他者の気持ちがわかる人ほど香り選びが上手

じゃあ気がつく人と気がつかない人の差は? それはズバリ、他人の気持ちに寄り添っているかどうか。独りよがりでないかどうか、であると思う。例えばだけれど、同じ部屋にいる人が、寒そうにしていたり暑そうにしていたりすることに気づけるかどうか。独りよがりで人の気持ちの機微に鈍感な人は、他者が不快感を感じていることには気づかない。だから運命の人にも気づけない、そういうこと。人の心の動きに意識をめぐらせることができるのかどうかの差はあまりに大きいのだ。人生がひっくり返るほど。
でも逆にそういう人なら、もし相手がツインレイでないと分かっていても、まるで運命が引き寄せたかのように幸せな関係を新たに作り出すことだって可能なはず。だから言いたい。運命の出会いに失敗した人は、その運命に打ち勝つ生き方をしたい。周囲を幸せにできる人なら結局どんな相手とだって幸せになれるのだから。
さて、人の気持ちがわかる人は香り選びが上手だと言われる。なぜか? 周りの人をも心地良くする香りを無意識に選べるからである。しかもとってつけたような香りではない、まさに自分自身がその芳しさを放っているような自然な香り付けができる人。そういう意味を込め、他者にもそっと寄り添う香りをコレクションしてみた。まず、誰からも愛される“シャネル ココ マドモアゼル”から登場した待望のロー ミスト。まさに芳しい空気そのものを纏うような、穏やかにして清々しい透明感あるローは、密かに誰かの心をつかんでいる。一方、香り付けの仕上げや入浴後に纏いたいミス ディオール ブルーミング ボディ パウダーは、自らを陶酔させ、あらゆる時間を至福の時にしてくれる。まさに匂い立つような肌のために。そして、ニュクスのプロディジュー フローラル オイルは、髪からつま先まで、ともかく全身に使える上にほのかな香り立ちが美しい。運命の人に自分を伝える香りはきっとこんな香り立ち。
齋藤薫 Kaoru Saito
美容ジャーナリスト、エッセイスト。美容やファッションの潮流に社会的な視点を加え、美しくありたいと願うアラフォーの未来を照らす。『キレイはむしろ増えていく。大人の女よ! もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数