●ドラマが放送されてから、おふたりの元にはどんな反響が届いていますか?
柴咲 今回は身近な人からの反響が多いです。特にお子さんを持っているご夫婦から「泣きました」、「見入ってます」と連絡をいただけて嬉しかったです。
坂口 僕も普段よりもこの作品は反響が大きいかもしれないですね。でも、1話の時には「結人、大丈夫か?」っていう連絡も(笑)。
柴咲 あはは!
坂口 謎が多い役だからだと思うんですけど、回を重ねていくにつれて結人の優しさが見えてきて、母親からもよかったと連絡が来ました。
柴咲 脚本の遊川和彦さんの描く世界って結構辛辣というか。人生の中で目をつぶりたくなるような不都合なことや不器用な部分を、主役だけじゃなくすべての登場人物を通して描くのが本当にお上手だと思っていて。謎解きも種明かしもない、人間同士の心模様を切り取った作品だからこそ共感していただけたんだと思います。あと、坂口さんのヒゲも新鮮ですしね(笑)。
坂口 自分でも結構……かっこいいなって思ってます(笑)。
柴咲 そう、坂口さんはこんな風に全然否定しないです! すごく褒めがいがあります。
坂口 慣れていない人の前で言うと、結構引かれちゃいますけどね(笑)。でも、褒め言葉はありがたく受け取ったほうがハッピーだと思います!
●そもそも、この作品への出演を決めたきっかけは?
柴咲 私、遊川さんが好きなんです。脚本家の方が撮影現場にいるってなかなかないし、意見を言い合えるから風通しがよくてすごく演じやすいんですよね。今回も服装から声の発し方、佇まいも含め、望美の成長段階に合わせてディスカッションさせていただいています。
坂口 僕は遊川さんの作品は初めてですが、台本が上がる前から「ありきたりなものはやりたくない」とすごくおっしゃっていて。結人というキャラクターも含めてとてもエネルギーを感じたので、ぜひ携わりたいなと思いました。
●変化の大きい役どころですが、意識していることは?
柴咲 望美はものすごく筋が通っているキャラクターなので、成長はするけれどあまり内面はぶれない気がしていて。ただ1話ごとに成長していくので、テンションの切り替えは意識しています。
坂口 結人の場合は最初、言葉が粗かったりむしゃくしゃしていたり、粗暴なところもあったんですが、25年間の間に凍ってしまった心が、望美と関わることによって少しずつ溶けていく。その感覚を意識して演じています。
柴咲 望美が眠っていた25年間で結人に何があったのか、誰と付き合ってどんな経験をしたのか、スピンオフとして描いて欲しいねって現場で話していたんです。
坂口 ドラマでは描かれないですもんね。僕も興味あります!
●おふたりは初共演。お互いの印象はいかがですか?
柴咲 同い年の設定ではありますが、世代が違うから「大丈夫かな、私……」っていうのはありましたね。
坂口 でも、すごく楽しいです!
柴咲 ふふ、よかったです。
坂口 そういえば僕、声でかくないですか? 遊川さんに「坂口くんはナチュラルすぎるから、違和感を持たせてほしい」と言われていて。声のボリュームはもちろん、動きもオーバーリアクションで演じているんです。だから時々「柴咲さん、うるさいだろうな……」って思っていて。
柴咲 それは当然、お芝居だとわかってますから(笑)。
坂口 よかった。
●先ほど、撮影で顔を合わせた際に、柴咲さんが坂口さんに「今日も透明感があるね」と声をかけていたのが印象的でした。
柴咲 いろんな現場で言われているらしいんですけど、もう、肌質も顔つきも含めて、全体的に透明感があるじゃないですか。綺麗な水のような人だなと思って。
坂口 この前、柴咲さんに「なんでそんなに爽やかなの?」とおっしゃっていただいた時に、「前世は天然水だったんです」って答えたんです。もちろんふざけてですけど、ちょっとおもしろくないですか(笑)?
