今回の恋愛相談者
Kさん:48歳 フリーランス編集者
彼氏いない歴5年。旅行と映画鑑賞が好きなカルチャー系女子。最近、投資が趣味に加わりインドア生活を満喫中。仕事も好調で日々充実しているも、できれば趣味が合うパートナーが欲しいと思っている。

荒野語録①:「ひとりでいい」は脳内の辻褄合わせ
荒野: 今日はよろしくお願いします。今、40代後半でパートナーが欲しいとのこと。Kさんが前に彼氏いたのはどれくらい前になるんですか?
Kさん:彼氏は5年ぐらいいないんです。48歳でちょっと身の程知らずですが、あわよくば逆転満塁ホームランのような人と出会えたらと思って、昨年はアプリも試してみたんですけどうまくいかず。
荒野:環境的になかなか出会いがない生活なんでしょうか?
Kさん:出会いはそれなりにあるほうだと思います。イベントに行ったり、友達宅に行ったりするのは好きです。ただ、ひとりでいる時間も好きなので、ひとりで映画を見たり、旅行に行ったり。最近は、友達をあまり家に招かずに、ひとりで引き篭もっていることが多いです。なんか自分の素が出せる空間、時間がないとダメっぽい感じがしているんです。
荒野:なるほど。交際経験はあるのに、なかなかの拗らせぶりですね。今回はちょっと厳しめに話をさせてください。僕が思うに、それって自分の素が出せるっていう状態を求めてるんじゃなくて、ただ自分がダメなほうに行っているだけだと思うんです。
Kさん:ダメなほうに行っている?
荒野:多分、ひとり期間が長くて、共生していくという意識が抜けすぎている状態だと思います。ひとりのほうがいいんだっていう自分の脳内の辻褄合わせが積みすぎて、本気で心の底からひとりの方がいいっていう風に思わなければメンタルが崩壊するかもしれない状態が何年も続いちゃったんじゃないかなって。
Kさん:そうなんですかね。恋愛が面倒くさいものになってしまっていて。
荒野:面倒くさいっていうのは、出会いの機会をいくら持っても、いくらモテたとしても自分が好きになれるレベルの人と出会えない、もしくは、好きになれたとしてもうまくいかないっていう失敗の体験が続いているんだと思うんです。
そりゃ面倒くさくなりますよね、なかなか結果が出ない領域で頑張るっていうのは。だって、うまくいっていたら「恋愛っていいじゃないですか!」ってなりますから。それこそ、若手俳優みたいな年下イケメン男子をポンポン落としていたら、仕事より恋愛の方が楽しくなると思います。「なんでこんなやつに私が頑張るスタンスでいかなあかんの」っていうところから入ると、出会ってもモチベーションが上がらないですよね。
恋愛の成功打率が低い状態が続いてしまっているから、今は「攻め」より「守り」を優先しているだけなんじゃないかなって思うんですね。自分の心を守るための正常な反応だと思います。
ただ、人間として、女性としての本能で、なんだか寂しいとか、パートナーがいて欲しい「ような気がする」という欲望があるっていうのは、かろうじてまだ「人」である証拠です。そろそろ攻守交替してもいい時期だと思いますよ。
荒野語録②:アラフォーは婚活氷河期、45歳越えでチャンス増
Kさん:確かに、いいなと思う人とはうまくいかないんですよね。そうこうするうちに、恋愛に目がいかなくなってきてしまって。
荒野:現在のご年齢が40代後半とのことですが、正直、モチベーション的に40代後半、50代で婚活しようとは、そこまでならない人が多いと思うんです。可能性も含めて、もうこのままでもいいかって考え始める年代。
でも、いるんです。僕の結婚紹介所でも「奇跡の人」がけっこういらっしゃる。僕のYouTube配信を何回も観てくれて、自分も婚活をやってみようかなって、言葉は悪いんですが“いい方向に洗脳された人”がたま迷い込んでくる。そして、婚活市場の下馬評を翻して幸せになったりとかするんですよ。うちの相談所では40代後半、50代、60代も成婚実績があるんですよね。
Kさん:ええ、60代ってすごいですね。
荒野:ですよね。40代後半なら可能性はあるんです。逆に、女子の婚活は38歳から42歳ぐらいが一番きつい時期だと思うんですよ。寂しくて結婚したいけど、ターゲットにする同年代の男からしたらまだ自分の子供が欲しいと思っている世代。女性側がそれをあまり理解しておらず、チャンスを逃すことが多いんです。
