妊娠出産にはリミットが確実にある【小説・じゃない側の女~Side2産んでない側の女 Vol.3】

2017年6月11日
【連載第3回】谷原 理沙(たにはら りさ)43歳 某有名ブランドのバイヤーとして、月の半分近くを海外で過ごす。後輩が次々と妊娠して産休に入るたび、「快く」送り出しているつもり、だけれど。(全15回)
検査の話に戻ろう。検査料金は馬鹿みたいにお高かった。保険適用外って、ほんと病院によって値付けが自由らしい。ネットで散々調べたところ世間相場7000円~8000円。そんなもんかと安心して出向いた近場の病院で、具体的な値段を聞かずに検査をお願いしちゃったら、会計時に15000円を請求された。ものの何十秒かの採血が15000円?

「どこ?まさかこの前TVに出てた例の成金病院?理沙の家の近所だったよね? 受付嬢が、摩訶不思議な制服着て怪しい北欧風のレセプションに立ってるあそこでしょ? あのインテリアの趣味みたらわからない?まずそうな病院だって」

図星。そうです、そこ行きました。結花はさすがに詳しい、そして表現が的確。

「だって空いてそうだったし、駅近だし、待ち時間に、一人1台iPad貸してくれて女性誌読み放題!とかサービス充実してそうだったからさあ」

「そういう客寄せサービスにおびきよせられて病院は選んだらだめ。見るからにぼったくりそうな病院だったじゃない」

「ほんとあれをザ・ぼったくりっていうんだなと」

「で、最初に戻ってもう一度聞くけど、なんでその検査を理沙が受けるわけ?」

「今、あたし43でしょ。子供ってどうなんだろうって思ったの」

「どうなんだろうって何? 子供が欲しいの? 」

それがわからないのだ。わからないから困惑している。といって、あたしのこの困惑の中身を、もやもやをどう表したらいいのだろう。

ある日、絶賛妊活中の35歳後輩にガツンと言われた。

「理沙さん、もういつか出来たらできたで…なんて言って自然と出来る年齢じゃないですよ。40過ぎて卵どれだけ残ってると思ってるんですか、残念ながら質だって悪くなってるんですよ。欲しいなら、一日も早く必死こいて子供が出来るための努力を、お金も時間も最優先で投入して取り組まないと、もう絶対にできませんよ!」と、それはもうすごい迫力で。

「結婚にリミットはなくても、妊娠出産にはリミットが確実にあるって話よね。でもその後輩にどやされて理沙は焦ったってこと?人に何か言われて動じる人じゃないと思うのに、どうしたの?」
  • 植田真木(うえだ まき)43歳 金融会社勤続20年の管理職。「アラフォー独身女」でいることに疲れ、39歳で「可もなく不可もない男」と駆け込み結婚をしてみたものの…。

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  • 谷原理沙(たにはら りさ)43歳 某有名ブランドのバイヤーとして、月の半分近くを海外で過ごす。後輩が次々と妊娠して産休に入るたび、「快く」送り出しているつもり、だけれど。

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