【今月のお悩み】「話を遮られる」率が高いんです
(埼玉県・マミ・46歳・派遣/趣味:能、謡、ダンス、チーズとワイン)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
必要なのは話のテンポとネタ。 自分の“キャラ立て”を目ざしてみては?
まず、まわりの人がマミさんに意地悪をして話を遮ってくるなら、そんな人たちと付き合うのはやめたいですよね。我慢してても、ストレスをためるだけです。
一方、特に人間関係が悪いわけではないのに話を遮られているなら、その原因はまわりと話のテンポが合わないのかもしれません。
僕の知り合いにも、よく話を遮られちゃう人がいるんですが、原因はハッキリしていて、しゃべり方がスローなんです。話がリズミカルに進まないもので、「昨日は、朝起きて○○をして、夕方には……」と終わりが一向に見えない。だから、聞いている人はちょっとイラついてきて遮らざるをえないんです。
もしかしてマミさん、ご趣味の能や謡のテンポで話をしていません? まさかですがね。もし、そうだとしたら、多くの人は「このままだと日が暮れてしまう」という危機感から、マミさんの話に割って入るのかもしれませんよ。
もうひとつ原因として考えられるのは、話の構成がうまくいってないからじゃないでしょうか? それは話の内容がつまらないのではなくて、初めにこの話を振って、まわりをつかんでおいて、それから……と話す順番を考えるということです。事実、おもしろい話をする人って、その場でおもしろいネタが浮かんでくるわけではなくて、あらかじめネタを見つけて、練りに練ってからしゃべるんです。ぶっつけ本番じゃありません。たいてい、一度、話をまとめてから披露しているに違いありません。話をコンパクトにし、オチまで考えていますから。
ま、そんなおもしろコメンテーターを目ざすことはないのですが、マミさんの場合、まずは話のテンポがまわりと合っているのかは今度、気をつけてみてください。それがわかれば、スローすぎも、速すぎも「ちょっと私のテンポどう思う?」と、ネタのひとつになると思うんです。だから、「負けるが勝ち」などとおっしゃらず、自分を知ること。それが遮られないための作戦です。
あと、ひとつ、ネタとして使えるんじゃないかと思うことはやはり、能や謡の話題です。マミさん、「どうせ、まわりに理解してもらえるわけない」と、能や謡がご趣味だということを周囲に話しておられないのでは? この話題にやはり興味をもてない人もいるかもしれませんが、ほかにも趣味はいっぱいお持ちじゃないですか? もし仮に、話した後のまわりの感想が「この人、変わってる」だったとしても、そこがいいじゃないですか。それだけで、マミさんのキャラが立つわけですから。
そこで提案です。本当は、能のお面を常に持ち歩いてさりげなく人の目に触れさせるのがいいと思うんですが、このご時世、それはむずかしいでしょう。なので、オンライン会議の時などに、それとなく自分の脇にお面を置いておくのは? その「なんか意外」が、マミさんに興味をもつきっかけになる気がするんですが、どうでしょう?
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みうら・じゅん●イラストレーターなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生む。近著に『みうらじゅんの松本清張ファンブック 清張地獄八景』(文春ムック)、『ひみつのダイアリー』(文春文庫)など
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しんさん・なめこ●漫画家、コラムニスト。巫女的な感性であらゆる事象を取材。近著は『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 』『愛すべき音大生の生態』(ともにPHP研究所)など
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