①アラフォーのための生理の基礎知識
☆私が教えます!
産婦人科医・心療内科医 小野陽子先生
女性ホルモンの減少に伴い、生理の状態が変わる世代
アラフォーになって、今までと生理の状態がちょっと変わってきたと感じる読者も多いようだが、これは体でどんな変化が起きるから?
「女性の一生は、女性ホルモンの影響を大きく受けます。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、このうちエストロゲンには、脳や血管、骨、皮膚、粘膜などの全身に作用し、抵抗力のある体を保つ働きがあります。このエストロゲンの分泌は20〜30代半ばごろがピークで、それ以降は分泌が減り始め、40代になると急激に減ります。そのためアラフォーになると体にさまざまな変化が起きやすいのです」
具体的にはどんな変化が出やすい?
「エストロゲンには子宮内膜を厚くする働きがあるので、分泌が減ってくると作られる子宮内膜の量が減ります。そのため、経血量が減ったり、月経の期間が短くなったり、周期が短くなったりするのです。これらは年齢に伴う自然な体の変化といえます。アラフォーで出産する人も最近は珍しくありませんが、卵の加齢や卵巣予備能の低下、子宮・卵巣の疾患の増加に伴い、生物学的には妊娠しづらい状態になるのも実状です。また、40代で更年期の症状が出る場合も。平均の閉経年齢は50・5歳で、個々人の閉経年齢の前後5年間ずつが更年期。閉経の年齢には個人差があるので、アラフォーのかたで、ホットフラッシュやのぼせ、めまい、動悸、イライラなど更年期の不調が出始める人もいます」
さらに、月経痛やPMS(月経前症候群)がひどくなるケースも。
「年齢を重ねるにつれ子宮内膜症や子宮筋腫などの病気になりやすくなるので、これらが原因で月経痛がひどくなる人もいます。生活に支障をきたすほど症状がひどい場合は月経困難症といいます。また、月経痛やPMSがひどくなる原因にはストレスも影響します。アラフォーのかたは仕事で重要な役職についたり、育児や家事などもあって多忙だったりとストレスフルなので、月経痛やPMSがひどくなりやすい可能性もあります。こういった変化は、その人の置かれている環境や状況によっても変わるので、体調変化に個人差が出やすい世代ともいえます」
ただし、適切な対策を取り入れれば症状の緩和は可能。まずは正しい知識をもつことから始めて。
TOPIC 01【生理のリズムをおさらいしよう!】
※月経周期には個人差があるため、下図は目安です
TOPIC 02【現代女性は生理の回数が多い!】
昔の女性は一生のうちで平均4回出産をしていたのに対し、現代の女性は回数が激減し、平均2回なので生涯月経回数が昔の約9 倍にも!
「子宮内膜症は月経回数が多いほどかかりやすくなりますし、子宮筋腫はエストロゲンの影響で大きくなるので、月経回数の多さは病気の原因にもなります。つらい場合は低用量ピルなどで月経回数を減らすことも可能です」
TOPIC 03【正常な生理の目安は?】
正常な生理の目安は以下のとおり。「アラフォーになり、女性ホルモンの分泌量が減ってくると、この目安より経血量が減ったり、出血持続日数や周期が短くなったりします」
※上記と異なるなど心配なことがある場合は婦人科医に相談しましょう
A.
「排卵痛とは、排卵時に卵巣の皮膜が破れて卵子が飛び出す時に生じる卵胞液と血液が腹膜を刺激する痛みで、排卵後に生じるものです。その痛みが加齢とともに強くなることや、1〜2週間も続くことはありません。痛みが続く場合には子宮内膜症などの病気がある可能性が考えられるので、婦人科で検査を受けるのがおすすめです。」
A.
「生理前は甘いものを食べたい欲求が高まりますが、急に食べると血糖値が急上昇し、その反動でしばらくたつと血糖値が急下降します。この血糖値の乱高下はPMSを悪化させるので、甘いものをとるなら先に野菜などの食物繊維が多いものをおなかに入れて血糖値の急上昇を防ぎましょう。また、コーヒーやアルコールなどの過剰摂取もPMSを悪化させるといわれています」
A.
