アラフォー女性にとって“恋愛”と“婚活”のバランスはむずかしい。20代の頃は、「結婚とは、恋愛の先にあるもの」だと信じていた。けれど、諸々の苦い経験を味わううちに、恋愛は必ずしも結婚に結びつかないことを知るからだ。むしろ、恋心を強く抱いた相手ほどうまくいかなかったりするのもまた現実……。
「結婚って恋愛の先にあるものだと思っていたけど、違いましたね。お互いに目的意識がなければ、いつしか冷めて別れてしまう。恋愛っていろんな感情を味わえるし、思い出は残るけど……それだけかなぁって」
都内で働く会社員の遠藤由実さん(41歳・仮名)は、愛らしい笑顔が印象的で年齢よりも若く見える。物腰が柔らかく、会話のキャッチボールもうまく、男女ともに好感を抱かれるタイプだ。20代の頃は自然に恋愛経験を重ねていたものの、誰とも結婚にはいたらなかったと話す。
「30歳を過ぎてから、もっと約束された関係が欲しいと思うようになりました。正直、金銭的にも精神的にも将来は不安でしたし、あっという間に30代も過ぎていく。もう、何も残らないような関係に費やす時間と労力はないかなって。まだ普通に恋愛はしたいけど『これからは、結婚を考えていない人とは付き合わない!』と自分の心に決めました」
由実さんが本気で婚活を始めたのは35歳の時。38歳も終盤、現在のパートナーと出会うまでに4年近くかかった。
「会社も女性ばかりだし、30代半ばになると自然な出会いはほぼなくなって。最後の手段だと思って、婚活サイトに登録しました」
元来、真面目で慎重派の由実さんはサイトに登録するや、何十人もの相手とメールのやり取りをスタート。直接会うまでには、ゆうに1カ月もの時間を割いていたそう。
「メール返信は日々の業務の一環という感じでした。毎朝、出勤前に1時間ほど時間をとり、一気に返信。何度もメールをやり取りしていると、ある程度の人間性はわかるんですよ。内容はもちろん、返信の頻度とか。何げない言葉に不誠実さがにじみ出ている人もいたし、すぐ返信しないことに怒り出す人もいたりして。ネット婚活には不安もありましたけど、メールを駆使していろいろと相手の方の人柄を読みとってからお会いしていたので、そんなに変な人とは遭遇しなかったです」
初めてネットで出会って付き合った男性は……?
ネット婚活で出会って最初に付き合い始めたのは5歳年上の当時40歳、外資系銀行に勤めるエリート金融マンだ。
「彼に最初に惹かれたポイントは、顔です(笑)。単純にタイプでした。年収などの条件も良かったですし。近い将来、海外駐在の予定があって結婚願望の強い人でした。ともに結婚が目的だったせいか、恋愛だけの関係とは違いました。毎回デートでは、お互いに相手の会話や行動から、配偶者として適切がどうかを推し量っているところがあって。でもその結果3カ月くらいで、この人とは合わないだろうな……と思うように」
どこでそう感じたの?
「彼は神経質で頑固な性格だったんですけど、そこは私も似ている。実は私、自分の意志もこだわりも強いから、人に合わせるのは苦手です。彼も“自分はこうしたい”が強い人。そんな2人が結婚してもぶつかり合うだけで、癒されない。ピリピリした関係になるだろうなと想像できました」
彼も同じように感じたのか、別れはさっぱりしたものだったという。恋心や情愛ではなく、目的を果たすために結ばれたお試し関係は、始まりも解消も湿り気がない。
「まぁ、仕方ない。お互いに、次に行こう! 幸せにね!という前向きな感じでした」