プロと素人、どっちにはまっちゃう方がより耐えられないかなんて、そんなのどっちも嫌に決まってる。比較するものじゃないでしょ。プロ相手にHなことされるのも嫌。素人相手に不倫されるのもイヤ。どっちもイヤ。嫌なものはイヤ!
若干パニック気味の私に、今度は谷原さんがたたみかける。
「男って若い女子が本当に好きだよね。女性は年齢じゃないよ、吉永小百合さんみたいな素晴らしい女性は幾つになっても実に素敵だし魅力的だよ、とかいう男に限って自分の嫁は20歳下だったりするじゃない? つまりさ、嫁が歳取るとどうしても若いエキスを吸いに行きたくなるんじゃないの?」
そんな…。
「真木ちゃん、どう思う?」
混乱した私は、救いを求めるかのように永世中立国スイスのような真木ちゃんにすがってみる。
「んー、若いエキスを吸いに行ってるかどうかはわからないけど、私の知る限り、風俗好きな人って絶対やめないからね、ずっと好きだよ。彼女いようがいまいが、結婚しようがしまいがずっと好き。私の会社でもデリヘル好きってなぜか自慢げに言う男は少なからずいるし正直あんまりびっくりはしないかな。人によるとはいえ、男の下半身はちょっと…女の理性では理解難しいのかも」
そうなの? そういうものなの?
「でもプロの人はいろいろ上手なわけでしょ。私そんな比べられても…」
「須藤さんそこは競わなくていいでしょ。奥さんがプロばりにあれこれ上手でも怖いって」
結花ちゃんから冷静に返される。そ、そうか。
「素人相手に泥沼コッテコテの不倫されて『浮気じゃないんだ、純愛なんだ』とか言われちゃったらそれこそやっかいだけど、そうじゃないんだから。相手もプロなら、お金もらってその分のサービスする、してもらう、以上おしまいってさっぱりしたもんだと思うよ」
さっぱりって、谷原さん、私はそんなふうに割り切ってOKOKとは思えません!
「そもそも旦那さんがデリヘル愛用者だなんて長年全く気付かなかったくらいだから、旦那さんは須藤さんを大事にしていて、お二人はそちらもいまだ順調にいたしてるということでしょう?」
またまた冷静な結花ちゃんの指摘。確かに大事にはしてくれている。子供がいない分、俺たち仲良くしようなと言ってくれて、毎朝毎晩ぎゅって彼からハグもしてくれて、毎日手をつないで寝るし、寝る時も起きてすぐもキスしてくれるわけで…あちらも変わらず気持ちいい。でもだからこそ他の人となんでという思いが消せない。うーっ…。
「須藤さん結婚早かったからわからないかもしれないけど、女が一人で生きてくって子供がいなくてもそこそこ大変なのよ。だからね、別れたら生活していけない、自活する経済力は無いって思うなら、奥さん思いの優しい非常に高品質なATMとして大事にメンテナンスしながら簡単に手放さずに保持していていいんじゃない? しかもHの相性もいいATMならなおのこと勿体ない」
この人なんてこと言うの!と、谷原さんの言葉に驚いてしまう。高品質なATMだなんて…悲しい。ってことはああ、やっぱり私は夫が好きなんだな…。離婚話なんて本当はしたくないんだ…。頭に血がのぼって、一人思い詰めて離婚話しようと呼び出してみたものの、彼女らの問いかけに、改めて彼への愛情をおもいしらされる。
「ちなみに、結花は旦那と離婚しようなんて考えないでしょ?」
谷原さんが確認する。
「うん、多分しないんじゃないかな。子供たちの父親だしね」
「で、でも結花ちゃん、だからって他の人と不倫していいの?」
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