今年の話題は「モクテカン(먹태깡)」だそう。
もともと「セウカン(새우깡)」という
かっぱえびせんに似たスナック菓子があって、
こちらは1971年からある古株なのだけど、
“セウカンの弟分”として今夏発売されたのがモクテカン。
干したスケトウダラのことで、酒のアテに
むしりながら唐辛子マヨネーズを付けて食べます。
その味をスナック菓子で再現しただなんて、
乾き物とジャンクフードを愛する私としては
食べるしかないっ!ムフーッ(鼻息)
2023年9月現在、日本未輸入なので、
ソウル出張の際に買おうと思ったのに、
現地でも品薄状態でまったく手に入らないんだって。
「モクテカンって食べた?」と訊いても、
口を揃えて「話は聞くけど、見たことない」
と、まるでツチノコのようなことを言うので
今回の渡韓でモクテカンを入手することは
諦めていたのですが、
人間、強く願えば叶うんですね。
モクテカン、ゲットだぜ!
![モクテカン](https://image-hp.hpplus.jp/q=85,f=webp:auto/org/a9/a9cc12f94e5d6822b6da26322640346c_640x640_w.jpg)
現地の人の視界にすら入らない
幻のモクテカンを入手しましたとも……。
闇のブローカー(合法)に感謝……。
ビールとの相性が抜群とのことなので
今年に入ってお酒が一切飲めなくなった私は
ノンアルビールといただくことにします。
![モクテカン](https://image-hp.hpplus.jp/q=85,f=webp:auto/org/35/35bdc5e80cdd07a8a98b06506082a44e_640x640_w.jpg)
![モクテカン](https://image-hp.hpplus.jp/q=85,f=webp:auto/org/5e/5ef831ed4cc83a4bd46a6a4714b219a0_640x853_h.jpg)
かっぱえびせんを二回りほど大きくしたくらい。
持った感じ、かっぱえびせんより密度低そう。
香りはまずマヨネーズが強くて、
その奥に干し魚の独特の香りが潜んでいます。
一口食べると、干し鱈だから当然しょっぱいと思いきや
意外や意外、甘い!
魚の香りがほんのりするので、
全体的には甘い系の干物を彷彿とさせます。
日本の甘いカワハギの干物とか
みりん干しの味と近いかも、と思いました。
と、そこに追いかけてくる刺激。
強い辛みと清涼感が特徴の青唐辛子が
まぶされてて、なかなかの辛さ!
ピリピリする口の中をビールで冷やします。
そもそもモクテって甘いんだっけ……?
そもそも私モクテって食べたことあったっけ……?
と首を傾げながらも、気がついたらパクパクと
袋の半分以上平らげてました。
![モクテカン](https://image-hp.hpplus.jp/q=85,f=webp:auto/org/65/65edc5811c7b934c65499d48a68c89b5_640x640_w.jpg)
韓国人とスケトウダラの蜜月関係というのが
ちょっと面白いので、掘ってみようと思います。
(また長文ブログになる予感)
流行ったのを覚えてますでしょうか?
プゴクッは、プゴ(북어)=干し鱈のスープでした。
モクテも、プゴも、どちらも干したスケトウダラ。
ん?じゃあ何が違うの?
そもそも生物のスケトウダラのことは
韓国語でミョンテ(명태)というのですが、
これは漢字で「明太」と書きます。
そう、みんな大好き「明太子」の語源がミョンテ。
このミョンテが、加工方法や漁獲方法、漁場、
どの季節に漁獲するか等々によって
韓国語は全部呼び方が異なります。
モクテもプゴも、そのバリエーションの一つ
というわけなのでした。
生活での重要度が高い事柄ほど
ボキャブラリーが豊富だから、
例えば日本語には雨を表す単語が、
アラビア語にはラクダを表す単語がそれぞれ数百ある、
っていうやつの韓国語版がスケトウダラなのでしょうか。
せっかくなので今回は、
韓国の食堂や居酒屋などで特に頻繁に見かける
スケトウダラのバリエーションを
羅列してみました。
![ミョンテ ファンテ モクテ](https://image-hp.hpplus.jp/q=85,f=webp:auto/org/77/77d2b105f688b805f9dc5fd575f16c35_640x1138_h.png)
他にもいろいろあるらしい:
ナクテ 낙태:干しているときに落ちてしまったファンテ。
チャクテ 짝태:1ヶ月だけテントの中で干したファンテ。
ペクテ 백태:気温が低すぎて白っぽく乾いたファンテ。
カンテ 깡태:凍らずに乾いて硬くなったファンテ。
エテ 애태:タラの稚魚。
カンテ 강태:江原道(韓国の地方)で獲れたタラ。
ナクシテ 낚시태:釣りで獲ったタラ。
マンテ 망태:網で獲ったタラ。
チュテ 추태:秋に獲れたタラ。
チュンテ 춘태:春に獲れたタラ。
(以上すべて出典:NamuWiki)
各地の方言を加えたら、いくつあるのか分からないそう。
思わず我が内なるアンミカが発動しそうになったわ。
絶品タラ鍋「テグタン」のテグ(대구)は
スケトウダラではなく、マダラ。
ああ、ややこしいね!
(そのブログはこちら↓ここは名店です!)
愛されているスケトウダラですが、
昔は近海でいくらでも獲れていたのが
乱獲と気候変動により生息数が激減し、
現在では国内消費量のなんと100%を
冷凍での輸入に頼っているそうです。
(2022年の輸入量は約33万6000トン)
国民的魚が輸入頼みではねぇ、ということで
資源回復プロジェクトが進行中ではあるけれど、
韓国産スケトウダラが食卓に上がるには、
まだまだ時間がかかりそう。
とても美味しいし、プゴクッ以外は
日本ではあまり食べられないと思うので
韓国に行く機会がある方にはぜひオススメします
特にスケトウダラ加工の最高峰であるファンテ(황태)は
江原道というソウルの東に位置する地域の山奥で
零下10度を下回る厳しい寒気と雪に数ヶ月晒されながら
凍ったり溶けたりを繰り返して熟成する干し鱈で、
まさに韓国の自然の恩恵といえる珍味なので
見つけたら絶対食べてほしい!っていうか私が食べたい!
ファンテをコチュジャンで焼いたファンテグイ(황태구이)と
ファンテの旨味で白濁したスープのファンテグク(황태국)が
二大ファンテ料理なので、韓国に行かれる方はぜひ〜!
![モクテカン](https://image-hp.hpplus.jp/q=85,f=webp:auto/org/3f/3f9b789431136b348cac77c6829c7168_640x640_w.jpg)