2017年8月22日

「自分と関係ないことにも怒ってしまう感情をどうしたらいい？」【40代お悩み相談】

みうらじゅんさんと辛酸なめ子さんが、40代のお悩みに独自の視点で回答！　今回は「有名人の不倫について悪魔のような気持ちになる」という方からのお悩みです

【今月のお悩み】私の＂内なる悪魔＂、どうしたらいいでしょう？

週刊誌などでタレントや国会議員の不倫が暴かれると、どうしても＂既婚者・嫁＂の立場で見てしまい、「不倫したヤツはこのくらいの罰を受けて当然。もっと痛い目に遭って、まだバレてないヤツを脅かしてやれ！」という悪魔のような気持ちに……。どうすれば、自分には関係ないことに感情を支配されないようになるでしょうか。
（東京都・みるこ・42歳・主婦）

「自分と関係ないことにも怒ってしまう感情をどうしたらいい？」【40代お悩み相談】_1_1

☆辛酸なめ子さんの回答

芸能人の不倫ニュースが出ると「絶対許せない！」と怒っている人がいます。奥さんに感情移入した優しい人なのだと思いますが、そもそも無関係な人の問題で、エネルギーがもったいないので心を動かさないのがベストです

☆みうらじゅんさんの回答

〝器の小ささ”を自覚し、逆に、そのよさを磨いてみては？

　　別に、みるこさんの気持ちは悪魔の域に達していません。昔から「他人の不幸は蜜の味」と言って、多くの人はこの手の話に興味があるというか、好きなんじゃないでしょうか。

　みるこさんは、「不倫がまだバレていない人」にも怒りを感じてらっしゃるようですね。実際、バレていないけど不倫中の人って、世の中にはけっこういると思われます。同じことをしていて、バレる人とそうではない人の差はどこにあるんでしょう。
　タレントや政治家のように有名人だとふだんから探りを入れられてバレやすい、とか？　でも、バレずに不倫ライフを満喫している人の中には、もっと大物もいるはずです。
　と考えるとバレるかバレないか、の要因のひとつに器の大きさがあるのではないでしょうか。カップルの一方が、ケチだったり単に浮気性なだけだったりすると、相手が我慢ならずに自らバラしてしまうとか。つまり、器の小さい人がバレる宿命にあります。そんな、器の小さい人のことに興味をひかれるということは、みんなそんなに器が大きくなくて似たり寄ったりの部分があるから、ついつい気になってしまうんですね。だから自分のことを悪魔だと思ってイヤだというより、他人ごとに感情を支配されてしまう器の小さい人間なのだということに薄々気づいてしまって、そんな自分にいや気がさしておられるんじゃないでしょうか。

　器うんぬんについて、こんなに長々と語ってしまうのは僕自身もまた、器の小さな人間だからです。でも、それが性根ですから仕方ありません（笑）。さらに、このトシになると今さら器なんて、大きくしようがないんですよね。
　ただ、器の大きい人って、日本でもそんなにおられないんじゃないでしょうかね？　だから週刊誌が売れ、テレビのワイドショーがなくならないのでしょう。

　それに、器が大きいからいい、小さいから悪い、というわけでもないと思うんです。大きい人は、芸能人の不倫についても「まあ、そういうこともあるわよ」とか言って、話をしていてもまったく盛り上がらないじゃないですか。器の大きい人の話って、往々にしてつまらないんですよね。
　一方、器が小さくて人のことがやたら気になる人は、まわりのことが見えてこまやかな気配りができる人、まじめな人、とも言えるかもしれません。

　ただ、器が小さいとちゃちく見えがちなんですよね。だから、器に盛るモノに工夫が必要です。芸能人ネタ、不倫ネタだけじゃなくて、例えば歴史の話とか、クラシック音楽とかオペラとか、あるいは今、みるこさんが夢中になっている趣味の話とか。ちょっとインテリジェンスを振りかけたモノをあれこれ盛ってみるというのは？　そうすると台湾の小皿料理みたいに「いろいろ味わえて楽しい、おいしい！」って、器の小ささが逆に魅力になったりすると思うんですが、どうでしょう。

●JUN MIURA：イラストレーターなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」など数々のブームを生み出す。ドキュメント映画『ザ・スライドショー／＂レジェンド仲良し＂の秘密』が公開。
●NAMEKO SHINSAN：漫画家、コラムニスト。巫女的な感性でアイドル観察からスピリチュアルまで、あらゆる事象を取材。近著に『辛酸なめ子の世界恋愛文學全集』（祥伝社）などがある。