「月経時の経血に塊が混じるなら、経血量が多すぎて塊になっていると考えられます。子宮筋腫などなんらかの病気が原因で、経血量が増えている可能性もあるので、早めに婦人科で検査を受けましょう。病気がなかった場合でも、経血量が多すぎると貧血になりやすいので、婦人科で相談し、低用量ピルなどを服用するといった対策をとるのがよいでしょう」
②生理、PMS、更年期…。アラフォー女子のお悩みQ&A
☆私が教えます!
産婦人科医・ヨガドクター 高尾美穂先生
A.「閉経の年齢は平均50.5歳ですが、個人差があり、40代で閉経する人も。だんだん生理周期が短くなってくるのは、加齢によって排卵後に分泌が高まるプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が減り、分泌期間が短くなるのが原因。加齢に伴って誰にでも起こることなので気にする必要はありません。ただ、そのまま40代で閉経してしまうかというとそうでもなく、その状態が長く続くことも多いです」
A.自分がしようと思っていない時に尿が漏れるのが尿漏れ。現代社会は昔に比べて体を動かす機会が激減したため、骨盤底筋が衰えやすく、出産経験がなくても尿漏れしやすい人が増えています。改善するには右ページで紹介したヨガなどで鍛えることです。尿漏れするので運動をしたくないという人もいますが、それでは衰えていくばかり。尿漏れパッドをした上で骨盤底筋を鍛えるのがおすすめ」
A.「在宅勤務だと、時間の使い方を自分でうまくコントロールしないと、ともすれば休まずに働き続けてしまうこともあり、今までより疲れるようになったという人も多いようです。仕事の合間には、必ずひと休みしてリフレッシュする時間を作りましょう。体を動かさずにいると気持ちが沈みがちですが、ヨガなどを取り入れて体を動かすと、気分転換にもなり、夜もよく眠れるようになって元気も出るのでおすすめです」
A.「コロナ禍の影響で、検診を受け控えしてしまう人も多いようですが、婦人科検診は1 年に1 回は受けるのが望ましいです。乳がんや子宮頸がんなど、発見が遅れると命にかかわる病気もあるので、定期的に検診を受けて早期発見・早期治療につなげることが大切。また、検診の結果によって、例えば、半年に1回は受診するようになどと、医師からなんらかの指示があった場合は必ずそれに従って検診を受けるようにしましょう」
A.「PMSは、ホルモン変動によって起きる症状で、正しくサイクルがめぐっているサインなので、まずはそれを認識しましょう。ピルや漢方薬などで緩和できることも多いので婦人科で相談を。また、PMSに悩む人の中に睡眠不足の人も多いので、自分の生活を見直すことも大事。それとともに、自分ひとりで悩まずに、家族やパートナーにもPMSのことを理解してもらい、家事を分担するなど協力してもらいましょう」
A.「加齢とともにエストロゲンが減っていくと、腟の伸びが悪くなっていきます。それに加えてセックスレスだと腟が萎縮しやすくなるので、たまにセックスをした時に性交痛が生じやすくなります。またセックスレスが続くと、卵巣がもう生殖の役目は終わったものと認識し、閉経が早まる場合もありますが、基本的にパートナーと話し合ったうえで、いろいろな選択肢があってよいと思います。」
A.「母親が更年期症状がひどかったからといって、子供もそうなるわけではありません。更年期症状が出やすいのは、生真面目な人や、自己犠牲型の人、なんらかの喪失体験をした人などで、性格や環境によるところが大きいです。症状が出た場合も、ホルモン補充療法や漢方治療など、現在はさまざまなよい治療法があるので、過度に恐れる必要はありません」
③生理痛の緩和に効くヨガストレッチ
☆教えてくれたのは
産婦人科医・ヨガドクター 高尾美穂先生
脚を前後に大きく開くこのポーズは、そけい部を走る腸腰筋に血流が集まって骨盤腔のうっ血が解消し、骨盤まわりの重だるさや冷えからくる生理痛が緩和。
「気をつけ」の姿勢で立つ。
右脚を大きく一歩踏み出して膝を曲げ、右脚に体重をかける。
両手を上げて上体を起こし、9 秒キープ。左右の脚を入れ替えて同様に。
④生理のつらい症状。その痛み、月経困難症かも…?
