大人の女が進むべきタイプ、究極の二者択一
例えば夏木マリさん、萬田久子さんなど、この人だからこうやって歳を重ねられるのだというスペシャルな大人は、個性的すぎて真似ができないし、1つの奇跡として吉永小百合さんや岸惠子さんがいるが、決定的にリアリティーがなかった。だからこんなふうに自分も年齢を重ねていきたい、重ねていけるかもしれないと思わせた最初のアラフィフが、石田ゆり子さんだったのだと思う。
それは何より、アラフィフでこの透明感が保てること、こんなにナチュラルな愛らしさを持てること、しかも上品で知的でしとやかに見えるのに、こんなにキュートって、ともかくそのバランスがすごいと、女性たちを感動させた。何か人を驚かすほど若いと言うより、ある意味、普通なのに、この年齢が諦めていたものを事もなげに叶えてしまう、普通に凄いこの人こそ、私たちが歳を重ねていくお手本と、多くの人が気づいたのである。
そしてもう一つ、石田ゆり子さんは大切なことを教えてくれた。50代以降上手に年齢を重ねるためには、ただ単に「若く美しい」と言う漠然とした目的だけではいけない。形容詞を持つこと。それも「カワイイか、カッコいいか」、どちらかの二者択一。どんな女性も体型や顔立ち、ファッションの好みでどちらかに当てはまるはず。宝塚の女役か男役か、どちらがすんなり収まるのかといった二者択一と同様、「カワイイか、カッコいいか」を自ら選んでみて欲しい。この2つの形容詞は、言ってみれば加齢をカバーする雰囲気を生み、大人を魅力的に見せてくれる魔法の形容詞。極端な話、可愛らしいおばあさんやカッコいいおばあさんがいるように、2つの方向性はエイジングさえも素敵に見せてくれるのだ。