ホルモン剤を5年服用することになったケビ子。薬に慣れないうちは体調を崩すなど不便もあり、見た目にはわからない体調不良で周囲に甘えられず強がってしまう日々を送っていた。
乳がん・ニューライフ (第18回はこちらから)
第19回はお金の話。
「通常の貯金の他に自分が自由に今すぐ使えるお金を100万円貯めておくこと。100万円あればたいていのことはできるから」と。
根拠不十分ながらなんとなくそういうものかと納得して「自由に今すぐ使える100万円」は最低ラインとして貯金や投資をしてきた。
ライフイベントがある度にその都度「自由に今すぐ使える100万円」があったからこそ計画外の支出もなんのその、と乗り越えられた。
マンションを買うのはメインの貯金からお金を使うが、細かいインテリアグッズや家電は予算外だがその時のテンションで欲しいものは今すぐ使える予算から出すなど、である。
それから数年後、今回の乳がんである。
「自由に今すぐ使える100万円」を思い浮かべながらひとまず支出はどのくらいかかるのか、保険給付は申請してみないと金額がわからないので、ひとまずアテにはしないことにした。
「やや、これは乳がんか?」と思って病院で検査を受けた初回の検査・診察料が1万5千円を超えた。
「え!一回でこの金額か!」会計で驚いたものの検査をしないわけにはいかない。
1万5千円あれば日高屋のラ・餃・チャセットが24回食べられる。結構な出費である。
想像よりも高い初回の診察費用でぼうっとしたが、すぐに「乳がん 治療費」など検索を開始した。不安でたまらない。いったいいくらかかるのだ。
数万単位か、数十万単位か、はたまたすうひゃく、、、えええ
検索した結果をいくつか見てみたが、だいたい記載している金額に大きな差はなかった。
部分切除の場合、手術代だけで20万~40万(保険適用の場合)だと書いてあった。
ここに検査、入院費用、個室の費用、ホルモン治療、放射線治療など今後も続く治療のためにはやはり結構な費用が必要なのだと覚悟した。
厚労省の資料にはこのように書いてあった。
「高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。」
なるほど。
上限額は年齢によって異なるそうで、まず70歳以上か以下かで別れ、次に年収で区分が異なる。
69歳以下で自分に当てはまる年収のところを確認すると、ひと月に払う上限額というのが決まってくる。
なかなかありがたい制度だ。
入院時に間に合うように前もって申請することで、退院時の支払い自体を軽減する方法もあれば、ひとまず全額支払い、後で高額医療費申請を受けて上限を超える額を返してもらう方法もある。
ケビ子は前もっての申請が間に合わず、いったん全額支払う方法を取った。
そもそも知識があれば、と後悔したのは厚労省の資料に書いてある「ひと月(月の初めから終わりまで)」で区切られることをきちんと把握しておらず、なんという事か月末入院、月初退院という一番もったいない方法を取ってしまったことである。
月マタギでの入院となったので領収書も律義に月ごとに出て不思議に思っていたのだが、こういうわけかと合点が言った。
こういうことは誰も教えてくれないのだ。
ひと月のうちにある程度の検査と入院手術退院までが丸まっていると一番お金がかかるところでより効率的になったのではないかと思うのだが。
医療機関までの交通費、術後の不便を補う下着や洋服、生活便利雑貨、軽い通勤バッグなどこうしたものを遠慮なく買って少しでも快適を手に入れるための資金として「自分が今すぐ自由に使える100万円」の予算は妥当だと思え、母の教えは正しかったと素直に感謝した。(ケビ子の場合)
つづく
※次回【Vol.20】は9/23公開予定です。
治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません
43歳で結婚、47歳で乳がん。
心配性の夫、奴さん(やっこさん)はなぜか嬉しそうに妻の世話を焼いている。Instagram(@kbandkbandkb)ピンクリボンアドバイザー(初級)資格保有