2019年11月7日

今の私たち、何だか「情熱」が足りない。モノ、コト、ヒトに対して。人生に対して……【齋藤薫エッセイ】

本誌で好評連載中の、美容ジャーナリスト・齋藤薫さんから悩める40歳へおくる、美と人生への処方箋。今回は、「さまざまなことに“冷めている”日本人」について。

広い視野を持てば、人生がもっと充実する

（左）肌にポンポンとのせるだけで自然なツヤ感が。マキアージュドラマティックジェリーコンパクト￥4,000（編集部調べ）／マキアージュ　（中）白神産の5 種の植物を発酵させた濃密な化粧液。アルビオンフローラドリップ 160㎖￥13,000（編集部調べ）／アルビオン　（右）目もとの筋肉へアプローチし、ハリのある生き生きとした印象へ導く。エピステームアイパーフェクトショットa 18ｇ￥11,000／ロート製薬

　日本もようやくスーパーのレジ袋が有料になるけれど、エコ意識が先進国の中で最も遅れていると言われるのも、残念ながら視野が少し狭いから。自分の暮らしを大切にする気持ちは素晴らしいけれど、あと少しだけ広い視野を持つと、世の中の不条理に怒りを覚えたり、誰かのために何かしたくなるのかもしれない。義援金200億の台湾は、近隣の人が困っていたら助けるという国民性に加え、日本人が好きだから、日本をリスペクトしているからこそ、それができたのだと言われる。日本人が穏やかでバランスが取れていて「いい人」なのは確か。だから台湾の人々のような視野と価値観、情熱を持てたら、きっと素晴らしいのに。

　少なくとも今の日本人は何気ない日々をとても大切にする。むやみに大きなものを求めず、等身大の自分の好きなモノとコトを大切にしている。でもその分スケールが小さくなっているのは確か。視野も行動も、そしてエネルギーも。それをもう1周りずつ大きくしたら、なんだか人生もっと充実するのではないか。もっと分厚い人生を送れるのではないか。

　今回ご紹介するコスメは広い視野を持っているからこそ大きく大きく進化できた製品たち。資生堂マキアージュドラマティックジェリーコンパクトは、一見クッションファンデ、でもその枠の中から脱却して、同じようにツヤとハリを出す、化粧持ちの良いタイプなのにより確かな美肌が作れるジェリータイプという発明に至った。アルビオンフローラドリップは発酵ケアの概念を超え、計画発酵という形で5つの植物を独自に発酵させ合計７千以上もの効果を作り出した凄い化粧液。そしてエピステームアイパーフェクトショットは、ロート製薬が目薬のトップメーカーだから常識を超えられたアイケア。眼輪筋への働きかけから年齢とともに重たくたるむ上まぶたを引き締める初のアイディアとなった。こんなふうに視野を広げないと進化はできないって、化粧品にも学びたい。

齋藤薫　Kaoru Saito
美容ジャーナリスト、エッセイスト。美容やファッションの潮流に社会的な視点を
加え、美しくありたいと願うアラフォーの未来を照らす。『キレイはむしろ増えて
いく。大人の女よ！もっと攻めなさい』（集英社インターナショナル）など著書多数

【Marisol 2019年11月号】撮影／John Chan　スタイリスト／郡山雅代