☆私が教えます!
産婦人科医・心療内科医 小野陽子先生
その痛み、月経困難症かも…?
アラフォーになって、月経痛が悪化することもよくあるケース。症状があまりにもひどい場合は、「月経困難症」と診断される場合も。この病気の2つのタイプや原因、治療法などを詳しく解説。
■そもそも月経困難症とは?
生活に支障をきたすほど症状がひどく、下腹部痛以外に、頭痛、吐き気などが起きることも
月経中に強い下腹部痛や腰痛などが起きて、生活に支障をきたす場合は月経困難症が疑われる。
「月経困難症は月経のある女性の約30%にみられます。原因によって2 つのタイプがあり、ひとつがほかの病気が原因でない"機能性月経困難症"。これは、子宮内膜で作られる痛み物質のプロスタグランジンが通常より多く作られ、子宮が強く収縮することで、下腹部痛や頭痛、吐き気、下痢などが起きます。また、もうひとつのタイプは、病気が原因で起こる"器質性月経困難症"。子宮内膜症や子宮筋腫などなんらかの病気が原因で起きます。アラフォーに多いのはこちらで、以前より月経痛がひどくなってきたという場合には要注意。今、病気がなくても、月経痛を放っておくと子宮内膜症になりやすくなるというデータもあります。治療すれば症状を軽減できるので早めに婦人科へ」
【機能性月経困難症】
痛み物質であるプロスタグランジンが多く作られ、子宮が強く 収縮したり子宮の出口(子宮頚管部)が狭いために痛みが生じる。痛みは周期的に起こり、月経初日や2日目など出血量が多い時に症状が強くなる。思春期に多く見られる。
【器質性月経困難症】
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因で起こる。鈍い痛みなどの症状が月経数日前から始まり、月経中は強くなり、月経後も数日続くことも。年齢が高くなるにつれ増える。
【器質性月経困難症】の主な病気
子宮内膜に似た組織が子宮外に発生する病気。症状は月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛、不妊など。
子宮の筋肉に発生するコブのようになった良性腫瘍。30歳以上の20〜30%にみられる経血量の増加、月経痛、不正出血、不妊などの症状が出る。
子宮内膜が子宮の筋層の中に増殖する病気。30代後半〜40代に多くみられる。月経痛、経血量の増加、出血持続日数の延長などの症状が。
■治療について
経口ホルモン剤などの薬で症状はラクになるので早めに対処を
「機能性月経困難症に対しては、薬での治療が基本です。器質性月経困難症は、原因である病気の治療を行いますが、症状を和らげるための対症療法としてやはりホルモン剤での治療を行います。PMSにも症状に応じて同じような薬を用い、PMDDなど精神的な症状が強い場合には抗うつ薬などを用いる場合もあります」
①鎮痛剤
プロスタグランジンの産生を抑制する非ステロイド性抗炎症薬(ボルタレン、ロキソニンなど)が鎮痛剤として用いられることが多い。「痛みがひどくなるまで鎮痛剤を我慢する人がいますが、我慢できないほどの痛みは治療の対象です。婦人科受診をおすすめします」
②経口ホルモン剤 (OP/LEP)
経口ホルモン剤とは低用量ピルなどのホルモンが配合された薬。「低用量ピルはエストロゲンとプロゲスチンが配合された薬で、排卵を抑制して子宮内膜が厚くなるのを抑え、月経を軽くします。月経困難症や子宮内膜症には保険適応。海外ではPMSの主要な治療法です。また、プロゲスチンだけが配合された薬を用いる場合もあり、こちらも子宮内膜の増殖を抑え、月経痛や経血量の増加を抑えます」
