早口で話すか、ゆっくり話すか、たったそれだけのことで印象はかわる
よく耳にするフレーズだけれど、これは褒め言葉か否か、一体どちらだろう。
言われた方は、まんざらではない。私って、それでも美人なんだ! と、強引に思うこともできるから。確かに言った方も、素直に相手を褒められずに〝照れ隠し”にそう言ってみることもあるのかもしれないが、大前提として〝喋り方ひとつ”で、美人はいとも簡単に台無しになることを、それは示している。実際どんな美形も、がさつな喋り方、ガラガラした声を耳にした途端、美人に見えなくなる。人間は情報の8割を視覚からとっていると言われ、聴覚は15%ほどに過ぎないのに、不思議だ。それは、情報量の問題ではなく、喋り方と声がよりその人の本質を表しているからで、言うならば内面そのもの。とりわけ人にとって何より大切かもしれない〝品性”と言うものを一瞬で図るバロメーターだからなのだ。
そう、早口で話すか、ゆっくり話すか、たったそれだけのことが、自分の印象の多くを決めているとしたらどうだろう。とても単純に、早く話す女はどうしても自己主張が強く、自信家で強気に見えがちである。人より多くのことを話したいから早くなり、人より強引だから早くなる……そういう法則が成り立ってしまうからである。逆にこんな人もいる。人一倍、か細い声で、弱々しく、ゆっくり喋る人。だから長い間その人は、おとなしくて穏やかで自信がない人だとばかり思っていたのに、実は全く逆であったと言う事実。たまたまそういう本質を知ることになっても、喋り方が同じである限り、どうしても最初の印象が消えない。自分にとってはやっぱり〝おとなしくて、穏やかで、自信がない人”なのだ。そのぐらい喋り方って、人の揺るぎないイメージを濃厚に作り上げているのである。