【今月のお悩み】仕事に飽きてしまいました
(神奈川県・さち・36歳・会社員 趣味/YouTubeを見ること)
☆辛酸なめ子さんの回答
☆みうらじゅんさんの回答
「飽き」ではなく「慣れ」では? まずは「飽きていないふり」を
僕はそんな時、「飽きていないふり」をよくするんですよ。大概のことは人間、飽きてしまいます。でも、そこをなんとか修業だと思って、「飽きていないふり」をし続けていると、そのうち飽きていることにも飽きてしまって、なんだか新鮮な気持ちで前に進むことができます。転職しようにも仕事が見つからないかもしれないし、覚悟するのが怖くなる……いろいろ心配事の大本はその「飽きた」と決めつけたことなんじゃないでしょうか。
さらにさちさんは、やりたい仕事がないのに「新しいことにチャレンジする」なんてことまで、自分に課してしまっている。やりたくないことにチャレンジするというのは、精神的に相当きついでしょう。
でも、まだ「飽きていない」ということにすれば、それらの心配事はなくなり、やりたくないことをやらずにすむのでは? いきなり「飽きていない」と思うのはむずかしいでしょうから、「それほど飽きていない」→「たいして飽きていない」→「まったく飽きていない」という具合に段階をもって思い込んでいく。そこまできたらしめたもので、次は「むしろ、好きかも」と思えてくるはずです。
そもそも、さちさんは本当に、今の仕事に飽きているのでしょうか。15年も続けてこられたことには、実はそう簡単に飽きることはないような気がするんです。ひょっとして、新しい人生を歩み出していきいきしている友達を見て、「私もそろそろ違うことをしなくちゃ」とか思われたのでは。その思いが、さちさんに「飽きた」と言わせているのかもしれません。
どんなことも長く続けていれば、もはやワクワクドキドキすることはないでしょうし、失敗もそんなにないでしょう。でもそれは、「飽き」ではなく「慣れちゃった」からなのだと思うんです。「慣れ」という言葉にもマイナスイメージがあるかもしれませんが、慣れをさらに極めると、人間としてのステージがひとつ上がるものです。「匠」とか「達人」とか言われる人、いますよね。まさにそれです。
さちさんも、その高みを目ざしてみてはいかがでしょう。そのほうが、無理やり新しいことにチャレンジして苦労するよりもずっと、実りある日々を送れるんじゃないかと思うのですが。 チャレンジするなら、仕事以外で何か楽しいこと、好きなことを見つければいい。オフが充実すれば、オンにもよい影響が必ず及びます。
なお、「怖くて覚悟ができない時、どうするか」についてですが、僕はまず、そのことを口に出して言ってみます。誰かに言うのではなく、ひとりで。鏡の前がいいと思います。それができれば、まだそんなに怖く思ってない証拠。すかさず、「不安(フアン)タスティック!」と叫びましょう。これが呪文です。こんなことが言える自分はまだまだ、大丈夫。逆に勇気がわいてきますから。完全には不安を消せなくても、薄めて、茶化すことが大切です。どうぞ一度、試してみてください。
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みうら・じゅん●イラストレーターなど。「マイブーム」「ゆるキャラ」ほか多くのブームを生む。近著に『みうらじゅんの松本清張ファンブック 清張地獄八景』(文春ムック)、『ひみつのダイアリー』(文春文庫)など
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しんさん・なめこ●漫画家、コラムニスト。巫女的な感性であらゆる事象を取材。近著は『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 』『愛すべき音大生の生態』(ともにPHP研究所)など
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