〝涙が女のもの〟と いうのは、もう昔の話
ご存知のように、日本人のホルモンバランスは時代とともに明らかに変わり、仕事が忙しい女性は男性ホルモンが増えるせいか、声が太くなり、ヒゲが濃くなるとされるし、気弱な男性は女性ホルモンが増えたせいか、体毛が減って肌がツルツル、的な変化が起きている。泣き虫になるのも、それが原因だろうか。一方に、こんな見方も。歳をとるにつれ、おばさんは泣かなくなり、おじさんは泣き虫になる……これまたホルモンのなせる業?
いずれにしても、〝涙が女のもの〟というのは、もう昔の話。だからこそ、女が美しく泣くこと自体が難しくなったのだ。例えば源氏物語の女たちは着物の袖で目元まで隠して、さめざめと〝うち泣き〟、戦争中の女たちは愛する人の安否を憂いて、暗い家の中で嗚咽した。
仕事場でメソメソ泣いたのは男女雇用機会均等法施行前の〝腰掛け就職〟の女たちまで。巧みに涙を武器にしたのは、80年代から90年代、アッシーメッシーを従え、男を手玉に取った女たち。しかし、ミレニアム世代の女たちはめったやたらに泣かなくなった。武器にするのはもちろん、自分のためにはあまり泣かなくなったと言ってもいい。まさに精神的には昔の男のように男らしくなったから。