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「姫と呼ばれる女」の人生イロイロを考える【齋藤 薫エッセイ】

本誌で好評連載中の、美容ジャーナリスト・齋藤 薫さんから悩める40歳へおくる、美と人生への処方箋。今回は、「姫と呼ばれる女の人生」について。

「姫」は“幸せの象徴”であってほしい

齋藤薫の大人キレイの処方箋
(左から)単色でも重ね塗りにも。フェリンアイズ インテンスアイシャドウ クアッド # 3 ¥7,800・大人なダスキーピンク。ドルチェシモ マット リキッド リップカラー #10¥4,900/ドルチェ&ガッバーナ ビューティ
マット、メタリック、パールの質感を組み合わせて。ナチュラル アイズ ニュートラル アイシャドウ パレット¥5,500・偏光パールとパウダーで輝く肌へ。ダイヤモンドライト マルチユース ハイライター¥4,500/トゥー フェイスド
 一方、本物の姫となって2年、迷走しているのが、バッシングが絶えないメーガン妃。あるインタビューで、「考えが甘かった」と吐露したとされる。王室へのこだわりがとりわけ強い英国へ、アメリカから嫁いで行くバツイチの中堅テレビ女優。それは、スターが大好きな国モナコに嫁いだグレース・ケリーのようなわけにはいかない、苦労するのは目に見えているからと周囲が激しく心配し、思いとどまるよう説得する声もあったと言う。でもそこは、日本の姫同様、「愛の力が勇気をもたらし、何でも乗り越えられる」と思ったはず。でもたちまち、姫になる難しさをそこに浮き彫りにした。

 まさしく子供の頃にお伽話で出会った時から、姫への憧れは誰の心にもあって、それだけに“現実の姫”になった人にシビアな目を向ける。女優やモデルのように演技や美貌に対してではなく、ただそこに存在するだけで、持て囃される喜びと、誹りを受ける苦しみを同時に受け止めなければいけないのが姫。だからこそ姫は、夢のままにしておいた方がよかったのかもしれないと、メーガン妃の心にそういう後悔がわずかでもあるとしたら残念なこと。ヘンリー王子が自分の母親、ダイアナ妃のような悲しい思いをさせるまいと一生懸命なのも伝わってくるからこそ余計に哀しい。やっぱり姫は“幸せの象徴”であってほしいから……。

 そう、だから「姫」は美容に使う。姫の心は女性を理屈抜きに美しく輝かせるから。奇しくも日本上陸を果たしたドルチェ&ガッバーナのコンセプトは、「あなたのQueenな魅力を呼び覚まし、艶やかに開花させるメイクブランド」。ブランドを象徴するマヨルカ柄やローズ&フラワー、官能的なブラックレース、高貴なダマスク、レオパードまで、姫の世界をふんだんに再現する化粧品は持っているだけで姫の心になれる魔法。そういう錯覚こそが大切と教えてくれる。トゥーフェイスドは、ピンク大好きな人に捧げるコスメを標榜。やっぱり持っているだけで姫になれるコスメの代表格となっている。とりわけ宝石そのもののハイライターはまさに姫になれる玉手箱。カラーコスメはやっぱりこうあってほしいと言う見本のような。自分の中に眠っている姫を是非とも目覚めさせて。
齋藤薫 Kaoru Saito
美容ジャーナリスト、エッセイスト。美容やファッションの潮流に社会的な視点を
加え、美しくありたいと願うアラフォーの未来を照らす。『キレイはむしろ増えて
いく。大人の女よ! もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数
【Marisol 2020年2月号】撮影/John Chan スタイリスト/郡山雅代

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