていたためにそのようなことを思った側面がある。


翌年は歯の治療で大金を使った。総額は乳がん入院手術分とほぼ同等の金額。
それなら、と医療費控除を申請することになり、話題のマイナンバーを使ってチャレンジしてみた。


あらゆる苦難を歯を食いしばって乗り越えてきたからか奥歯が瀕死の状態であった。どうにかしたいと歯科医に相談し、「保険外診療となるが頑丈なセラミックはどうか? 医療費控除が受けられますよ」と言っていたので「半額くらい戻ってくるのかも?」と勝手な想像のもと「それならまあやります」と決めたわけなのだ。当然歯科医からいくらくらい戻ってくるから、などの説明は一切なくケビ子の空想による前のめりファンタジーである。


大変なのは領収書をすべてとっておくこと。意外とうっかりしてしまうから医療機関、薬局別にファイリングしておくとよいだろう。
ずぼらなケビ子だがお金のことになると几帳面でびしっと領収書が保管してあり、我ながら笑えてくる。


確定申告はマイナンバーカードができてから申請がものすごく簡素化されているようだ。参考になりそうな説明動画を見ながら申請をしていくとあっという間に終わり。
数日後に申請状況が2回ほどアプリに通知され約二週間後に還付金が振り込まれていた。


申請時におおよその還付金が試算されるのだが、「半額くらい戻るか?」と期待したのに半額などほど遠かった。「たったこれだけー?」である。
申請自体はそれほど難しくもなく還付金もスムーズに振り込まれたが、保険の代わりには全然ならないのだなというのが率直な感想である。



「医療費控除体験記」【ケビ子の乳がん・ニューライフ vol.34】_1_1
【頼りになるのは結局自分ってことね】
ケビ子の場合、毎月5000円ほどがん保険に支払っているが、支払った総額とこれまでいただいた保険給付金を考えると圧倒的にもらった方が多い。乳がんになる数年前にも高度異形成(子宮がんの一歩手前と言われた)で入院手術をしており、その時も保険に助けられたのだ。


最近はがんと闘う方のブログをよく読むのだが「保険に入っていない」「お金の心配が」という内容を読むにつけ、そりゃそうだ、目の前の暮らしに一生懸命だとなかなか保険にお金をねん出するのは難しいよなあ、と苦しい気持ちになる。


ケビ子ががん保険に入ったのは家族の病気がきっかけである。家族の長引く治療を見守りながらお金が相当かかるものだなと実感し、備えておこうと思ってのことだ。


健康保険制度は充実しているのだが、それでもいざ入院手術となると負担は相当なものだ。高額療養費申請と今回の医療費控除をしてみて当てにするのは全然違うなというのが率直な感想。制度をフル活用しつつ保険の継続加入や病気となったときに自由に使えるお金を貯めるなど今後も備えていこうと強く思うのであった。


つづく


※次回【Vol.35】は2023/5/12公開予定です。




※この記事はケビ子さんの体験に基づいて書かれており、2021年12月当時の情報をもとにしています。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
カモチ ケビ子
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている
Instagram(@kbandkbandkb)ピンクリボンアドバイザー(初級)資格保有

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