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女っぷり上々。ご機嫌に転がります②【小説・じゃない側の女ーエピローグー】

結婚していない女、選ばれない女、子供を産んでいない女、育てていない女、もらえない女…。好む好まざるにかかわらず、「じゃない側」からそう簡単に抜け出せない。全4章を締めくくるエピローグ②をお届け。
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めまぐるしく動くビジネスの場においてキャリアを築き経済力を持つ女性は、常に人目にさらされる環境下にあって、あごと首の境目がなくなるようなこともなく、身なりやスタイルをきちんと保つと共に知識や経験を絶え間なく増やし続けることで磨かれるその聡明さは「そうじゃない側」の女にはとても及ばないのではないだろうか。

……など、ともすると人は、どこまでも果てしなく「自分と逆側の存在」と「自分自身」を比べてしまいがちだ。

かつて不惑と言われた40(アラフォー)は、会社員生活でいえばちょうど半分の折り返し地点。人生も平均寿命からすると約半分。ここまで来ても、あいも変わらずしょもないことで汗を流し涙を流し、いくつになっても、すべての迷いがきれいさっぱり消え去る日なんて来そうにないまま、いまだ元気に惑い続け迷走爆走中の私たち。

それでも20代、30代で流してきた大量の汗と涙を糧にして、今この40代、相当激しく転んでも、よろよろとふらつきながら額から鼻の穴から相当の血を流しながらも、ゾンビのごとく不死鳥のごとく立ち上がる自分の姿をケラケラ笑えるようになってきた。面白いと感じられるようになってきた。もしかしたらその様は、はたから見たらちょっとしたホラーかもしれない。

でも何故だろう。
今そんなホラーな自分が、自分たちがちょっと楽しい。

ひとりを寂しいと思わなくなったわけじゃない。開き直ったわけでも、不感症になったわけでもない。あまりにあからさまな悪意には未だ傷つくこともある。ただある程度の寂しさは自分の両手で抱えながら生きていけるくらいにちょっぴり強くなったような気がする。

ほんのちょっと前、そう30代は「幸せにする」と誰かに約束してほしかった。だから結婚したかった。自分を認めてくれる人が欲しかった。誰かの私に対する約束が欲しかった。拠り所が欲しかった。自分じゃない誰かにその拠り所を求めては、そのとおりにならないと、傷つき、悲しみ、苦しんだ…ような気がする。

確かに、いつどんな自分でも肯定してくれる誰かがそばにいてくれたら、それはとても幸せなことだとは思う。でもそれは、その誰かがいなくてはならないということではない。

いつまでも自分の今を、寂しさを何かのせい、誰かのせいにして嘆き悲しむのは不毛だ。自分の拠り所は、自分がどうしたいか、どうありたいかで、自分「じゃない側」と自分を比較する必要はない。

そんな当たり前のことさえ、しっかり腹落ちするには時間がかかる。頭ではなく体感として理解できるまでにはかなりの時間と経験を要してしまう。少なくとも未熟な私はそうだった。
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    植田真木(うえだ まき)43歳 金融会社勤続20年の管理職。「アラフォー独身女」でいることに疲れ、39歳で「可もなく不可もない男」と駆け込み結婚をしてみたものの…。

    ■Side1結婚してない側の女(全14回)を読む >

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    谷原理沙(たにはら りさ)43歳 某有名ブランドのバイヤーとして、月の半分近くを海外で過ごす。後輩が次々と妊娠して産休に入るたび、「快く」送り出しているつもり、だけれど。

    ■Side2産んでない側の女(全15回)を読む >

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