近くにハワイアンレストランがあり、併設のバーでもハワイ風パンケーキが食べられるらしいから行きましょう、と。
丸の内での食事会の時に、パンダさんは毎年夏休みはハワイに行くようなことを言っており、その流れでパンケーキを食べさせろと私が言ったか何かだったんだろう。
バーカウンターの背の高いスツールに座りながらショートカクテルを頼む。しばらくすると白っぽいソースがパンケーキ全面を覆うほどこってりかかったパンケーキが登場した。
1軒目は燻製専門店で肉を山ほど食べ、2軒目はマティーニを飲みながらソースたっぷりのパンケーキをシェアする。
そう、シェアだ。喜びは2倍に、パンケーキは半分に。
パンケーキの味はしょっぱかった。感動で泣いたからだ。いや、確か美味しかったと思うのだが緊張でまったく味を覚えていない。
半分に分けたパンケーキ 、私はものの二口でペロリだが、パンダさんは食べるのが遅い。苦戦しながらやっと完食。聞けば「甘いものは苦手だ 」と言う。
「だったら!だったらなぜ!!私に全部くれないの!!ねえ、なぜなの!」←間違った反応
「え!甘いのが苦手なのに私に気を使わせまいと一緒に食べてくれたのね!」←正しい反応
こういう思わせぶりができる男、それがパンダさんなのだ。
お酒が進み、パンダさんは饒舌になる。
ハワイアンミュージックが流れ、ハワイの海とサーファーの画像が彼を後押しし、ついには「一緒にハワイに行きませんか」なんてことを言い出した。
こういうことをされて、「ふむ。私に気があるのね?」と思わない女がいるならば一歩前へ!そう思わない理由を30字で答えたまえ!(句読点込み)
この思わせぶり作戦に乗せられて、すっかりその気になってしまった。
二人での初逢引きが無事終わり、その後もLINEの連絡は普通に続いた。
43歳で(やっと)結婚。
仕事で培ったフットワークと屁理屈と知恵をフル活用してゴールイン。奴さん(夫)は夢見る世話焼きロマンチスト。Instagram(@kbandkbandkb)