自己表現が自由な今は、自己顕示欲に対して世の中が敏感
一昔前は、自己表現をしたくてもできない人たちがたくさんいて、みんな悶々としていた。自分には才能があるのに、それを人に伝えられないという苛立ち。お料理だってこんなにうまいのに、誰も褒めてくれないという腹立たしさ。自分がこうやって、家の中で埋もれていくしかないんだという切なさを持つ人が、決して少なくなかったのだ。
それが今は、〝子供のお弁当〟さえ自分の「作品」として日々〝発表〟していけるわけで、うまくすれば本当に脚光を浴びてしまえる。少なくとも、自己表現の場がないと鬱々とする人はいなくなったはずなのだ。
でもそうなればそうなったで、別の弊害が出てきて、そういう作品で注目を集めた人になぜか批判が起きたりもする。自己表現がこれだけ自由だからこそ、逆に自己顕示欲に対して世の中が敏感になってしまう。彼女が注目を浴びていることは、道理にかなっているのかいないのか、そこをジャッジする人が今や無限にいると言うことなのだ。