小林メディカルクリニック東京院長 小林暁子先生
健康も見た目の若々しさも腸内環境しだいで変わる
「腸には食べた物を消化・吸収し、排泄する役割があるのはご存じだと思いますが、もうひとつの大きな役割が免疫です。腸は食べた物とともに異物や病原菌が侵入しやすい臓器なので、これを撃退するため腸には全身の免疫細胞の約7割が集まっているとされています。腸は私たちが病気にならないように守ってくれる重要な臓器なのです」
このように重要な働きを担っているからこそ整えておきたいのが腸内環境。
「腸内には100兆個以上もの腸内細菌が棲みついています。腸内細菌は、健康に役立つ善玉菌、増えすぎると腸の内容物を腐敗させて発がん性物質などを産生する悪玉菌、状況に応じて優勢な側につく日和見菌の3つに分かれ、理想的な比率は2:1:7とされています。善玉菌が減ると日和見菌が悪玉菌に加勢して悪玉菌が増えるので、日和見菌を善玉菌の味方につけて善玉菌優健康も見た目の若々しさも腸内環境しだいで変わる勢な状態にしておくことが大切です」
最近の研究では、腸内環境を整えることでさまざまな病気の予防につながることもわかってきているとか。
「腸内環境を整えれば、風邪やインフルエンザの予防はもちろん、腎臓や肝臓の病気、生活習慣病やがん、アルツハイマー、うつ、不安神経症、不眠症などあらゆる種類の病気予防につながることがわかってきています(1)」
さらに注目されているのが腸と脳が深くかかわり合っているということ(2)。
「腸の動きを司るのが自律神経。心身が活動・緊張モードになって交感神経が優位になると腸の動きは悪くなり、逆に心身がリラックスモードになって副交感神経が優位になると腸の動きは活性化します。ストレスが多く交感神経が優位になりがちな現代人に便秘が多いのはこのためです。そして腸は自律神経を介して脳とも深くつながっています。食物繊維をしっかりとって腸内環境を整えたら、精神的ストレスが抑えられたという実験結果もあるように、腸の状が脳や心に大きな影響を及ぼすのです。腸内環境が変わったら性格まで変わったという例もあります」
注意すべきは、年齢を重ねるにつれ腸内環境は悪くなりやすいということ。
「腸内の善玉菌は加齢とともに減っていくうえ、腸の細胞も老化していくため、腸の動きが悪くなり悪玉菌が増えやすくなります。とはいえアラフォーはまだそれほどは腸の老化は進んでいない段階。腸内環境は食事や運動などの生活習慣で整えられるので、今から腸活を始めておけば年をとってから慌てなくてすみますし、更年期のトラブルの予防効果も期待できます(3)」
腸活を続けることで、見た目の老化を遅らせることも可能だとか。
「腸内環境が悪いと腸内で発生した有害物質が血液にのって全身に運ばれ、肌のハリや髪のツヤを失わせ、代謝も下がって太りやすくなり老化が進みます。でも腸内環境を整えれば血液の質がよくなるので美肌・美髪になり、太りにくく若々しくなるのです(4)」
つまり年齢が気になり始めるアラフォーの今こそ腸活の始めどき(5)。
「おすすめの腸活は、毎日の食事で食物繊維やオリゴ糖の多い食品、乳酸菌を多く含む発酵食品などをしっかりとり、適度な運動をすることです。ストレスをため込まないことも大事です」
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