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ストレスが原因のことも。消化器系の病気が引き起こす「腹痛」【40代の腹痛 #04】

アラフォーの「何だかお腹がシクシクする」何が原因?

アラフォーになってから、お腹が突然シクシクと痛んだり、ムカムカしたり、さらには背中や腰にも痛みが出たりなど、お腹まわりにトラブルが起きやすくなったと感じている人は少なくない。それが何の原因からくるものなのかがわからないと不安がいっそう増すもの。そこで、アラフォーに多い腹痛について、原因や病気の可能性、治療法、セルフケアなどまでを4回にわたってお届け。 第4回目は、アラフォーに多い腹痛の原因となる消化器の病気をピックアップ。かえで内科・消化器内視鏡クリニック院長の山本真矢先生に教えていただきました。

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山本真矢先生

山本真矢先生

かえで内科・消化器内視鏡クリニック院長。日本内科学会認定内科医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。これまでに約2万件程の内視鏡検査・治療を経験。消化器疾患のほか、生活習慣病および一般内科など幅広い内科疾患の診療に力を注ぐ。

アラフォーに多い消化器系の病気5

アラフォーに多い腹痛の原因となる消化器系の病気には、どんなものがあるのでしょうか?

「アラフォーは仕事に家事に子育てと、忙しくてストレスが多い世代なので、ストレスが原因で、便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群になる人が多いです。また、みぞおちの上のあたりに熱く焼けるような不快感や、酸っぱい液体がのどまで上がってくるなどの症状があるなら、逆流性食道炎の可能性があります。逆流性食道炎は40〜50代の中高年層に多く見られ、アラフォーにも少なくありません。それから、右脇腹や左下腹に痛みがあるなら大腸憩室炎の疑いがあります。また、最近は少なくなった病気ではありますが、お腹の中央上部の胃のあたりに痛みがあるなら胃潰瘍、空腹時に痛みがあるなら十二指腸潰瘍の疑いもあります。症状が続く場合は、早めに消化器科を受診しましょう」(山本先生)

ストレスが原因のことも。消化器系の病気が引き起こす「腹痛」

40代に多い消化器系の「腹痛原因」は

過敏性腸症候群

どんな病気?

「慢性的に腹部のさまざまな場所に痛みや不快感があり、便秘や下痢を繰り返すなら、過敏性腸症候群の疑いがあります。精神的なストレスや自律神経バランスの乱れなどによって腸の機能に異常が生じ、便秘や下痢など排便の異常を引き起こす病気です。会議の前や、仕事に行くときなどストレスを感じたときに急に腹痛が起きて下痢をするといった症状や、便秘と下痢を繰り返すというような症状がある場合、この病気の可能性が高いです」(山本先生)

腹痛以外の症状は?

「腹痛以外に、お腹の張りなどの症状と、下痢や便秘などの便通異常があるのが特徴です。症状は人によって異なり、ストレスがかかったときに腹痛とともに下痢を起こすタイプや、慢性的に便秘やお腹の張りがあるタイプ、便秘と下痢を交互に繰り返すタイプなどがあります」(山本先生)

治療法は?

「過敏性腸症候群の治療は、腸管の動きを調節する薬など、その人の症状に合った薬を用いて治療をします。メンタルの症状が強い場合には、精神を安定させる薬などを用いることもあります。ただ、精神的なストレスを取り除くことが必要なので、生活習慣の改善も欠かせません。この病気の人は十分に睡眠がとれていない人も多いのですが、睡眠不足は腸の働きに大きく影響を与えます。睡眠時間をしっかり確保するよう心がけましょう。入浴をしたり、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を取り入れるなどもいいと思います。また、食物繊維や乳酸菌を含む食品を取り入れて腸内の善玉菌を増やすのもおすすめです」(山本先生)

大腸けい室炎

どんな病気?

