便利で快適なデジタル依存の生活で失うものを考える
ネット依存の専門外来をもうける成城墨岡クリニック院長の墨岡孝先生が説明。「デスクトップパソコンが主流の時代は物理的に時間が制限されていましたが、持ち歩けるスマホやタブレットで、どこでも簡単に24時間オンライン状態になれる。スマホの普及で社会人もネット依存は広がっています」。
特に今、注意したいのがSNS依存。「LINEやインスタグラムなどのSNSは、同調志向の強い日本人、特にコミュニケーションに長(た)けた女性のほうが中毒になりやすい。他者からの承認を頻繁に求めるのが大きな特徴で、孤独を恐れてネットワークを抜けられない〝つながり依存〟も発生」。デジタルガジェットの使い方に不慣れな40代以上はトラブルも多いそう。「ネットが生活を支配し、アプリでコントロールされる時代。オンライン中は、何を買ってどこに行ったかなど行動パターンもプロファイリングされ、その個人情報が企業に流れていると考えて」
28年間スパビジネスに従事するアンドレア・ロマス・ゴングさんいわく「デジタルツールと一定の距離を保ち、オフラインの時間を有意義に過ごすことで、健康になり心も落ち着きます」。まずは自分でも人でもないデジタルギアに管理される生活を見直してみたい。
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墨岡 孝先生 ●成城墨岡クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒。30年前からPC作業によるストレスを研究。ネットやスマホ依存の治療にも取り組む
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アンドレア・ロマス・ゴングさん ●マンダリン オリエンタルホテル ヘッド オブ グループスパオペレーション。世界のスパのトレーニングやマーケティングを担当