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「宝塚から一歩外に出た世界は想像以上に色鮮やかでした」明日海りお

朝の連続ドラマ出演や主演舞台を控え、活躍がめざましい、元宝塚歌劇団花組トップスターで、女優の明日海りおさん。その心境を振り返る

*このインタビューは本誌5月号(2020年3月7日発売)に掲載されたものです

「宝塚から一歩外に出た世界は想像以上に色鮮やかでした」明日海りお_1_1

あすみ・りお●1985年生まれ。 2019年11月に宝塚歌劇団を卒業した元花組トップスター。在団中は、華やかな容姿とたぐいまれなる演技力、ダンス、歌唱力と三拍子そろった確かな技術でファンを魅了。退団後も、女優としてのさらなる活躍が期待される。



宝塚最後の夜は仲間たちとカウントダウンしました

「宝塚時代も雑誌に取り上げていただく機会はあったのですが。“男役”ではなく“素の自分”としてカメラの前に立つのはまだ慣れていなくて……」

 照れくさそうにそう微笑んだ明日海りおさん。昨年の11月24日、宝塚歌劇団を退団。約5年間、背負い続けた花組トップスターの大きな羽根を下ろし、新たな道を歩み始めたばかり。
「退団後はクローゼットの中身も大きく変わりました。衣装やお稽古着として着ていた派手な洋服が減り、着心地のいいシンプルな洋服が並ぶように。以前は限られた時間の中で急いで買い物をすることが多かったのですが、最近は肌ざわりまで気にしながらゆっくりと“お気に入り”を探す楽しみを味わっています。男役を卒業してからは、のぞくお店や手に取るアイテムも変わりました。例えば、以前はお店で可愛いワンピースを見かけても“○○ちゃんに似合いそうだな”という目線でしか見ていなかったので。女性らしい洋服に関しては自分に何が似合うのか想像もつかない、とにかく着てみないとわからない。日々、鏡の前で探り探り。今はリハビリ中のような感覚です(笑)」

「宝塚から一歩外に出た世界は想像以上に色鮮やかでした」明日海りお_1_2
デニム¥23,000/エーピー ストゥディオ ニュウマン  シンジュク(エーピー ストゥディオ) ニット¥41,000/ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス 丸の内店(ドゥーズィエム クラス) バングル¥21,000/アマン(アンセム フォー ザ センセズ)

 明日海さんが宝塚歌劇団と出会ったのは15歳の夏。バレエ教室の友達から借りた一本のビデオがすべての始まり。その日から、情熱の照準は宝塚の舞台に定まったまま。すべてを舞台に注いできた。
「退団を発表してからは自分がタカラジェンヌでなくなるということが想像できなくて。信じられないまま、どこか他人事のような気持ちで過ごしていました。実感がわいたのは、退団公演も半ばを過ぎたあたりでしょうか。千秋楽が近づくほどさらに高まる仲間たちの熱気、お客さまの優しい思い、舞台上で歌い踊るだけで幸せになり胸がいっぱいに。涙があふれ出そうになることが何度もあったんです」 

 宝塚の舞台を去る時は「やりきった」気持ちがわき上がるのと同時に「まだまだやりたいことがあった」「もっと成長したかった」そんな思いも感じたそう。
「宝塚が、男役が、本当に大好きだったからこそ思いはつきなくて。それこそ、許されるのならば"死ぬまでやりたい”と願ったほど。でも、宝塚を愛しているからこそ、無理して続けて質を落とすようなことがあってはならないと思う自分も。また、宝塚にも花組にも新陳代謝は必要、それぞれが輝く場所も必要。退団後、花組の舞台を観劇したのですが、キラキラと輝く仲間たちの姿を見て、やはり私の決断は間違っていなかったなと。そう思えたことがとてもうれしかった」

 退団当日、宝塚最後の夜は今まで相手役を務めてくれた歴代のトップ娘役たち、そして、同期や花組の仲間と過ごした。「私が寂しい気持ちになってはいけないと皆が集まってくれて。日付が変わる0時を一緒にカウントダウン、朝まで一緒に過ごしたんです。そこでは、思い出話に花が咲き、さらには私が出演した作品のDVD観賞会までがスタート。“気にせず横になってくださいね”と疲れている私を気遣いつつ“明日海りおラストインタビュー”の映像を観る、そんな仲間たちの姿を眺めながらウトウトと眠りについたりして(笑)。おかげで、翌日は寂しい気持ちになることもなく。昨日の余韻と達成感を感じつつ、スヤスヤと眠る仲間たちの寝顔に囲まれながら、幸せな気持ちで朝を迎えることができました」

>>次ページ:「宝塚から一歩外に出た世界は想像以上に色鮮やかでした」

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