2020年3月20日

母が暗に「婚活」をすすめてくるのにイライラします【40代お悩み相談】

「母が遠回しに結婚のプレッシャーをかけてくる」とお悩みの相談者さんに、みうらじゅんさんと辛酸なめ子さんが独自の視点で回答！

【今月のお悩み】「母が暗に「婚活」をすすめてくるのにイライラします」

姉も私も独身。最近、母がやたら「婚活」の記事をスクラップして、私の目のとまるところにわざとらしく置いてくるので、イライラします。母としては、直接私たちに言うと気まずくなるので、スクラップ作戦に出たようなのですが。どうすれば、母親をあきらめさせることができるでしょうか。
（福岡県・こずえ・40歳・会社員）

☆辛酸なめ子さんの回答

婚活より終活……まさに自分がそんな感じで、母を看取り祖母のケアをして次は父の介護という……でもそれはそれで充実感あります。相談者さんのご両親にも、娘と仲よく暮らせていることだけで幸せだと実感してほしいですよね。

☆みうらじゅんさんの回答

とりあえず、大画面テレビを買いませんか？

　一番スッキリするのは、まず、こずえさんが家を出てひとり暮らしをすることなんじゃないでしょうか。そうすれば、スクラップ帳はこずえさんの視界に入らないわけですから。ただ、そうするとお姉さんひとりが、矢面に立たされてしまうでしょうねぇ。ううむ。

　これは、お母さんと同年代である僕の推測ですけど、お母さんは別にいやみったらしくスクラップ帳を置いているわけではなく、ただ娘たちとの共通の話題が欲しいだけなんじゃないでしょうかね。

　親子だって、ずーっと一緒に暮らしていたら、そんなに新しい話題はないですからね。そもそも、こずえさん、そしてお姉さんも外に出て働いてらっしゃるとしたら、お母さんとは見ている世界がまったく違いますから、話は合わなくて当然です。
　お母さんはそれが寂しくて、なんとか娘たちと共有できる話題を探しているのかもしれません。でも、へたな話題を振ると、娘たちにうざがられてしまうこともわかっている。僕もこの間、子供の気を引こうとして「米津玄師がさあ」って振ってみたら、「知りもしないくせに」というような顔されましたからね。にわかの知識はヤバイです。
　その点、結婚の話を振れば、こずえさんたちとの間に何かしら会話が生まれると思っているんじゃないでしょうか。つまりお母さんとしては、娘たちの結婚について、さほど気にしていないような気がするんですが。

　お母さんは、美容院か何かで読んだ女性週刊誌に「婚活」の記事を見つけて、「今の時代はお見合いじゃなくて、コレなんだ！」と気づき、これなら「娘たちと話が合うかも」と思ったのかもしれません。残念ながら、婚活の２文字もすでに若い人には新鮮味はないですし、スクラップ帳にその記事を貼るって行為もどうなんですか？　今どきやってる人は僕くらいなもんだと思いますけどね（笑）。でも、お母さんは娘たちと話がしたい一心で……。
　とはいえ、こずえさんとしては、そんなの知ったこっちゃない、結婚するもしないも私の決めること。そりゃ、そうでしょう。

　そこでひとつ、提案があります。部屋の壁の一面を占有するくらい大きな画面のテレビを買いませんか？　こずえさんと、お姉さんにもお金を出してもらって。
　それだけ大きなテレビなら家の中での存在感はかなりのもので、否が応でも家族全員が見ることになると思うんですね。そうすれば、芸能人のスキャンダルとか、やたら多いクイズ番組とかが格好の共通の話題となって、婚活話なんてどこかに消えてしまうんじゃないでしょうか。

　年代的にお母さんはテレビっ子でしょうから、大画面で、しかも多機能のテレビを娘たちがプレゼントしてくれたら大喜びでしょう。海外ドラマか何かにハマってくれたら、こっちのもの。お母さんに夢中になれるものがあれば、娘のことなんてどうでもよくなるような気がするんですが。　高い買い物かもしれませんが、ひとり暮らしをして家賃を払うことに比べたら、断然、安上がりだと思いますよ。

みうら・じゅん●イラストレーターなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生む。近著に『みうらじゅんの松本清張ファンブック清張地獄八景』（文春ムック）、『ラブノーマル白書』（文春文庫）
しんさん・なめこ●漫画家、コラムニスト。巫女的な感性であらゆる事象を取材。近著は『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか』（PHP研究所）