パンダさんもどうやら同じタイプだったようで、お互い相当な警戒をしていた様子。こちらが開いたらあちらも開いた、そんな言い方がしっくりくる会話となってきた。
女性慣れした、ジェントルマンでそつがない男性はいったん姿を消し、中学生同士のようなくだらない会話が始まった。気が付けばお店もラストオーダーとなり、閉店まで滞在した。4時間くらいいた計算となる。
気をよくした私は、駅に向かう道すがら得意のセリフでたたみかける。こういう時、受け身で待っていられない私という名の戦うボディ。
「パンダさんって私のこと好きですよね?またはけっこう良いなと思ってますよね?」
誘導ラブ尋問。パンダさんは頷き、そして手を握ってこちらに微笑んだ。
これですっかり交際開始だ、めでたしめでたしと思ってしまった私は、友人たちに先走って「付き合い始めた」報告を済ませた。今振り返ると何のコミットメントもないのに、だ。
しかしパンダさんはやはり一筋縄ではいかない男。
後日聞いたところ、「好きとか付き合いたいとかの気持ちはなく、お祝いをするのであれば、自分ができることをしてちゃんとお祝いをしたかっただけ 」だって。なんちゅう男。 手を握るのも、好きかと問われて頷くのも、お祝いの一環かい!!俺のベストパフォーマンスかい!
全て私の独りよがりであった。そんな男、いる?ひどくない?こういうのをドンファンって言うのだろうか。
43歳で(やっと)結婚。
仕事で培ったフットワークと屁理屈と知恵をフル活用してゴールイン。奴さん(夫)は夢見る世話焼きロマンチスト。Instagram(@kbandkbandkb)