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「人生を旅する女性に寄り添い、一緒に成長して行けるブランドでありたい」カレンソロジー ディレクター 坂田乃吏子(のりこ)さん【私のおしゃれフィロソフィ Vol.5】

多くの人たちに支持されるブランドには理由がある。それはデザインだけにとどまらず、作り手の思いがしっかりと息づいているかどうか。ブランドを牽引するデザイナーやディレクターにその思いをインタビュー。連載5回目は、カレンソロジーのディレクター、坂田乃吏子さんに話を伺った。
カレンソロジー ディレクター 坂田乃吏子さん
イエナやドゥーズィエム クラス、マッキントッシュ フィロソフィー…マリソル読者の多くがお気に入りとして挙げるブランドを人気ブランドへと牽引してきた坂田さんが、立ち上げからディレクションに携わるカレンソロジーが来年、5周年を迎える。ひとつの節目ともいえる時期を前に、坂田さんの今の思いを取材した。
______ディレクターという仕事につくきっかけは?
始まりはベイクルーズのバイヤーでした。当時手がけていたイエナではバイイングはもちろん、買い付けブランドとの別注やオリジナル商品作り、シーズンビジュアルのスタイリングと制作、新規にオープンするショップの内装など、ありとあらゆることに関わっていました。この経験がディレクターという、全体を見るという仕事につながったと思っています。ディレクターという肩書きで仕事についたのは、マッキントッシュ フィロソフィーが初めてでした。
______その後、カレンソロジーに?
英国の老舗ブランド、マッキントッシュのセカンドラインである、マッキントッシュ フィロソフィーでのいい意味での制約は、私にとって英国を深く掘り下げることのできる学びの連続でした。でも充実した時間を過ごせば過ごすほど、今度は英国だけでなくもっと自由に広い世界に出てみたい、という思いが強くなっていったんです。そんな時、お声かけをいただきカレンソロジーの立ち上げに関わることになりました。
______素晴らしいキャリア。立ち上げは順調でしたか?
新しい会社が立ち上げる新ブランドでしたから、取り組み先を1軒1軒訪ねては私たちのやりたいことを説明して回る日々が続きましたね。そのときに伝えたのが、「もっと自由な女性像」でした。自由であることは言葉とは裏腹に、芯がしっかりしていないとなれないもの。それでいて女性としてのしなやかさも併せ持っていてほしい。私自身もスタッフもお客さまも、そして取り組み先の皆さんとも一緒に成長していけるようなブランドにしたいと、熱く語ったことを思い出します。
______その思いがブランドコンセプトにつながっているんですね?
カレンソロジーは、 “旅する女性”がコンセプト。旅をしながらさまざまなことを吸収して成長できる女性でありたいという思いが込められています。訪れた土地の空気や風景、文化や歴史、そして人との出会いを楽しむトラベルとしての旅はもちろんですが、日々の暮らしもまた旅。毎日の暮らしの中で体験するさまざまな出会いや学び、喜びなどが積み重なる人生そのものも壮大なる旅だと思うんです。その「旅」に寄り添う服をカレンソロジーが提案できたら!
______その人、その人の旅に寄り添う服とは?
「この服、このコーディネート、可愛い!」というノリも大事ですが、きちんと思いを込めて一つ一つ丁寧に作り上げたものには、袖を通した瞬間に感じる気持ちの盛り上がりがあると思っています。それはドラマチックなワンピースでもシンプルなシルエットの服でも同じです。例えば、シンプルなワンピースにスニーカーとトートバッグを合わせて日中をアクティブに過ごしたら、夜は大ぶりのブレスやピアスに、ヘアスタイルをちょっと変えるだけで違うムードを楽しむことができますよね。気分を表す服というものが、日々の生活の中で大事な存在だと体現できる物づくりが目標です。
坂田さんの手元には、ゴールドの華奢なブレスレットやリングが光る
______実際のディレクターの仕事とは?
イメージとしてのキーワードをスタッフと共有します。それを受けたデザイナーたちがこのワードを個々で膨らませ、掘り下げたアイデアやデザインを提案してくれるので、そこでまた意見交換を重ね、生地選びやトワールチェックへと進んでいきます。
______キーワードはどのようにして?
基本は、自分が着たいと思うところから。それはアイテムのこともあれば素材かもしれなくて。そうして集まったキーワードを、カレンソロジーというフィルターを通して整理していきます。その時、私が大事にしているのが「リアル」であるということ。作られた世界ではなくリアルに自分が着たいもの、リアルな表現ができることにこだわっています。ここまでは一人でもくもくと作業します。孤独な世界ですね(笑)。生み出すところは一人ですが、後はチームワーク。人に恵まれて、笑顔の素敵なスタッフがいることで、安心してやっていけます。
______スタッフやお店のムードがとても暖かいと感じましたが・・・
それは嬉しいですね。私が一番年上でありディレクターなので、なるべくスタッフの声を聞くように心がけています。私が先に意見してしまうとスタッフは声を上げにくくなってしまいますので、声を聞いた上で方向性を示すことができたらと。みんなにも育ってほしいし、一緒に成長することがブランドの目標でもありますから、チーム力を大事にしていきたいんです。そうすることで私自身もスタッフの気持ちを知ることができ、教えられることも多いんですよ。

