はるか昔、先輩に「土地勘ないから案内して!」と呼び出された地元・江ノ島。そこで見たのは、尾上菊五郎・菊之助親子の「お練り」でした。
渋好みの私は菊五郎さんの“THE 歌舞伎役者”ともいうべき存在感に圧倒されたことをよく覚えています。すごい人出でしたが、遠くからでも感じる圧倒的なオーラ、くっきりとした目鼻立ちは舞台映え確実。さすがは後に人間国宝認定されたお方です。その脇で静かに微笑んでいたのが、息子の菊之助さん。とにかくつるんと美肌で目もと涼やか、清潔感と色気が共存する印象的な佇まいに感動したことを覚えています。
あれから、なんと約20年。尾上菊五郎さんと菊之助さんの会見に出席できる日が来るとは夢にも思っていませんでした。
この日は3名が壇上に。そう、菊之助さんの息子・寺嶋和史くんが七代目尾上丑之助を襲名、5月に開催される「團菊祭五月大歌舞伎」で初舞台を踏むことになったのです。演目は、父・菊之助さんも六代目尾上丑之助を襲名した際に演じた「絵本牛若丸」。もちろん親子3代の競演です!
祖父である菊五郎さんのご挨拶。年齢を重ねてなお、ハリのある美声にうっとり。実は以前、湘南・藤沢に住んでいたことがあり(だから江ノ島の弁天様に縁があるのね!)、若い頃は汽車で公演に通っていた、というエピソードも披露。「うち(尾上)の初舞台には色々起きるから無事に済むといいな(笑)」と言って場を和ませていました。
20年前、しなやかな美貌を誇っていた菊之助さん。ますます素敵な男性になりましたね。「我々の芝居を見て、古典の奥深さ、面白さを追求していってほしい」と丑之助くんにエールを送っていました。
当人の丑之助くん、次々焚かれるフラッシュが眩しいのか、さかんに目をこすっていた様子が可愛くて。記者の「どんな役者になりたいですか?」という質問に「お父さんのような歌舞伎役者になりたいです」と、元気よく答えてくれました。初舞台で演じる弁天小僧役については「いっしょうちぇんめい頑張ります!」と……もう、可愛すぎる!
会見後のフォトセッションでは、父・菊之助さんと手を繋いで登場。
フォトセッションの3ショット。袴の色がトーン違いというところが粋です。しかし菊五郎さん、嬉しそうだなぁ。
緊張気味の丑之助くん。カメラマンからもお父さんからも「笑って!」とリクエストが飛んだりと終始和やかムード。後半は少しリラックスしたのか、テレビカメラに向かって見栄をきってくれるサービスも。菊五郎さんも無事会見を済ませてホッとしたのか、こんな“奴さんポーズ”も飛び出しました。会見後、会場を後にする3人の後ろ姿をチラリと拝めたのですが、その際、丑之助くんもこのポーズをしながらピョコピョコ歩いていたのが印象的でした。緊張したよね、お疲れさま!
歌舞伎界に新風を吹き込んでくれるであろう七代目 尾上丑之助。「音羽屋」はまた1歩、新たなステージへと進みます。5月はぜひ、歌舞伎座へ!
Vol.1 2018.12.19