\ 私が教えます! /
中村綾子先生
山本真矢先生
婦人科から泌尿器科、消化器科まで原因はさまざま
まず、アラフォー女性に多い腹痛の原因となる病気にはどんなものがあるかを伺うと…。
「アラフォーは仕事に家事や育児にと、多忙でストレスが多い世代でもあるので、ストレスからくる便秘や下痢、過敏性腸症候群などが多くみられるのがひとつの傾向だと思います。お腹が痛く、かつ、便通に問題がある場合はまず、消化器科の受診を。その上で、消化器に問題がなければ、医師と相談の上、他の原因の可能性を探るのがいいかと思います。」(山本先生)
また、「子宮筋腫や子宮内膜症も、30〜40代女性に多くみられる病気です」と中村先生。
山本先生も、「ホルモンバランスが変わり始める40代は、婦人科の疾患も増える年代。胃や腸が原因の腹痛と思って通院したものの、実は婦人科の疾患が原因だった、ということも少なくないです」と話す。また、「下腹部がシクシク痛む膀胱炎、高熱を伴う腎盂炎など、泌尿器科系の疾患が原因ということも考えられます。なんにしても、症状が長く続いたり、急激な痛みが出るようであったら放っておかず早めに受診をしましょう」(中村先生)
Check!痛む部分で原因は様々
自分はお腹のどのあたりが痛むかで何の病気の疑いがあるかをチェックしてみましょう(下記は、アラフォー女性に特に多い病気をピックアップして紹介)。
重大な病気の場合もあるので、チェックするだけでなく必ず病院へ。
①お腹の右上が痛む
・腎盂炎
「腎盂炎は20〜30代が好発年齢の腎臓の病気。尿道から細菌などが尿路を通って腎臓に入り炎症を起こす病気です。腎臓は左右にあるので左右どちらかのお腹の上部が痛んだり、背中や腰にも痛みが出ることがあります。シクシクとした痛みで背中にも痛みや重い感じなどがあることが多く、38度以上の高熱が出るのも特徴です」(中村先生)
・尿管結石
「左右どちらかの仁宗にできた結石が、尿管に移動して尿管結石になると、お腹の右上、または左上に痛みが出ることがあります。突然、激痛が起きることもあれば、症状が弱く、なんとなく痛むという程度の場合も。右や左の下腹部に痛みがあったり、痛みがお腹のほかの部分や背中などに移動することもあります」(中村先生)
②お腹の中央上部のみぞおちのあたりが痛む
・胃炎
「胃のあたりに痛みがあったり、胃がムカムカする、胃が重たいなどの症状があれば胃炎の疑いがあります。飲み過ぎ・食べ過ぎや過度なストレスなどが原因で起こる急性胃炎と、ピロリ菌感染などが原因の慢性胃炎や萎縮性胃炎があります。ピロリ菌感染が原因の場合は、放置すると潰瘍や胃がんの原因になるので放置せず受診を」(山本先生)
・逆流性食道炎
「食後に胸やみぞおちのあたりに痛みが出るなら逆流性食道炎の疑いがあります。胸やけ、胸がむかむかする、酸っぱいものがこみ上げてくる感じ、お腹が張る、のどの違和感、げっぷがあるなら、この病気の可能性が高いです」(山本先生)
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
「胃潰瘍の場合は、空腹時にも食後にも胃のあたりに痛みが出るのが特徴で、十二指腸潰瘍の場合は空腹時に痛みが出るのが特徴。ただ、近年、ピロリ菌除去をしている人が増えたため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる人がかなり減っています。胃潰瘍や十二指腸潰瘍を繰り返す人は、病院でピロリ菌の検査をして、除去をするのがおすすめ」(山本先生)
・機能性ディスペプシア
「みぞおちのあたりに痛みがある場合、機能性ディスペプシアの疑いもあります。胃もたれや胸焼け、早期膨満感、げっぷ、胃が重いなどの症状が出ることもあり、こういった症状があるのに内視鏡検査などでも異常がみつからない場合、機能性ディスペプシアと診断されます」(山本先生)
③お腹の左上が痛む
・腎盂炎、尿管結石(①を参照)
④お腹の真ん中が痛む
・虫垂炎初期
「虫垂炎は、右下腹に痛みが出ますが、その前の初期の段階で、おへそのあたりに痛みが出ることがあります。食べ過ぎてお腹が痛くなったのかと思って病院に行ったら虫垂炎だったというケースもあるので要注意」(中村先生)
⑤右下腹部が痛む
・虫垂炎
「右下腹に痛みがある場合は、虫垂炎の可能性が高いです。炎症が広がると高熱が出たり、痛みのために歩行困難になったりします」(山本先生)
・大腸憩室炎
「憩室とは大腸の粘膜の弱くなった部分にできる袋状の突起で、憩室に炎症が起きるのが大腸憩室炎。憩室はどこにでもできますが、大腸憩室炎で特に多いのが右脇腹の上行結腸や左下腹部のS状結腸で、右脇腹や左下腹部に痛みが出ることが多いです。発熱や圧痛(押すと痛む)、下痢などの症状があることもあります」(山本先生)
・卵巣茎捻転
「卵巣に腫瘍があって、それがある程度の大きさになると卵巣を固定している軸の部分がねじれることがあり、これが卵巣茎捻転。急に右、または左の下腹部に痛みが生じます。激痛のことも多く、救急車を呼ぶケースも多いです」(中村先生)
⑥下腹部の中央あたり
・膀胱炎
「下腹部痛のほかに、排尿時の痛みや、頻尿、残尿感、尿に血が混ざるなどの症状があれば、膀胱炎の可能性が高いです」(中村先生)
・子宮外妊娠破裂
「20〜30代の女性の下腹部痛はまず子宮外妊娠破裂(受精卵が子宮以外の部位に着床した妊娠)を疑います。卵管などで妊娠が成立すると、妊娠の進行によって破裂が起き、下腹部に急激な腹痛が生じて、お腹で大量出血が起きてショック状態に陥ることも。アラフォーでも起こり得るので、急激な痛みがあったら至急病院へ」(中村先生)
⑦左下腹部が痛む
・便秘
「便秘だと左下腹部に痛みが生じることが多いです。排便が週に3回未満、排便時に強くいきむ、便が硬い、残便感がある、肛門が詰まったような感じなどといった症状がある場合、便秘の可能性が高いです」(山本先生)
・大腸憩室炎(⑤を参照)
・卵巣茎捻転(⑤を参照)
その他
・過敏性腸症候群
「慢性的に腹部のさまざまな場所に痛みや不快感があり、便秘や下痢を繰り返すなら、過敏性腸症候群の疑いがあります。ストレスが原因で生じやすく、会議の前や仕事に行くときなどストレスを感じたときに急に腹痛が起きて下痢をするというような場合、この病気の可能性があります」(山本先生)
2回目以降では、それぞれの病気について治療法や対策などまでをさらに詳しくご紹介!
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