「憩室とは大腸の粘膜の弱くなった部分にできる袋状の突起。この憩室に炎症が起きるのが大腸憩室炎です。憩室は、便秘で腸の内圧が上昇したり、加齢などによって腸壁が圧に耐えられなくなったりすると、外に押し出されてできると言われています。憩室ができても症状がないことがほとんどですが、憩室に便がはまり込んだりすると細菌が繁殖し、憩室炎を起こします。特に大腸憩室炎になりやすいのが、右脇腹の上行結腸や左下腹部のS状結腸で、右脇腹や左下腹部に痛みが出ることが多いです」(山本先生)

腹痛以外の症状は?

「腹痛以外に、発熱や吐き気、嘔吐、下痢などの症状があることもあります。炎症の程度によっては、腸管に穴があく腸管穿孔(ちょうかんせんこう)になる危険もあります」(山本先生)

治療法は?

「大腸憩室炎は、抗生物質を服用して治療をします。抗生物質を早く飲むと改善も早いので、なるべく早めに受診をすることが大切です。穿孔などの合併症があり、腹膜炎がみられる場合には、大腸や周りの臓器を切除する手術をすることもあります。

また、大腸憩室炎は再発しやすい傾向があります。免疫力が落ちると再発を繰り返しやすいので、やはり十分な休養を心がけることが大切です」(山本先生)

逆流性食道炎

どんな病気?

「逆流性食道炎は、胃酸などの胃の内容物が食道に逆流することで、食道に炎症が起きる病気です。食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋という筋肉があり、食物が通るとき以外は胃の入り口を締めて内容物が食道に逆流するのを防いでいます。でも、加齢や食べ過ぎ、肥満、高脂肪食、衣服などによる締め付けなど何らかの原因でこの筋肉が緩むと、胃の内容物が胃から食道へ逆流します。すると食道の粘膜は胃酸に弱いので炎症が起きます。これが逆流性食道炎です。食後に胸やみぞおちのあたりに痛みが出るなら逆流性食道炎の疑いがあります」(山本先生)

腹痛以外の症状は?

「代表的な症状は、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくるような症状)のほか、就寝中に逆流が生じている場合などは、のどの違和感や、咳、声のかすれなどが生じることもあります」(山本先生)

治療法は?

「基本的には胃酸の分泌を抑える薬の服用で治療をします。胃の働きを改善する薬や、胃酸を中和する薬を用いることもあります。 また、逆流性食道炎は生活習慣が原因のことが多いので、生活習慣の見直しも必要です。 食べ過ぎ・飲み過ぎ、早食い、高脂肪食のほか、お腹を締め付けやすい服は避けましょう。また食べてすぐ横になると胃の内容物が逆流しやすいので、食後2〜3時間は横にならないようにしましょう。横になりたい場合は、クッションなどに寄りかかって上半身を15度程高くして体を斜めにすると逆流しにくくなります。また、寝るときは体の左側を下にして寝るのもおすすめです」(山本先生)

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

どんな病気?

「胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、その名の通り、いや十二指腸の粘膜がただれて潰瘍ができる病気です。かつてはストレスが原因と言われていましたが、現在では、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因とわかっています。ピロリ菌の感染により慢性的な胃炎になると、粘膜を保護する粘液の量が減るので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしやすくなります。胃潰瘍の場合は、空腹時にも食後にも胃のあたりに痛みが出るのが特徴で、十二指腸潰瘍の場合は空腹時に痛みが出るのが特徴です」(山本先生)

腹痛以外の症状は?

「胸焼け、げっぷ、吐き気、嘔吐、胃もたれ、食欲不振、貧血のほか、ひどい場合は黒い血便、吐血などの症状があることもあります」(山本先生)

治療法は?

「消化器科で検査をしてヘリコバクター・ピロリ菌の感染が判明したら、抗生物質で除菌します。最近は、すでに除菌をしている人が増えたので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる人は昔に比べてかなり減ってきています。潰瘍を繰り返している人は、ピロリ菌に感染している可能性が高いので、早めに除菌をするのがおすすめです」(山本先生)

イラスト/佐藤由実 取材・文/和田美穂 構成/原千乃
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