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村山佳世子「最後のひとさじ」のミックス感が大事【人気スタイリストの「私がずっと好きなもの」】

今だからこそ考える。丁寧に着ることこそ、サスティナブル!

ファッションのプロは、どんなものを大切にし、そこにどんな考えがあるのだろう? 長く、丁寧に服を着ることは、真の意味でのサスティナブルにもつながる。だから、今こそ考えたい。本当に自分が愛おしいと思うものと、それが教えてくれる、自分らしいスタイルの軸について。


PROFILE

村山佳世子
スタイリスト。高い審美眼とスタイリング力に定評があり、女性誌で特集が組まれることも多々。マリソルでも、村山さんの特集は毎回好評を博している。著書に『一生もののおしゃれが身につく10のルール100のコーディネート』(集英社)


あれもこれもはいらない。〝絞っている〞ほうが素敵

あらゆる年代や属性の女性誌の読者に向けて、シンプルでありながらどこかしゃれ感のあるスタイリングを提案するスタイリストとして活躍して25年以上。毎日のように膨大な数の服と向き合ってきた村山さん。30代までは、あれも着たい、こんな格好もしてみたいと思っていたそう。それが、40代に入ったころから、気持ちが徐々に変化し、"なんでも持っているのがおしゃれということじゃない”と思うように。
「何か大きなきっかけがあったわけじゃないんですけどね。普通の人よりも、いろんなモノを目にしすぎているから、自分自身がきちんと必要なものを見極めないと買い物ばかりしていることになる(笑)。40歳前後から、自分のスタイルに合うものだけを選択して、絞れているほうが素敵だなって思うようになって。昔はトレンドだからという理由でモノを買ったこともあったけれど、今は自分に必要なトレンドだけを選んでいて、その割合は10のうちの1か2くらい。数はいらないぶん、値段が高くてもいいから、本当に欲しいモノを買いたいと思うようになりました」


メンズライクをベースにしつつ女らしさをひとさじ足す

村山さんのスタイルの軸にあるのはメンズライク。若いころから、男の子のファッションに惹かれることが多く、海外のおしゃれスナップや、ふだん街なかで"この感じ素敵だな”と目にとまる格好をしているのは、男性のことが多かったという。
「男の人のファッションって、女性よりもうんと幅が狭くて、おしゃれな人がわかりやすいんですね。メンズのファッションが好きな人と話すと、こだわりポイントとかに共感できることが多くて、つくづく自分は"メンズ脳”なんだな、と思い知りました」
 メンズブランドもこまめにチェックするし、サイズさえ合えばメンズのウエアを買うこともあるという村山さん。ただし、全身メンズというスタイルは絶対にしない。
「メンズライクが好きだからと言って、男になっちゃいけない。そうでなくても、おじさん化しているんだから(笑)。洋服がメンズライクだったら、必ずどこかにフェミニンさを足します。私の場合、それはたいてい、手首か靴。最近は、セリーヌのバングルをぽんとひとつつけたり、靴をフラットなマノロブラニクにしたり、バレエシューズにしたり。何かひとつ違うテイストのものを入れるということが、私のこだわりかな」


自分にチューニングするようにいつでもミックスすること

"ミックス感”――村山さんのスタイルのポイントは、すべてを同じテイストでまとめるのではなく、必ず反対の要素を交ぜること。この法則は、仕事でつくるスタイリングでも、プライベートでも同じ。
「すべて10じゃないのが大事。例えば、6メンズライク:4フェミニンとか、8ベーシック:2トレンドとか、その要素とか割合は、どの洋服を選ぶかによって少しずつ変わるけれど、ミックスすることで、チューニングして、自分にフィットさせるというか。例えば、若いころは、デニムにはスニーカーでよかったんだけれど、歳を重ねてくると、それだとどうもしっくりこないんです。デニムなら靴はサンダルやフラットシューズにして、気持ち"きれいなもの”を足す。そういう、ほんの少し違うところを、意識してミックスするようにしています」


一生もののスタイルとは何か大好きなモノを見ればわかる

好きなものを見極めて、厳選すること。自分の年齢や気分に添うように、コーディネートをミックスしていくこと――スタイリングのプロ中のプロである村山さんのおしゃれのセオリーの核は"自分を見つめ直すこと”にある。
「私自身、一昨年、オール私物で100のコーディネートをつくるという本を出した時に、"一生もののおしゃれ”って何だろうということをものすごく考えたんです。例えば、私はひとつ買ってみて、それが気に入ると同じものをもう一枚とか、色違いで買い足していくことが多いんです。そうやって、これは好きだなと思うものにこだわっていくと、クローゼットには似たような服ばかりが並ぶことになりますよね。でも、その同じようなモノこそが、自分のスタイル=一生もののおしゃれを確立するということなのかなと思っています。これからは、"絶対手放したくない”って思えるようなモノを丁寧にお手入れしながら、慈しんでいきたい。そんな、私がずっと変わらず好きなモノに、ひとつでも何かをミックスすることで、自分らしさとか時代の気分などを添えながら、おしゃれを更新していけたらいいなと思います」



■リーバイスのデニム

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「リーバイスに合うか」がいつもセレクトの基準に

リーバイス501にしか出せない「味」が大好きという村山さん。ヴィンテージショップで買ったリーバイスは、いつも数本常備。「服を買う時はリーバイスに合うかどうかを必ず考えるくらい、私のスタイルの軸になっています」



■セリーヌのアクセサリー

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重ねづけはせず、シンプル服にバングル一点で

アクセはレイヤードせず、"一点使い"が定番。セリーヌのバングルは、シンプルだけれどパワーのあるデザインが気に入って




■マノロ ブラニクの靴

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女らしさがふわりと香るぺたんこマノロ

メンズライクなスタイルでも、どこかにフェミニンさを足したい時、頼りにしているのがマノロの靴。ヒールも持っているけれど、 出番が多いのはぺたんこタイプ。




■ポール ハーデンのジャケット

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〝男の子みたい〞が可愛いハンドメイド・ジャケット

ドーバーストリートマーケットで購入したポール ハーデンのジャケット。「メンズではメジャー なブランドで、男の子が着ているのを見て可愛いなと。たまたまちょうどいいサイズを見つけて即決」




■エルメスの「ボリード」

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〝持ってます感〞がなくふだん使いにちょうどいい

「ボリード」は、28㎝サイズをトープとネイビーの色違いで愛用。「ケリーもバーキンも持っていますが、一番使いやすいのがこれでした。いかにもエルメスを持っていますという雰囲気にならず、かといって地味すぎずの理想的なバランス。どんな服にも合うので、ふだん使いに」

【Marisol8月号2020年掲載】撮影/加藤新作 スタイリスト/中里真理子 構成・文/湯澤実和子 撮影協力/バックグラウンズファクトリー

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