柴咲 でも本当に透明で清らかな感じがしますよね。
坂口 でも実は私生活は……荒れ狂ってますよ!
柴咲 あはは! そう見せたいんですね(笑)。
坂口 ちょっと危険な香りもさせていきたいなって思って(笑)。
柴咲 今演じている結人はちょっと悪い感じじゃないですか。役だけで十分ですよ。実生活では清らかでいてください。
坂口 そうします(笑)。でも柴咲さんも演じている時はちゃんと幼く見えるのが不思議です。本当に小さい子と対峙しているような感覚になることがあって、ドキッとする瞬間があるんです。と同時に、やっぱり大人の女性に見透かされている感覚になる時もあって。
柴咲 ドラマの中で粗暴な結人を演じている坂口さんが、本質的に透明感とみずみずしさがあるのに対して、私は役としてピュアな望美を演じている。そのギャップがいい対比になればいいなと思っています。
●ドラマで35歳を演じているおふたり。35歳は人生においてどんな時期だと思いますか?
柴咲 私はすごく忙しかったので、35歳の頃のことはあまり覚えてないんです。それに、常に“今が一番いい”と思って生きているので、過去を振り返って「あの頃はよかったな」と思うこともありません。それは35歳はもちろん、30歳の時も、20歳の時もそう。年齢にあまり縛られずに生きている気がします。
坂口 僕はすごく楽しみですね。今ももちろん楽しいですけど、年齢を重ねる良さもきっとあると思っていて。ただ、正直想像はまだつかないです。
柴咲 何をしている時が一番楽しいんですか?
坂口 ご飯を食べてる時ですね。特に夜ご飯! 3食の中で一番力が入りません? 何を食べようかなって考えてる時が一番幸せです。柴咲さんは?
柴咲 昼飲み(笑)。
坂口 あー! いいですね。
柴咲 夜は眠くて起きていられなくなっちゃって(笑)。13時〜14時くらいに爽やかな白ワインから始めて、時計を見たてもまだ夕方……っていうのが最高です。
坂口 で、ちょっと早めに寝るんですよね。いい休日!
柴咲 今のご時世、スタッフさんや共演者の方をお食事にお誘いできなくて。
坂口 いつかみなさんと昼飲みできたらいいですね。
●最後に今後のドラマの見どころを教えてください!
坂口 綺麗事を描いていないからこそ、たくさんの人の心に響く内容のドラマだと思うんです。できれば“ながら見”じゃなく、目を離さずに望美の生き様を感じてもらえたらいいなと思います。
柴咲 ひと事としてではなく、自分事としてエッセンスを落とし込んでもらえると嬉しいですね。今後どういう展開が起ころうとも、ドラマを通して、自分の人生や周りの人との関わりに思いを馳せてもらえたらいいなと思います。
Profile
しばさき・こう●1981年生まれ。東京都出身。デビュー以来、映画、TVドラマ等、数多くの人気作に出演。並行して歌手としても活躍。さらに2016年には自身が代表を務めるレトロワグラースを設立し、2019年に『LIFE THE KO 生きるを生かす9のこと』『THE KO 柴咲コウ photo book』(共にPARCO出版)を出版。その幅広い活躍にますます注目を集めている。
さかぐち・けんたろう●1991年生まれ。東京都出身。2010年に雑誌『メンズノンノ』オーディションに合格し、専属モデルに。14年に映画で俳優デビュー。17年、映画『64-ロクヨン-』で日本アカデミー賞 新人俳優賞、エランドール賞 新人賞を受賞。以来、ドラマや映画など数多くの話題作に出演し、2021年には主演映画『劇場版 シグナル 長期未解決事件捜査班』が公開予定。
《坂口さん》トップス¥43,000/マスターピースショールーム(サイ) パンツ¥32,000/ディガウェル1 靴¥52,000/ミスターハリウッド(N.ハリウッド) 靴下・ベルト/スタイリスト私物