例えば、40歳ジャストの女性に何歳ぐらいの人と結婚したいですかと質問したとしますよね。多くの人は年齢が近くて体力もそろっている人、もしくは許容できても45歳までとおっしゃいます。もし相手が10歳年上だったら、平均寿命の兼ね合いで10数年先に死ぬんだろうなとか、その前に、相手の家族の介護に入るのは数年後じゃないかとか、ちょっとリアルに見えちゃいますから。
そんなかたは、Kさんのように40代までずっと独身を貫いてきて、友達とたまに遊んだり、仕事に打ち込むことができた人が多い。旦那の浮気の心配や子供の世話っていう巨大なタスクを一切せずに、それなりの社会的地位や収入を手に入れている。相乗的に生活レベルが上がって、自分にお金をかけられるところも魅力のひとつだったわけじゃないですか。
Kさん:うんうん。
荒野:自分の金銭感覚に合う人を探そうとするから、「相手は45歳までで年収は自分と同じかそれ以上」、つまりは45歳ハイスペ男子を探しにいっちゃうわけですね。
Kさん:うー。
荒野:でも、45歳ハイスペ男子ってやっぱり、子供のいる人生をまだ諦めていない人が多いから35歳以下の女性を選ぶわけですよ。
Kさん:うわー、35かぁ……。
荒野:つまり、40代女性が30代前半の女性へ戦いを挑むことになる。これって、婚活界隈では竹槍で戦闘機に挑むようなものなんです。
Kさん:負け戦にもほどがありますね。

荒野:女性の「婚活の年齢格差」っていうのは、イメージされているよりも相当にハードです。
ただし、まだ続きがあるんです。語弊を恐れずに言うと、女性は45歳以上から婚活が楽になる。その熾烈な戦いから抜けるんですよね。実際に結婚するカップルって、相手が同い年から年上5歳までが一番多いんですが、女性が45歳を過ぎると5歳年上の相手が50歳以上になる。どうしても子供が欲しいという人も減ってきますし、いたとしても50代を受け入れる相手女性がなかなかいない。そこで、今まで却下してきたアラフィフ以上の女性が恋愛のターゲットに入ってくる。
Kさん:競争率が下がってくるんですね。
荒野:そうなんです。同窓会なんて今からがねらい目ですよ。僕はまだ未体験だけど、アラフィフぐらいになった時の同窓会が一番楽しいと聞きます。本当に気の合う昔の仲間の集まりっていうので楽しめるとかで。多分そうなんだろうなって思うんですよ。
Kさん:同窓会は苦手であまり行っていなかったのですが……そうなんですね!
荒野:アラサーぐらいが同窓会をすると、その同窓会で会って結婚するカップルもちらほらいますよね。久しぶりに見たら可愛くなったなとかかっこよくなったなとか、ずいぶん稼いでるなとか……新しい発見があって、正直下心とかヨコシマな思いっていうのがあるじゃないですか。でも、もう50過ぎなら男女関係なく純粋な仲間みたいになるから、むしろその下心が抜けた戦いができる。そういう意味では、自分の価値観とのマッチングしやすいんです。
Kさん:大人には大人の戦い方があるんですね。
荒野:そうなんです。今の40代女性って世代全体的に気持ちも見た目も若いから、「私には年下のほうが合うかも」と錯覚しやすくて……年下を狙い出して撃沈することになりかねませんからね。
荒野語録③:最初にターゲットにするべきは6、7歳年上の男性
Kさん:結局、どれぐらいの年齢の人をターゲットにするのがいいのでしょう?
荒野:40代の恋愛は、6、7歳ぐらい上から可能性を探っていくべきだと思っているんです。年下、ハイスペでかまってくれる男っていうのは、何か裏の目的がある場合がほとんどです。詐欺のターゲットとか、よほど生活に困窮していてヒモ目的とかが出てきたりするわけです。そんな男にホイホイついて行った自分を想像してみてください。仕事できる、稼げてる、年下と恋してるって思っていても、傍から見るとおいおいおい!って感じになっていますからね。
Kさん:そうか~。この年でって自分でも思いますけど、正直年上が無理なんですよね。せめて同世代は難しいですか?