③漢方
経口ホルモン剤に抵抗がある場合などには、漢方薬も選択肢のひとつ。「月経困難症やPMS、PMDDの治療として漢方薬が用いられることもあり、症状を和らげます。その人の体質などによって合う漢方薬が異なるので、医師の診察を受けたうえで取り入れて」
④子宮内黄体ホルモン放出システム( IUS)
「I US」も最近注目されている治療法。「IUSは子宮内に装着するシステムで、プロゲスチンを放出し続けるので子宮内膜が厚くなるのを抑えられ、月経痛緩和や経血量を減らす効果があります。入れていても特に違和感はなく、性交も問題ありません。1 回入れると5 年ほどもち、薬を飲む必要がないので楽に感じる人も多いようです。月経困難症には保険適応。避妊効果も99%以上」
「生活習慣で月経痛やPMS、PMDDを改善することが可能です。上記のような点を心がけて。コーヒー、糖質、アルコールの過剰摂取は症状を悪化させるので控えめに。リラクゼーションを取り入れてストレスをケアすることも必須」
⑤迫りくる更年期。この先の生理はどうなるの?
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産婦人科医・心療内科医 小野陽子先生
脳からの指令でも女性ホルモンが分泌されず、脳がパニックを起こし不調が発生
女性ホルモンの減少に伴い、更年期症状が出始めるのが40代。「女性ホルモンは脳の視床下部でコントロールされ、視床下部が卵巣に排卵の指令を出すと、下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が分泌され卵巣を刺激。するとエストロゲンやプロゲステロンが分泌され月経が起こります。しかし加齢とともに卵巣機能が低下すると、脳が指令を出してもこれらのホルモンが作られず、脳が通常の何倍も指令を出します。これにより自律神経が乱れ、ホットフラッシュ、のぼせ、イライラなどさまざまな不調が出るのです。閉経前に更年期症状が出始めた時は低用量ピルなどで症状を抑えます。年齢によってエストロゲンを微量に補うホルモン補充療法(HRT)や漢方薬を用いたり、閉経後は主としてHRT、漢方を用います。つらい症状はこれらで症状を緩和できるので医療をうまく利用して」
周期が短くなったり、回数が減っていき、最終的に閉経を迎える
知っておきたいのが40代に入ると起こりやすい閉経までの生理の変化。「女性ホルモンが減っていくことで、28日周期が21日周期になるなど、しだいに月経周期が短くなっていきます。また、月経がいつくるかわからない不規則な状態になったり、一部が無排卵性出血になったり、病気がないのに月経時以外に出血がある機能性子宮出血が続く場合も。さらに女性ホルモンが減ると、月経が2 〜3 カ月に1 回というように回数が少なくなっていき、最終的に1 年以上月経が来なくなったら閉経とみなします。時期や症状に個人差はありますが、このような変化は加齢とともに誰にでも起こります。不安を感じたらひとりで悩まず婦人科を受診しましょう」
A.「更年期が近づくと卵胞刺激ホルモン(FSH)の値は上昇し、エストロゲン(E2)の値は減ります。血液検査でFSHが40mlU/mL以上、E2が5pg/mL以下は更年期の可能性が高く、これに近い数値だと閉経間近と考えられます」
