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齋藤薫「40過ぎたら、“清潔感”がすべて。 その理由」

年齢とともに失われていく清潔感を、私たちアラフォーに宿す方法を美しさの分析といえばこのかた、ジャーナリスト齋藤薫さんが提案
女性の美しさは清潔感なくしては語れない。なのに、哀しいかな、年齢を重ねれば重ねるほど清潔感は失われていく……。でも、あきらめないで。大人の清潔感を育む方法を美のプロが考察。簡単ひと工夫と日々のケアで肌も存在感も曇りなく!
美容ジャーナリスト 齋藤薫

美容ジャーナリスト 齋藤薫

女性誌の編集を経てフリーに。表面的な美しさだけでなく、精神性にまで及ぶ切り口で美容分析する説得力のあるエッセイが幅広い女性たちの支持を集める

歳をとること=清潔感を失うこと。
だから今から始める「毎日3つ、清潔感を作って出かける」美習慣

美しさとは、すなわち清潔感である……かつてそう気づいたのは、安室奈美恵と、いわゆるアムラーの違いについて考えた時。安室奈美恵は例え髪が赤くても、ウルトラミニでも、底上げブーツでも、どんな時も全身の隅々までが清潔感に溢れていた。でも、失礼ながらその大切なことに気づいていないアムラーが少なくなかったのだ。かくして清潔感が美しさの生命線であることを、教えてくれた人は、その約20年後、40歳で引退していく最後の日まで、その清潔感を保っていた。だから有終の美は、なおさら奇跡的なまでに尊い輝きを放ったと言っていい。

 残念ながら人は、年齢を重ねるほどに、美しさの生命線である清潔感を少しずつ失う運命にある。肌から、髪から、体型から、声から、そして気持ちも含め、全身のあちこちから 清潔感が奪われていくのだ。それが老化であると言ってもいい。哀しいけれど、清潔感の分だけ人は若さと美しさの両方を失っていくのだ。

 だから逆を言えば、究極のアンチエイジングとは、失われた清潔感を改めて加えること。やみくもなエイジングケアより具体的な清潔感を新たに1つずつ加えていく方が、人ははるかに若々しく美しく見える。私生活でも美しい暮らしを営み、体の中まで浄化された人に見えるから。

 でも一体どうやって? 「失った清潔感を取り戻そう」と考えると、とても大掛かりなことのように思えるが、清潔感も色々。小さな清潔感を1つずつ加えていけばいい。難しいことではないはずなのだ。

 トラブルのないきれいな肌。白目の白い澄んだ瞳。白い歯と端正な歯並び。ツルツルの美しい髪。贅肉のない、セルライトのない体。それらは、誰が考えてもわかる清潔感の形、ではそこに共通するものとは何なのだろう。 1つにそれは、“新しさ”に他ならないが、厳密に言うとその新しさは"若さ”とは別もの。年齢を重ねても手に入れることができるもの。白目の白い澄んだ目は、確かに少女の瞳のようだけれど、50代だって60代だってキープできる。まずはそうやって"若さ”とは別の"新しさ”を意識して作ってみて欲しい

その新しさ、「生命感」と言い換えても良いが、細胞そのものがキラキラきらめいて、肌も瞳も笑顔もキラキラ輝いて見えること、その光こそ、清潔感の正体。イキイキと生きていることが見た目にも相手に伝わっていった時、そこに清潔感が溢れ出す。それも“命の新しさ”に他ならないのだ。考えてみてほしい。疲れた顔。不機嫌な態度。やる気のない印象。それらはいずれも清潔感に反してる。生命力ある人からは生まれないものだから。逆に笑顔や元気や前向きさは、イキイキ生きている証。見ていて心地の良いものは、全て清潔感と考えていいのだ

 一方に、「気血水」という言い方がある。これは人間の生命活動に必要な3つの要素で、「気」はエネルギー。「血」は血液。「水」は体液。これらが体内できちんと働くこと、それがイキイキ感の条件と言ってもいい。だからこそ「気血水」の良循環もまた清潔感の正体。気力が目に見え、サラサラの血が巡り、また見るからに水を感じさせる人こそが、存在の清潔感を見せつけるのだ。  

 でも、体ごと、命を丸ごと、イキイキさせなければいけないなんて、やっぱりとても大掛かり……そう思う人もいるかもしれないが、清潔感も色々、と言ったように、たった今この場で簡単に作れる清潔感もたくさんあること、知って欲しい。これから8つの清潔感をご紹介するが、それらは今すぐに、ほんの一瞬で作れる清潔感も含め、今日の外出にも持って出かけられるものがほとんど。だから、毎日3つずつ、清潔感を持って出かけて欲しい。それだけで、あなたは昨日より美しい。清潔感は大小を問わず、そこまで美しさの命なのである。

アラフォーからの清潔感
【Marisol 5月号2019年掲載】撮影/菊地泰久(vale./人物) 山口恵史(物) ヘア&メイク/千吉良恵子(cheek one) スタイリスト/程野祐子 モデル/樋場早紀(マリソルビューティ専属) イラストレーション/ユリコフ・カワヒロ 取材・文/山崎敦子 構成/原 千乃

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