荒野:今から同年代を狙いたいんだったらめっちゃ活動しないといけませんよ。打率が低い人たちなんで、先ほどの話のように女性側が面倒くさくなってやめてしまうかもしれませんし。
Kさん:うーん。それも原因で面倒になっているのかな。
荒野:僕ね、40代の恋は焦るなっていうのが鉄則だと思うんですよ。ただし止まるなっていう。
Kさん:「焦るな、ただ、止まるな」?
荒野:焦るなっていうのは、40代で絶対に子供が欲しいって思っているんだったら超特急で相手を探さないといけないし、「子供の父親」として相手に望むものも増えますよね。でも、そこまで子供との未来を期待していないなら、むしろ急ぎすぎてそこそこの人と結婚するよりは、時間をかけてでもこの人と余生をふたりで過ごすんだ、子供がいなくてももっと別の楽しさを見つけようっていう観点で最初から選べるじゃないですか。
Kさん:うん。確かに。
荒野:活動を止めてしまうと、ほんまに出会いがなくて、Kさんみたいに5年間彼氏なしの状態で43歳から現在48歳までワープしちゃうわけじゃないですか。これは別に子供っていう意味で焦る必要がないからで、焦らなかったっていうのは別に構わないんですけど、止まっていたっていうのが本当によくないんです。
出会いのチャンスっていうのは動いていればちょいちょいあるけれど、止まっていたらただ老いていくだけ。その5年間動いていたら、けっこういい人と出会えたかもしれませんよね。機会損失は確実に発生しているんです。機会損失だけじゃなくて、結婚願望も薄れていっているわけじゃないですか、明らかに。
Kさん:結婚願望がなくなってきているのは確かに。もはや、結婚しても別の家に住みたいくらいです。
荒野:好きになるのもちょっと面倒くさい。結婚しても自分のペースを守りたい。気の合う友達もいて寂しくない。まぁいいかと。でも、その人たちだっていつ結婚するかわからないですよね。
Kさん:うん。結婚するかもしれないし、いつ疎遠になるかわからないし。
荒野:そうです、仲良くても世代的に家庭の事情で遠くに行くかもしれないじゃないですか。余生は海外でとか、介護で実家に戻るとかね。なんなら、いつまでも生きてくれているわけでもない。もし、自分の中で少数精鋭の友達っていう心の支えが引っこ抜かれてしまった場合、ほんまどうするの?ってなりませんか。今が最高の状態ではないと思うんですね。
Kさん:なんだか、そういういろんなことを考えるのも「面倒くさい」って言葉で片づけてしまっていたかもしれません。
荒野:今、Kさんがいる場所は、逃げて逃げて着地した場所って感じだと思うんです。やっぱり頑張って望んで到達した場所ではないですよ。そこに対する満足感の低さっていうのは、今はよくてもいずれ感じてしまうと思うんですよ。誰か友達が抜けていった時に。
そうしたら、気の合う旦那がいて、少なくともどっちかが先に死ぬまでは仲良くやっていけそうだなって思う人と共に暮らしながら、友達とも変わらないペースで付き合えているっていう状態のほうが上振れじゃないですかって思うんですよね。
仮に60歳までしか働かないとして、今48歳だったら仕事の第一線で活躍できるのもあと干支1周でもう終わりです。その後めっちゃ暇になりますけど、ほんまに60歳になった時に退職金をもらって「やったー」って言えますかっていうのが、僕はけっこう心配なんです。つまりは、「面倒くさいから今の状態のほうがいい」っていうのって、今だからギリで言えることなんじゃないかなって思うんですよね。
Kさん:もうすでにそうだなと思ってはいたんです。ただただ防御していたんだなっていうのは、そのとおりだと思います。これから、未来を変えていくためにはどうしたらいいんでしょう??
荒野:自分でそれに気づいたなら、もう大丈夫。恋愛も結婚もまだ間に合いますよ。次回は、具体的にどうしていくといいかという話をしましょう。