A.「閉経したら基本的に月経は戻りません。また、40代で閉経し、更年期症状の治療などのために低用量ピルなどのホルモン剤を服用していると、定期的に月経様の出血がある場合がありますが、これは薬によるもので月経が戻ったわけではありません」
A.「食事から栄養を補いきれない場合は、栄養バランスを整えるため、ビタミンやミネラルをサプリで総合的に補っておくのもよいと思います。また、女性ホルモンと似た働きをし、更年期症状の改善によいとされるエクオールや、更年期以降に起きやすい骨粗鬆症の予防につながるビタミンDもいいと思います」
⑥アラフォー生理とPMS(月経前症候群)実態調査
「 量が減ってきた。でも生理痛は変わらずつらい。この先どうなるの…?」(42歳)
"自分の生理について、不安がありますか?"という質問について、YESと答えた人が全体の77.6%と、大半の人が不安をもっている様子。
「 22日くらいの周期で来るように。このまま閉経に…?」(43歳)
以前と比べて、毎月の生理が変わってきたと感じている人はさらに多く、全体の86.6%にも! アラフォーになって、毎月の生理について、みんななんらかの変化を感じているようだ。
「最近軽くなって3日くらいで終わるように。大丈夫なのかな?(44歳)」
生理の変化で、経血の量が変わってきたという人が最も多く、全体の28%。次いで多いのは日数、周期の変化。また、PMS(月経前症候群)がひどくなってきたという人も多数。ほかに、生理痛が重くなってきたり、軽くなってきたという人も。
「 生理前のイライラがひどい!忙しさのせい?」(40歳)
生理中やPMS(月経前症候群)で感じる症状は、イライラが全体の14%とトップで、メンタル面の不調を感じる人が多い様子。次いで、だるさ、眠さ、むくみ、肌の調子の悪化、頭痛など、さまざまなトラブルに悩まされているようだ。
「 生理痛がつらいとすぐに薬を飲んでしまいます。飲みすぎも心配」(38歳)
生理やPMS(月経前症候群)の対策は、薬を飲むという人が33.9%で1 位。働く女性にとって素早く症状を改善することが重要だからかも? ただ、特に何もしないという人も多く、不調を抱えながらも、なんとかやりすごしているようだ。
⑦どうして生理やPMS(月経前症候群)は変化するの?
産婦人科専門医 高尾美穂先生
性ホルモン分泌量の減少で生理の量や日数、周期に変化が
40歳前後になり生理の量や日数、周期などが変わってくる理由とは?まずは生理のしくみをおさらい。
「生理にはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが関係しています。生理後はエストロゲンが増え、その影響で子宮内膜が厚くなります。やがて排卵を過ぎるとプロゲステロンが増え、子宮内膜はさらに厚くなり妊娠成立に適した状態になります。妊娠しなかった場合は両方のホルモンの分泌が減り、子宮内膜がはがれ落ちて血液とともに排出されます。これが生理です」
ただ、女性ホルモンは35歳ごろを境に分泌量が減り、それに伴い変化が。「エストロゲンが減ってくると子宮内膜が作られる量も減ります。経血量や生理日数が減るのはこのためです。また、生理周期が短くなるのは加齢によりプロゲステロンの分泌期間が短くなるから。つまり自然な体の変化です。ただ、経血量が増えたり、生理痛がひどくなった場合は子宮筋腫や子宮内膜症の可能性が。40代になるとこれらの病気も増えます」
では、PMS(月経前症候群)の症状が変わる理由とは?