私は昔から、お店にはそれぞれのオーラがあると思っています。スタッフが生き生きしているところは、お客様が洋服を手に取る前からすでにそのオーラを与えているんです。そこには人の力が大きく関わっていて、それは物を作って販売していく上でとても大事なことなんです。その思いが服に宿って、お客さまにも伝わっていくと信じています。
______5年目に向かって思うことは?
時代とともに、視野や考え方も柔軟に対応していきたいですね。そのためにも自分たちのしっかりとした物づくりが強みになるようにアップデートしていかなくては! そして年齢で区別するのではなく「カレンソロジーが好き」という人たちに愛されるブランドになれたら幸せですね。
<今日のスタイル>
ニットとパンツ姿の坂田さん
極端に前後差があり凝った編地を組み合わせることで印象的に仕上げたニットとチノパンツという、シンプルな中にも坂田さんのこだわりが詰まった着こなし。「パワーのあるニットは、自分のキャラクターに合わせてサラッと着るのが一番。強い色を合わせるというより、髪の色も含めて全体がなじむトーンでまとめました。後ろが長いニットなのでワイドパンツで重心が下に向くように意識して。単品同士の組み合わせはシンプルですが、その潔さが気に入っています」。アンバランスニット¥42,900(シーエスジー)・コットンサテンワイドパンツ¥25,300(アンド アールシー)/カレンソロジー 青山店
<推しアイテムをCHECK>
  • ベージュの一重コート

  • ピンストライプのジャケット、パンツ、ワンピース

(左)イタリアの老舗ファブリックメーカーの生地で仕立てたリバーコート。羽織った瞬間、着こなしが決まるシンプルなデザインと、赤みを抑えたクールなベージュカラーに注目。アームをたっぷり取ることでインナーを選ばず、パンツでもスカートでもバランスよく着られるのも魅力。マンテコリバーコート¥52,800/カレンソロジー

(右)ダークネイビーに絶妙の太さのピンストライプを配したオリジナル生地で仕立てた、女らしくてカッコいいがかなうノーカラージャケット、絶妙な落ち感のパンツ、1枚で絵になり重ね着自在のワンピース。きれいな表面感とウールの柔らかさが引き立つアイテムで3シーズン愛用できる。ウールピンストライプジャケット¥41,800・パンツ¥27,500・ワンピース¥30,800/カレンソロジー
  • キルティングのショート&amp;ロングベスト

  • パールボタンのカシミヤカーディガン

(左)ヴィンテージのような味わいを表現したベストは、サスティナブルな「カポック」の中綿を使用。秋口はベストとして、コートの季節にはインナーとして“脱いでも素敵”を意識したデザインに仕上げている。軽くて暖かくておしゃれ、がうれしい。CL-10キルティングショートベスト¥26,400・ロングベスト¥35,200/アンド アールシー

(右)オーバーサイズに見慣れた目に新鮮な、うっとりする肌触りのカシミヤニット。ウエストできゅっと溜まる丈感とドルマンスリーブにパールボタンがアクセント。強弱のついたシルエットは、ボトムを選ばず気持ちを上げてくれる。ニュアージュカシミヤニットカーディガン¥36,300/シーエスジー
カレンソロジー青山の内観
カレンソロジー青山

東京都港区南青山5-5-25 南青山郵船ビルT-PLACE B棟1F
☎03-6419-7899

 

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