心のどこかでひっかかりがあったのと、パンダさんの人柄とコロッケの味を反芻し、数日連絡がなかったLINEにたわいもない内容を送ってみた。聞いている予定だとちょうど出張に出かける道中、空港あたりにいる時間だ。
ここからは妄想の域を出ないのだが、おそらく空港のラウンジでそこそこ酔っぱらっていたパンダさんは数回会ってやっただけの感じ悪い女からご機嫌伺いのLINEが来て「ほら見たことか」的なしたり顔で指先が饒舌になっていた。
私は知っている。出張前のラウンジというのは、誰かと一緒にいても誰かとつながりたい不思議な場所。
自分も出張前はラウンジで生ビールとトマトジュースをもらってきて、レッドアイを作って飲む。なんだかわからんがその時はSNSの更新やLINEや電話をしたくなったり、誰かと約束をしたくなる気持ちも高まる。不思議なものだ。
「帰国したら、」これが、言いたい。そして「私を忘れないで、」なセンチメント。多分。
「ケビ子さんの誕生日はいつですか」
この野郎! ハワイで懲りずに今度は誕生日か。俺の個人情報は高いんだぞ!
しかし、ここが今回の運の良さとご縁を感じる絶妙なタイミング。
私の誕生日はこのやりとりのちょうど3週間後。第1候補者の帰国予定日の数日後に誕生日である。
ヒャダ!ドラマみたい!これが、半年先とか先々月でした、だと、
今!
この話題を!
なんとか!
せねば!
モードにならない。
まったくもって父ちゃん母ちゃんに感謝である。ナイスタイミング!
そんなわけで「誕生日を聞くからにはお祝いしてくれたまえ」と返事をし、誕生日に会うことを約束して(させて)パンダさんは機上の人になった。
我ながら天才的な作戦である。
パンダさんに違和感を感じるなどと言いながらなんだかんだで気になっていた私。
前のデートがなんだかんだで神田だったから、は関係ない。
そしてひとまず誕生日は一人ぼっちじゃない!
それだけで、世界中にアイラブユーな気分であった。
43歳で(やっと)結婚。
仕事で培ったフットワークと屁理屈と知恵をフル活用してゴールイン。奴さん(夫)は夢見る世話焼きロマンチスト。Instagram(@kbandkbandkb)