「PMS(月経前症候群)は、生理前にプロゲステロンの分泌が増えることが大きな原因。プロゲステロンには体に水分をため込む働きがあるので、体がむくみやすくなります。腸がむくんで便秘になったり、髄液の圧が上がることで頭痛が起きたりします。また、プロゲステロンは血糖値を下げるインスリンの効きを悪くするので、過剰な食欲を感じやすくなります。急激な血糖値の低下により体が飢餓感を感じ、それに対抗しようとアドレナリンが分泌されるため、攻撃的になったり、イライラしやすくなります。それに加え、プロゲステロンの分泌が高まる時期には、自律神経のうちの緊張をもたらす交感神経が優位になったり、精神を安定させる脳内物質GABAや、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンも減ることもあり、イライラや落ち込みを感じやすくなります。20代ごろまでは、排卵が正しく起きず生理不順のことも多いのですが、30代になると安定してきて排卵が規則正しく起こり、生理も順調に来てプロゲステロンもしっかり分泌されるので、アラフォーになってPMS(月経前症候群)がひどくなる人も多いのでしょう」
つまり生理やPMS(月経前症候群)の状態が変わるのは、加齢による自然な変化。
「健康な証拠なので、過度に不安を抱かず、うまく乗りきりましょう」
アラフォーになると女性ホルモンの減少により、経血量が減ったり、生理期間や生理周期が短くなったりという変化が出やすい。一方で婦人科系の病気も増えやすい年代で、それに伴う経血量の増加や生理痛の悪化なども。
アラフォーになると排卵が安定し、生理前にプロゲステロンが正しく分泌されるようになるため、むくみや頭痛、落ち込み、イライラなどプロゲステロンの影響によるトラブルが生じやすくなり、PMS(月経前症候群)がひどくなる場合が。
▼
アラフォーなら自然に起こること
経血量の減少や、生理日数や周期の短縮、PMS(月経前症候群)がひどくなることは年齢とともに起こる自然な体の変化。悪いことではないので過剰に不安にならず、うまく乗りきって
⑧つらい生理とPMS(月経前症候群)を乗り切るために
婦人科で処方される薬やサプリをうまく活用して
「PMS(月経前症候群)や生理痛、経血量が多いなどの症状は婦人科で処方される低用量ピルで改善可能。またPMS(月経前症候群)には加味逍遙散などの漢方薬も効果的ですし、低用量ピルが合わない場合はプロゲステロンだけが配合されたプロゲスチン製剤が有効。そのほか、女性ホルモンに似た働きをする〝エクオール〟のサプリメントもPMS(月経前症候群)症状の緩和に期待できます。症状がひどい人はこれらを試してみて」(産婦人科専門医 高尾美穂先生)
そけい部を伸ばすストレッチ
⑨進化している生理用品をチェック!
■生理用品は進化している!
オーガニックコットンのナプキン、ナプキンにプラスするだけで吸収力を高めるアイテム、ナプキンやタンポンいらずのショーツ、腟の中に入れる経血カップなど選択肢が広がっている。生理中のブルーな気持ちを和らげる強い味方に。
中)デリケートゾーンに吸収体を押し当て、ナプキンと併用すると約2時間分の吸収力がプラスオン。ソフィ シンクロフィット 12ピース(オープン価格)/ユニ・チャーム
左)ショーツ本体の生地はオーガニック、おなかから腰まわり一周には温感素材を使用。ソフィオーガニックコットン温活ショーツ(オープン価格)/ユニ・チャーム
左)デリケートゾーンのpH値に合わせて作られた低刺激のデリケートゾーン用ソープ。YES インティメイト・フォームウォッシュ 無香料 150㎖¥2,400/アジュマ
■サプリやアロマも上手に利用して
薬に頼りたくないという人は、女性ホルモンにアプローチするサプリを取り入れる方法も。また、イライラなどのメンタルトラブルが起きやすい場合には、リラックス効果のあるアロマアイテムを取り入れるのも手。
左)緊張や不安を和らげるパチョリや、女性のバランスをサポートするローズなどの精油を配合したロールオンタイプの香り。アロマパルス ウーマンズバランス 9 ㎖¥1,800/ニールズヤード レメディーズ
■休息は大事
睡眠を十分にとるだけで不調は改善しやすくなる
「PMS(月経前症候群)や生理の不調がある人は、睡眠不足のことがとても多いです。1 日に5時間半しか寝ていない人が、7時間睡眠を1週間続けるだけで確実に体調も、精神状態もよくなります。不調があったらまずは睡眠時間を見直してしっかりと休み、自分をいたわって」
■メンタルケア
頑張っても変えられないことは悩まない
「PMS(月経前症候群)のイライラや落ち込みが強いのは女性は思考回路が複雑なせいもあります。悩みは多いと思いますが、自分の力で変えられることと変えられないことがあるので、変えられることは頑張って、変えられないことは悩まないというように頭をゆるめることも大事」
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